サーファーズイヤー、素潜りダイバーの耳の87.7%にもあった骨のこぶ
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- サーファーズイヤーは、冷たい水と風に繰り返しさらされることで耳の穴の奥にできる良性の骨のこぶです。水や耳あかがたまりやすくなり、外耳炎や聞こえにくさにつながります。
- サーファーだけの問題ではありません。素潜りダイバーの耳の87.7%、カヌー(ホワイトウォーター)競技者の耳の69.5%に見られ、池で泳ぐ人にもできます。
- 水にさらされる量が増えるほど増えます。ウインドサーフィンやカイトサーフィンを10年以上続けた人の92%にあり、米国の調査では冷たい海で波に乗る人のオッズが5.8倍でした。
- 手術は有効ですがリスクもあります。鼓膜に穴があく率は統合値で3.8〜5.3%で、英国コーンウォールでは手術した耳の4分の1が約10年後に再び強く狭くなっていました。
2026年6月、英国のコメディアン、ハリー・エンフィールドさんがポッドキャスト番組『Off Menu』で、耳が一部聞こえなくなっていると打ち明けました。原因として挙げたのは、ロンドン北部のハイゲート・ポンズで続けてきた水泳です。補聴器を作りに行ったところ、耳の中に骨ができていると告げられ、本人はそれを「鍾乳石」と表現しました。PA通信によると、手術は「とても痛く、回復に時間がかかる」として受けないことにしたそうです。
診断名は外耳道外骨腫、いわゆるサーファーズイヤーです。泳ぐ人でこの骨のこぶがあるのは、エンフィールドさんだけではありません。アイルランドの医師がサーファーに加え、オープンウォーターの泳者、トライアスリート、カヌー競技者など冷たい水でスポーツをする人を診察したところ、23.7%にこの骨のこぶがあり、そのうち自覚していたのは3.6%だけでした。同じ調査ですでに診断を受けていた人の半数近くは、サーフィンをしていませんでした。
この記事では、この骨のこぶが何で、聞こえにどう影響するのか、誰にできやすく、どれくらいさらされるとできるのか、予防と手術で何がわかっているのか、そして浜にとどまるのではなく慎重に波に乗ることが答えである理由を見ていきます。
耳の穴の中で実際に起きていること
外骨腫は、耳の穴(外耳道)の奥、鼓膜に近い骨の部分から生える、なめらかで良性の硬い骨のこぶです。たいていは両耳にできます。有力な説明は、冷たい水や風の刺激で外耳道の薄い皮膚の血管が何度も広がり、それが骨をつくる細胞を刺激するというものです。風が関わるのは、ぬれた皮膚を蒸発で冷やすためです。いったんできた骨は小さくなりません。
狭くなった外耳道には、水や耳あか、砂がたまります。そこから症状が出ます。水が抜けない、音がこもって聞こえる、耳が詰まる、外耳炎を繰り返す、といったものです。聞こえの低下は伝音難聴で、内耳が傷ついたのではなく音が物理的にさえぎられるため、詰まり具合によって良くなったり悪くなったりします。外耳道の約80%がふさがって初めて臨床的に問題になると考える外科医もいます。
骨のこぶが大きいほど症状が増える
ドイツのウインドサーファー・カイトサーファー130人が過去12か月に訴えた耳の症状の割合。ビデオ耳鏡で判定した外骨腫の重さ別。
出典:Wegener・Wegner・Weiss, European Archives of Oto-Rhino-Laryngology(2021)。重度は外耳道の3分の2超がふさがった状態。
同じ研究は反対側の事実も示しています。重度のこぶがある人の4分の1近くは、過去1年に何の症状もありませんでした。ある外科チームは何十年も前から、外耳道の外骨腫の大半は症状を起こさず、症状のある外耳炎もふつうの治療でたいてい治まると指摘していました。
リスクが集中するところ

代表的なのはサーファーですが、この傾向を左右するのはボードではなく、冷たい水と風です。以前の記事ではニュージーランド、カリフォルニア、イングランドのサーファー調査を紹介しました。新しい研究は、ほかの水辺の利用者にも目を向けています。素潜りの国際大会では、診察した204耳の87.7%に外骨腫があり、ふだん練習する海の水温が重さを最もよく予測していました。
カヌー(ホワイトウォーター)の競技者では耳の69.5%に見られたのに対し、冷たい水のスポーツをしない人では1.7%でした。冬に水温が約4℃まで下がる北海とバルト海の沿岸のウインドサーファーやカイトサーファーは、サーファーより短い期間で同じ程度まで狭くなるようで、著者は風との関係を指摘しています。淡水でも起こるので、ロンドンの池でもできるわけです。
水辺のスポーツをする人の外骨腫の割合
診察で外骨腫が見つかった割合。人数で数えた研究と耳の数で数えた研究があり、表示のとおり。対象の多くは志願者で、集団全体の率ではありません。
出典:Lambert et al.(2021)、Sheard・Doherty(2008)、Wegener et al.(2021)、Simas et al.(2021)、Cooper et al.(2008)、Nakanishi et al.(2011)、Boyle et al.(2022)、Fabiani et al.
