
トレンドの要約
- インフラ・通信・運輸省(SICT)が引用した公式データによると、メキシコでは航空事故が年平均約47件、インシデントが約195件起きています。その多くは旅客機ではなく、小型機やヘリコプターです。
- 米連邦航空局(FAA)は2021年5月25日、メキシコの監督体制が国際民間航空機関(ICAO)の基準に届いていないとして評価をカテゴリー2に引き下げ、2023年9月14日にカテゴリー1に戻しました。メキシコの格下げは2度目で、1度目は2010年7月から12月まででした。
- 政府機の墜落は議論の流れを左右してきました。2008年と2011年には内務大臣が2人続けて亡くなり、2018年にはプエブラ州知事とその夫が亡くなりました。2018年にはドゥランゴでアエロメヒコ・コネクトの旅客機が離陸時に墜落しましたが、乗っていた103人全員が助かりました。
- 体制への負担は今も続いています。労働組合によると、メキシコの航空管制官は約1,050人で、およそ500人足りません。SICT自身の2025〜2030年計画も、事故調査の仕組みは非効率だとしています。2025年12月にはトルーカ近くでプライベートジェットが墜落し、10人が亡くなりました。
数字で見る現状
メキシコは、民間航空の死者を年ごとに簡単にたどれる形では公表していません。2019年10月に旧民間航空総局(DGAC)に代わった連邦民間航空庁(AFAC)は事故とインシデントの統計を出していますが、2025年9月の時点で、2025年5月以降の新しい公表はありませんでした。最後の報告では、2025年1〜4月にインシデントが53%増えていました。運輸を所管するインフラ・通信・運輸省(SICT)が引用した公式データでは、事故は年平均47件、インシデントは195件です。SICTによると、人員、機材、法的権限が限られているため、調査には12〜15か月かかります(メキシコ・ビジネス・ニュース)。
その中でも、いくつかの大きな事故が目立ちます。2018年7月31日、アエロメヒコ・コネクトのエンブラエル190がひょうの降るドゥランゴを離陸した直後に墜落しました。乗っていた103人全員が脱出しましたが、85人がけがをし、49人が病院に運ばれました(NPR)。2018年12月24日には、プエブラを飛び立って約10分後にヘリコプターが墜落し、マルタ・エリカ・アロンソ州知事と、夫で元州知事のラファエル・モレノ・バジェを含む5人全員が亡くなりました。調査にはカナダと米国の調査官が協力しました(アニマル・ポリティコ)。2025年12月15日には、アカプルコから飛んできたセスナ・サイテーションがトルーカ空港近くのサン・マテオ・アテンコに墜落し、乗っていた10人全員が亡くなりました(エル・フィナンシエロ)。2026年4月2日には、プエブラを離陸して間もないセスナ172が墜落し、4人が亡くなりました(エミソラス・ウニダス)。
背景にあるもの
弱点は航空会社自体の実績よりも、監督のほうにあります。FAAが2020年10月から2021年2月にかけて行ったAFACの審査では、いくつかの分野がICAOの最低基準を満たしていないとされ、2021年5月25日にメキシコはカテゴリー2に移されました。メキシコの航空会社は米国便を続けられましたが新しい路線は追加できず、米国の航空会社はメキシコの便でコードシェア航空券を売れなくなりました(FAA)。政府は、審査が始まったとき、コロナの感染拡大でAFACは職員の約4分の1で業務を回していたと説明し、2021年5月20日に公布された新しい民間航空法を挙げました(アビアシオンライン)。1年後、メキシコは審査で指摘された28項目をすべて解決したと発表しました。AFACの予算は、ロペス・オブラドール政権の最初の3年間で37%減っていました(コートハウス・ニュース)。2年以上の共同作業を経て、FAAは2023年9月14日にカテゴリー1を回復させました(FAA)。約4か月続いた2010年の格下げも、同じ検査官不足が原因とされました(フォックス・ニュース)。
混み合う空域も負担を増やしています。メキシコシティの空域は新しいフェリペ・アンヘレス空港(AIFA)に合わせて再編され、国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)は管制官の訓練に懸念を示しました。2022年5月7日、メキシコシティ空港の同じ滑走路でボラリスのA320型機2機が接近し、航空航法業務を担うSENEAMのトップが辞任しました(エル・セオ)。2025年7月21日には同じ空港で、デルタ航空のボーイング737が、滑走路に近づいてきたアエロメヒコ・コネクトの機体を避けるため離陸を中止しました(アビアシオンライン)。管制官の労働組合によると、全国で働く管制官は約1,050人で、2023年から2024年に最大40%の予算削減があった結果、およそ500人足りません(メキシコ・ビジネス・ニュース)。政府機にも独自の事故歴があります。2008年11月には内務大臣が乗ったリアジェットがメキシコシティで墜落しました。暫定的な調査結果によると、わずか4.15海里前を飛ぶボーイング767の後方乱気流に入ったためで、最低間隔の5海里を下回っていました(ノロエステ経由のプロセソ)。2011年11月11日には、フランシスコ・ブラケ・モラ内務大臣とほかの政府高官7人がヘリコプターの墜落で亡くなりました(ホワイトハウス)。
最近の事例
- 2026年4月2日:プエブラからポサ・リカへ向かっていたセスナ172が、離陸から数分後にウエホツィンゴのサンタ・アナ・ハルミミルルコに墜落し、4人が亡くなりました。AFACが調査を始めました(エミソラス・ウニダス)。
- 2025年12月15日:アカプルコを出たセスナ・サイテーションのジェット機がトルーカ空港近くのサン・マテオ・アテンコに墜落し、子ども3人を含む10人全員が亡くなりました。調査はAFACの事故調査部門が担当しています(エル・フィナンシエロ)。
- 2025年9月12日:公式データでは、メキシコの航空事故は年平均47件、インシデントは195件です。SICTの2025〜2030年部門計画は事故調査の仕組みを非効率だとし、管制官は約500人足りないと訴えています(メキシコ・ビジネス・ニュース)。
報道発表・公式報告(2023〜2026年)
