インドの建物火災:件数は減少、職場ではより深刻に

ムンバイ消防局のブロント・スカイリフトはしご付き高所作業車
資料写真:高層建物の火災に使われる、ムンバイ消防局のブロント・スカイリフト高所作業車。 写真:Suyog(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)
死者がやや増加更新 2026年10月18日

トレンドの要約

  • インド全体の火災の被害は減っています。国家犯罪記録局(NCRB)は2024年に火災事故5,971件、死者5,888人を記録し、件数は2023年より15.4%減りました。
  • 住宅以外の火災は逆の動きでした。商業建物、工場、学校、政府の建物では2024年に火災458件、死者450人で、前年はそれぞれ432件、432人でした。
  • 花火工場やマッチ工場など可燃物を扱う工場の火災は66件にすぎませんでしたが、2024年の火災事故の負傷者330人のうち107人がここで出ています。
  • 病院、ホテル、人が集まる場所の火災はたびたびニュースになります。2024年にはジャーンシーの新生児病棟、2025年にはゴアのナイトクラブ、2026年にはデリーとコルカタで2件のホテル火災がありました。
450住宅以外の建物火災の死者(2024年)
249商業建物の火災の死者(2024年)
188工場火災の死者(2024年)
5,888火災事故の死者全体(2024年)

数字で見る現状

国家犯罪記録局の『インドの事故死と自殺 2024(Accidental Deaths & Suicides in India 2024)』は、火災事故5,971件、負傷者330人、死者5,888人を記録しました。件数は2023年の7,054件から15.4%減り、死者も6,891人から減りました。中心は今も住まいで、住宅・居住用建物の死者は3,555人と全体の60.4%を占めます(NCRB ADSI 2024、NCRB ADSI 2023)。

ほかの建物では様子が違います。2024年にNCRBが記録したのは、商業建物で火災277件・死者249人、可燃物を扱う工場(花火・マッチ工場を含む)で66件・91人、その他の工場で83件・97人、学校で11件・9人、政府の建物で21件・4人です。合わせると火災458件・死者450人で、2023年の432件・432人から増えました。2023年は商業建物の死者が241人、2つの工場区分の死者が179人でした(NCRB ADSI 2024、表1.12)。

注意点が2つあります。NCRBには病院やホテルの独立した区分がなく、火災1,783件・死者1,761人が「その他」に入っています。このため住宅以外の数字は最低限の値で、すべてを数えたものではありません。2024年に火災事故が最も多かった州はマハラシュトラ州で、625件、全国の10.5%でした(NCRB ADSI 2024)。

背景にあるもの

政府の警告では、電気の不具合が繰り返し取り上げられています。2021年5月、内務省(MHA)は各州に対し、最近の病院や介護施設の火災はショートが原因で、高温、不十分な保守、屋内配線への過大な負荷が関係していると伝えました(内務省、2021年5月)。2024年6月には保健・家族福祉省が、保守が不十分で過負荷になった配線によるショートを再び原因に挙げ、その多くはエアコンによるものだとしました(保健・家族福祉省、2024年6月)。少なくとも10人の新生児が亡くなった2024年11月のジャーンシーの新生児病棟の火災について、警察はショートが原因としています(国家人権委員会(NHRC))。

もう一つの流れは、許可の欠如と取り締まりの弱さです。2024年5月に燃えて27人が亡くなったラージコートのゲームゾーンは、消防の異議なし証明書(NOC)を持たずに営業しており、グジャラート高等裁判所は一見して「人災」だと述べました(Business Standard)。政策の対応は病院が中心です。2024年3月の保健・家族福祉省と国家災害管理庁(NDMA)の共同勧告は、消火器の毎月の点検、年2回の電気負荷の監査、消防NOCの毎年の更新を定めました(PIB)。2026年5月には同省が「医療施設における火災・生命安全に関する国家ガイドライン」を公表し、集中治療室(ICU)と新生児病棟の規則を厳しくしました(PIB)。

最近の事例

  • 2026年8月19日:コルカタで複数のホテルが入る建物が燃え、子ども1人を含む少なくとも9人が亡くなり、6人がけがをしました。犠牲者の一部は、治療のために市内に滞在していたバングラデシュ国籍の人とみられています(Euronews)。
  • 2026年6月3日:デリーのマルヴィヤ・ナガルで、1階にレストラン、上の階にホテルが入る複合用途の建物が燃え、少なくとも21人が亡くなりました。うち18人は外国籍でした(Al Jazeera)。
  • 2026年4月19日:タミル・ナードゥ州ヴィルドゥナガル県の認可を受けた花火工場で火災が起き、少なくとも20人の作業員が亡くなり、6人がけがをしました(AFP配信、The Daily Star)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に最大5件、新しい順に載せています。多くはインド政府の各省が報道情報局(PIB)を通じて出した発表や、国家犯罪記録局(NCRB)、インド準備銀行(RBI)、国立地震センター(NCS)などの全国機関、州政府の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り、報道やデータ分析の記事も含めています。タイトルは原文(英語)のままです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

インドの建物火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の13件、1年最大5件、新しい順

2021

2019

2016

2012

2011

2007

5件に満たない年が多く、まだ1件もない年もあります。インド政府の古い発表は元のアドレスで見つけにくく、実際に開いて確認できたものだけを載せているためです。リストは今後も追加していきます。ページに日付がない場合は、発表のアドレスや発行元の一覧にある日付を使っています。

写真リスト

コルカタ、エズラ通りのラルバザール消防署
資料写真:コルカタ、エズラ通りのラルバザール消防署。 写真:Biswarup Ganguly(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)
ゴア州クルチョレムの消防署
資料写真:ゴア州クルチョレムの消防署。消防は州が運営しています。 写真:Fluckollin(Wikimedia Commons、CC0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。インドの統計の多くは州ごとに集計され、1〜2年遅れて公表されるため(NCRBの2024年の事故統計は2026年に公表)、それぞれの数値が何年のものかを書いています。大きな数は国際的な表記で示し、インドの資料がラーク(10万)やクロール(1000万)を使う場合は括弧で添えています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書かない限り本文の出来事の写真ではありません。このページは傾向をまとめたもので、個別の安全・医療・法律・金融の助言ではありません。