薬の用量と同じように、さらされる量が増えるほど影響も大きくなります。ドイツのウインドサーファー・カイトサーファーでは、10年以上続けた人の92%に外骨腫があり、それ未満の人では61%でした。米国の202人のサーファーの研究では、主に冷たい海で波に乗る人のオッズは5.8倍でした。オーストラリアのビクトリア州では、20年以上定期的にサーフィンをしてきた男性が強い狭窄を起こす確率はおよそ2人に1人でした。
外骨腫のオッズを高めるもの
2つの観察研究のオッズ比。ドイツの数字は、さらされる量が1単位増えるごとに、より重い段階になるオッズ。
出典:Kroon et al., Otolaryngology–Head and Neck Surgery(2002)、Wegener・Wegner・Weiss(2021)。
「冷たい水」という説明は有力ですが、すっきりとは割り切れません。海水温が19℃を下回らないオーストラリアのゴールドコーストでも、長年のサーファー85人の71.8%に外骨腫があり、著者は冷たい海の研究と同じ水準だと述べています。対象者は平均35年も海に入っており、水温よりこちらが効いている可能性があります。頭骨はもっと長い時間軸で同じことを語ります。調べられたネアンデルタール人の骨の56.5%に外耳道の外骨腫があり、これに並ぶ現代の集団はわずかです。ただし、これらの数字にはすべて注意が必要です。多くは大会やクラブ、浜辺で診察を受けた志願者のもので、泳ぐ人全体ではなく熱心な人たちの姿を表しています。
効果が測定された対策

サーファーを耳栓の有無で無作為に分けた試験はありません。根拠は観察研究ですが、同じ方向を指しています。ブルターニュ沿岸で242耳を追った前向き研究では、狭窄の重さは耳栓もフードも使わずに水に入った時間と連動し、耳栓をつけていた時間とは関連がありませんでした。保護が効くなら予想されるとおりの結果ですが、耳を守る人はほかの点でも違っている可能性があります。
知っていることと実行することは別です。カリフォルニアのサーファー334人を対象にし、2024年に発表された調査では、96.06%が耳栓で外骨腫を防げると知っていた一方、64.85%は一度も使っていませんでした。主な理由は、水の中で聞こえにくくなる、着け心地が悪い、波待ちの間に話しにくい、というものでした。使ったことのない人の多くは、病気についてもっと知れば使う気になると答えています。
こぶが問題を起こした場合、治すには骨を取り除くしかありません。ふつうは外耳道から細いのみ(骨のみ)やドリルで削り、耳の後ろを切開することもあります。2023年のメタ解析は、手術した1,788耳を含む15研究をまとめ、2つの道具を比べました。
手術の合併症:のみか、ドリルか
外耳道外骨腫の切除後の合併症率の統合値。骨の削り方別。観察研究15件のメタ解析(骨のみ530耳、ドリル1,258耳)。
出典:Swisher・Singh・Debbaneh・Rivero, Annals of Otology, Rhinology & Laryngology(2023)。
個々の施設の報告を見ると、数字の意味がつかめます。耳の後ろを切開してドリルで削った米国の401耳のシリーズでは、鼓膜に穴があいたのは1耳、治りが遅かったのは4.5%、高い音の聞こえが15デシベル以上落ちたのは4.8%でした。外耳道から細いのみだけで削った別の米国のシリーズでは、患者の80%が3週間以内に治り、6週間以内には1人を除く全員が治っていました。
また生えてくる骨
外骨腫の手術から何年もたって見つかった外耳道の狭窄。測り方の異なる2つの追跡調査より。
出典:Timofeev・Notkina・Smith, Clinical Otolaryngology(2004)、46耳。House・Wilkinson, Otolaryngology–Head and Neck Surgery(2008)。
コーンウォールの追跡調査では、手術後に耳栓を使うことが再発の遅さと最もはっきり結びつき、手術時の年齢が高い人ほど早く再発していました。いずれも少人数で選ばれた集団の数字です。手術した耳を守り続ける理由にはなりますが、一人ひとりの予測ではありません。手術の報告では、外耳道のすぐ近くを通る顔面神経の損傷など、まれなリスクも挙げられています。
サーフィンをやめることが答えではない理由