直近4年分の主な発表を、1年に最大5件、新しい順に載せています。多くは国立統計地理情報院(INEGI)、保健省、国家防災センター(CENAPRED)、国立地震局(SSN)、国家森林委員会(CONAFOR)、海軍省、金融サービス利用者保護委員会(CONDUSEF)、連邦官報などの国の機関、議会、汎米保健機構(PAHO)や世界保健機関(WHO)などの国際機関、学術誌によるものです。公式の記録が残っていない古い年を中心に、主な出来事はラ・ホルナダ、エル・ウニベルサル、エクセルシオール、エル・フィナンシエロ、アニマル・ポリティコ、メキシコ・ニュース・デイリーなどメキシコの報道機関の記事で補っています。タイトルはスペイン語の原文を英訳したものです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。
2026
- 2026年6月5日La JornadaAFAC opens inquiry after a plane entered the path of another aircraft on an AICM runway
- 2026年4月2日Emisoras UnidasVideo captures the moment a light aircraft crashes in Mexico, leaving four dead
2025
- 2025年12月19日UnoTVAFAC investigates incident on Magnicharters flight at Mexico City airport
- 2025年12月17日La JornadaBlack box of the jet that crashed in Toluca found
- 2025年12月15日El Financiero'We are going down': what we know about the jet that took off from Acapulco and crashed near Toluca airport
- 2025年9月12日Mexico Business NewsMexico's Aviation Sector Struggles With Safety, Infrastructure
- 2025年7月24日AviacionlineNear Collision at AICM: Audio Contradicts Official Narrative from Mexican President and AFAC
2024
- 2024年12月23日La JornadaSeven dead as a Cessna light aircraft crashes in Jalisco
- 2024年4月15日La JornadaHelicopter crashes in Coyoacán; three dead
- 2024年1月23日La JornadaLight aircraft crash in Tepic leaves four dead
2023
- 2023年9月14日FAAFederal Aviation Administration Returns Mexico to Highest Aviation Safety Status
- 2023年9月14日IATAIATA Welcomes Mexico's Return to the FAA's Category 1 Aviation Safety Rating
- 2023年9月14日La RazónSICT amends the decree creating the Federal Civil Aviation Agency
- 2023年9月8日AviacionlineAMLO announces Mexico will regain FAA Category 1 next week
- 2023年5月4日El CEOReform of the airports and civil aviation laws takes effect; Defence Ministry to protect the airspace
メキシコの航空事故に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の37件、1年最大5件、新しい順
2022
- 2022年5月25日Courthouse NewsMexico marks one year with FAA's lowest safety rating
- 2022年5月9日El CEOAMLO reports Interior Ministry meeting to put airspace in order after incident at Mexico City airport
- 2022年3月30日La JornadaSICT investigates the crash of a light aircraft onto a store in Temixco
2021
- 2021年5月25日FAAFederal Aviation Administration Announces Results of Mexico's Safety Assessment
- 2021年5月25日AviacionlineMexican government responds to the FAA: 'fully committed to recovering' Category 1
- 2021年5月25日Zeta TijuanaUS lowers Mexico's air safety rating to Category 2; AMLO sees commercial interests
- 2021年5月21日Fox NewsFAA to bar Mexican airlines from adding new US flights over safety concerns
- 2021年4月30日La JornadaLight aircraft crashes in Nuevo León; six dead and one injured
2020
- 2020年3月27日Zeta TijuanaTwo screws caused the accident that killed Martha Érika Alonso and Moreno Valle: SCT
2019
- 2019年12月23日El FinancieroSCT one year after the deaths of Alonso and Moreno Valle: attack ruled out, final result in Q1 2020
- 2019年10月16日ADN40The Federal Civil Aviation Agency comes into force
