日本の建物火災:件数は増加、死者は減少

2024年の火災で焼けた輪島の朝市通り
2024年1月1日の能登半島地震に続く火災で焼失した石川県輪島市の朝市周辺。2024年2月17日撮影。写真:Hurohukidaikon(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)
件数増、死者減2026年10月5日更新

トレンドの要約

  • 日本の建物火災は、横ばいの数年を経て2025年に増えましたが、建物火災による死者はわずかに減りました。2024年の輪島、2025年の大分市佐賀関と、街区から街区へ燃え広がった2つの大規模火災が、消防庁の取り組みの中身を変えています。
  • 消防機関が記録した2025年の建物火災は22,345件で、2024年より6.5%増え、全国統計の直近10年で最も多くなりました(消防庁、概数)。
  • 2025年に建物火災で亡くなった人は1,171人で、2024年の1,199人から減りました。多くは自宅で亡くなっており、住宅は建物火災の53.4%ですが、建物火災による死者の86.9%を占めます(消防庁、概数)。
  • 2025年11月18日の佐賀関の火災では、大分市の密集した漁業集落で196棟が焼け、1人が亡くなりました(消防庁、国土交通省)。
22,345件建物火災、日本、2025年(概数、6.5%増)
1,171人建物火災による死者、日本、2025年(概数)
86.9%建物火災の死者のうち住宅で亡くなった割合、2025年
196棟大分市佐賀関の火災で焼けた建物、2025年11月

数字が示すこと

全国の統計は消防庁の年間の火災統計で、まず晩春に概数、翌年秋に確定値が公表されます。年度ではなく暦年(1〜12月)で集計します。2026年5月28日に公表された2025年の概数では、総出火件数は40,783件、そのうち建物火災は22,345件で、2024年の20,972件から増えました。それまでの10年間、建物火災はおよそ19,400件(2020年)から21,400件(2017年)の間にとどまっていたため、2025年はその中で最も多く、2015年の22,197件も上回ります。住宅の火災はほとんど変わらず(11,929件、0.8%増)、大きく増えたのは複合用途の建物、共同住宅、「その他の用途」に分類される建物で、佐賀関の火災があった年に「その他」は2倍以上になりました。

死者は逆の動きでした。2025年の建物火災の死者は1,171人で、2024年の確定値の1,199人を下回りました。亡くなる場所はやはり住宅で、2025年の建物火災の死者のうち1,018人は一戸建てや共同住宅でした。放火自殺者等を除くと住宅火災の死者は970人で、そのうち730人(75.3%)が65歳以上でした。建物火災の主な出火原因は2025年、こんろ(2,779件)、電気機器(2,541件)、たばこ(1,883件)、配線器具(1,619件)でした。2025年の数値は概数で、消防庁は火災調査が終わるにつれて変わる可能性があるとしています。

背景にあるもの

目立つ要因は2つです。1つは、古い木造住宅に住む、しばしば一人暮らしの高齢者が増えていることで、全体の件数が減っても住宅火災の死者が高止まりする原因になっています。もう1つは、古い木造建物が密集し道が狭い地区全体に火が広がるリスクです。2024年1月1日の地震の後、輪島の朝市周辺では約240棟が焼け、消防庁と国土交通省によるこの火災の検証では、道路の損壊、消火栓の損傷、津波警報が消防活動を妨げたとしています。2025年11月の佐賀関では、公式の検証が、狭い路地に空き家の多い密集地で、強風が火の粉を建物から建物へ運んだと指摘し、空き家の中には管理が不十分なものもありました。出火原因は特定できませんでした。

逃げ道が1つしかない建物での放火は、別の危険なパターンです。2019年の京都アニメーション放火事件では36人が亡くなり、2021年12月の大阪・北新地のクリニック放火事件の後、消防庁は唯一の階段とエレベーターが出火場所の奥にあったことを確認しました。消防庁の直通階段が1つの雑居ビル29,229棟の緊急立入検査では、13.3%で避難経路に不備が見つかりました。新しいリスクも増えています。消防庁は2025年にリチウムイオン電池が原因の火災を1,297件数え、2022年の601件の2倍を超えました。2026年の予防行政の検討ではデータセンターや厨房設備の防火対策も取り上げています。

最近の事例

  • 2026年9月5日:岐阜県本巣市の洋菓子店で、閉店後に11人が集まっていたところ、刃物で刺されたとの通報とガソリンによる火災があり、3人が亡くなりました。鉄骨2階建ての建物約300平方メートルが焼けました(The Japan Times、英語)。
  • 2026年7月14日:大阪府警は、2025年8月の道頓堀の火災をたばこの不始末で起こしたとして男性を書類送検しました。火は屋外広告の看板を伝って2棟を駆け上がり、消防隊員2人が亡くなりました。看板の一部は建築基準法が求める不燃材料を使っていませんでした(The Japan Times、英語)。
  • 2026年6月19日:東京都北区の滝野川第三小学校の4階音楽室で火災が起き、子ども8人を含む11人がけがをしました。東京消防庁は74台を出動させ、4人を救助しました(消防庁)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くは日本の府省庁・機関、規制当局、事故調査機関、公的統計の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。リンク先の多くは日本語の原文ですが、タイトルは英語版ページのために英訳したもののまま載せています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

日本の建物火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の68件、1年最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くは日本の府省庁・機関、規制当局、事故調査機関、公的統計の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。リンク先の多くは日本語の原文ですが、タイトルは英語版ページのために英訳したもののまま載せています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

写真リスト

2024年の火災後の輪島の建物の焼け跡
2024年1月の火災から6週間後の石川県輪島市の焼けた建物。写真:Hurohukidaikon(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)
東京・恵比寿の消防車
資料写真:東京・恵比寿の消防車。写真:Syced(Wikimedia Commons、CC0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。日本の統計は年度(4月〜翌年3月)で集計されることが多いため、それぞれの数値がどの期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。