外骨腫はゆっくり進み、ほとんど目立たない病気です。一生抱えていても困らない人は多く、英国コーンウォールの外科医は、冷たい海に非常に長く入ってきたサーファーの12%にまったくこぶがないことを見つけました。なりやすさに個人差があることがうかがえます。手術は効果があり、受けた人の満足度もおおむね高いものです。67人のシリーズでは14.9%に合併症が起きましたが、満足度は高く、合併症があっても下がっていませんでした。
実践的なメッセージは、早めに耳を守ることです。冷たい水や風の中では、湖や池も含めて、耳に合った耳栓かネオプレンのフードを使い、上がったら頭を傾けて水を出しましょう。綿棒や指で耳の穴をつつかないこと。英ブリストル大学の生理学者は、外耳道形成術の後は2〜3か月水に入らないよう勧めており、予防は波に乗れる時間を守ることにもなります。転倒やフィン、サンゴ礁での切り傷については、サーフィンのけがを扱った以前の記事で取り上げました。
行動の手順
役に立つ時期の順に並べている。各項目に根拠の強さを示した:データあり 公的機関の推奨 未検証
起きる前に
- 冷たい水や風の中では、湖や池も含めて、耳に合った耳栓かネオプレンのフードを使う。 データあり 参考文献を参照
起きたら
- 毎回、耳の保護を続ける。フランスの研究では、狭窄の重さは耳栓もフードも使わずに水に入った時間と連動していた。 データあり 参考文献を参照
その後
してはいけないこと
- 水や耳あかを取ろうとして、綿棒や指で耳の穴をつつかない。 公的機関の推奨 参考文献を参照
医学的な助言ではありません。耳がふさがる、痛む、耳だれがあるときは受診してください。
よくある質問
サーファーズイヤーと「スイマーズイヤー」は同じですか?
違います。スイマーズイヤーは外耳道の感染症(外耳炎)で、サーファーズイヤーは外耳道にできる骨のこぶです。ただし両者はつながっていて、狭くなった外耳道は水がたまりやすく、感染を起こしやすくなります。
温かい海や淡水でもなりますか?
なります。水温19℃を超える海で長年波に乗ってきたサーファーの研究では71.8%に外骨腫があり、湖や池で泳ぐ人にもできます。冷たさと風があると、できやすく、進みも速くなります。
耳栓で本当に防げますか?
無作為化試験はありません。それでも観察研究では、耳栓やフードの使用がこぶの軽さや手術後の再発の遅さと一貫して結びついており、現時点で最善の防御策です。
サーフィンをやめれば骨は消えますか?
消えません。外骨腫は小さくならないからです。やめたり耳を守ったりすれば進行を遅らせられますが、すでにできた骨を取り除けるのは手術だけです。
手術後の回復にはどれくらいかかりますか?
手術法によって違います。外耳道から骨のみだけで削ったあるシリーズでは、患者の80%が3週間以内に治り、6週間以内には1人を除く全員が治りました。水に入れない期間は数週間から数か月を見込んでおきましょう。
まとめ
- サーファーズイヤーは、冷たい水と風に繰り返しさらされることで耳の穴の奥にできる良性の骨のこぶです。水や耳あかがたまりやすくなり、外耳炎や聞こえにくさにつながります。
- サーファーだけの問題ではありません。素潜りダイバーの耳の87.7%、カヌー(ホワイトウォーター)競技者の耳の69.5%に見られ、池で泳ぐ人にもできます。
- 水にさらされる量が増えるほど増えます。ウインドサーフィンやカイトサーフィンを10年以上続けた人の92%にあり、米国の調査では冷たい海で波に乗る人のオッズが5.8倍でした。
- 手術は有効ですがリスクもあります。鼓膜に穴があく率は統合値で3.8〜5.3%で、英国コーンウォールでは手術した耳の4分の1が約10年後に再び強く狭くなっていました。
- 慎重に波に乗りましょう。冷たい水や風の中では耳栓やフードを使い、手術後も続けること。耳がふさがる感じや痛みがあれば受診してください。
この記事は公表された研究の要約であり、医学的な助言ではありません。耳がふさがる感じ、痛み、耳だれ、聞こえの低下があれば、かかりつけ医か耳鼻咽喉科を受診してください。水や耳あかを取ろうとして、綿棒や指などで耳の穴をつつかないでください。
さらに読む:ウインドサーファー・カイトサーファーのばく露と症状は Wegener・Wegner・Weiss, European Archives of Oto-Rhino-Laryngology(2021)。手術法別の合併症は Swisher et al., Annals of Otology, Rhinology & Laryngology(2023)。更新世の頭骨に見られる外骨腫は Trinkaus・Samsel・Villotte, PLOS ONE(2019)。
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