- 2019年6月8日ExcélsiorHelicopter in which Martha Erika Alonso died was working properly: SCT
2018
- 2018年12月31日La Jornada379 air accidents occurred in Mexico over the past six years
- 2018年12月24日e-consultaAMLO offers to investigate the crash that killed Alonso and Moreno Valle
- 2018年12月Animal PolíticoCanadian experts begin investigating the Puebla helicopter crash; the US will also take part
- 2018年7月31日NPRJetliner In Mexico Crashes, Catches Fire, But All 103 Aboard Escape
2014
- 2014年4月5日La JornadaJudge declares Mexicana bankrupt
2013
- 2013年10月17日La JornadaAll 14 occupants of the light aircraft in Baja California Sur dead
2012
- 2012年12月10日La JornadaCrash of the plane carrying Jenni Rivera confirmed
- 2012年11月10日La JornadaHuman error caused the crash of Blake's helicopter, SCT confirms
- 2012年5月14日La JornadaMost helicopters used by the Air Force lack a black box
2011
- 2011年11月14日La JornadaSCT backs cloud cover hypothesis as cause of the helicopter crash
- 2011年11月12日La JornadaRemains of Blake and three other public officials lie in state at Gayosso
- 2011年11月11日The White HouseReadout by Ben Rhodes on the President's Call to President Calderon of Mexico Aboard Air Force One En Route San Diego, CA
2010
- 2010年12月8日Meetings & ConventionsFAA Upgrades Mexico Safety Rating
- 2010年12月2日FlightglobalFAA restores Mexico's safety rating to category one
- 2010年8月28日La JornadaMexicana and its subsidiaries suspend all operations
- 2010年7月30日NPRFAA Downgrades Mexican Aviation System
- 2010年2月2日La JornadaSCT did not report that a part of Mouriño's plane had been replaced three times
2009
- 2009年12月10日La JornadaInvestigation into the crash that killed Mouriño classified for 12 years
- 2009年7月7日La JornadaFor the third time the SCT suspends Aviacsa's operations, this time over debts
- 2009年1月23日La JornadaNo signs of mechanical failure in the Learjet that carried Mouriño, officials insist
2008
- 2008年11月20日La JornadaCockpit dialogue about a 'small detail' on the Learjet 45 minutes before it crashed
- 2008年11月15日La JornadaSCT: the pilots in the plane crash were disoriented and inexperienced
- 2008年11月8日La JornadaLearjet 45 shows no traces of explosives: experts
- 2008年11月5日La JornadaMouriño, Santiago Vasconcelos and six others die in air accident
2007
- 2007年7月6日La JornadaPlane crashes in Sinaloa; 9 dead
5件に満たない年が多く、まだ1件もない年もあります。政府ポータル(gob.mx)の一部、連邦官報、古い機関ページの一部を、リストを作った時点で開けなかったためで、実際に開いて確認できたものだけを載せています。リストには今後も追加していきます。ページに日付がない場合は発行元の一覧にある日付を使い、日付のない年次報告は公表年に入れています。
写真リスト


このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表と研究によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、その旨を明記しています。全国の死亡データは国立統計地理情報院(INEGI)の死亡登録によるもので、確定は翌年になります。当局者の発言を伝える報道から引いた数値もあり、その場合は媒体名を示しています。金額はメキシコ・ペソで示しています。見出しや引用はスペイン語からの翻訳です。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書かない限り本文の出来事の写真ではありません。このページは傾向をまとめたもので、個別の安全・医療・法律・金融の助言ではありません。
