住宅火災の原因第1位は「誰も見ていないフライパン」
シリーズ:住まいの危険と室内環境
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この記事のポイント ・約7分で読めます
- 住宅火災と、住宅火災によるケガの原因の第1位は調理です。2021年の住宅の調理火災は約17万件でした。
- 最大の要因は「その場を離れていた」で37%。配線でも家電の故障でもありません。
- 住宅火災による死者の57%は、警報器がない家(40%)か、警報器が作動しない家(17%)で亡くなっています。
- 死亡率は、作動する警報器がない場合は火災1,000件あたり12.3人、ある場合は5.7人。リスクを約60%減らせます。
住宅火災と聞いて思い浮かべるのは、古い配線、ろうそく、たばこ、クリスマスツリーあたりでしょう。でも実際の原因の第1位は、誰もそばにいないコンロの上の鍋です。米国では、調理が住宅火災と住宅火災によるケガの最大の原因で、それはずっと昔から変わっていません。
人々が恐れているものと、実際に家を燃やしているもののずれは重要です。火災対策の努力の多くが、的から少しずれたところに向けられていることになるからです。2つ目のずれはもっと深刻です。人の命をもっとも確実に守ってくれるものは、すでにほとんどの家に付いているのに、たいていは動かなくなっているのです。
火災リスクは台所にある
1年間の住宅の調理火災
米国消防庁(USFA)、2021年の住宅火災データ。
出典:U.S. Fire Administration、調理火災の安全に関するデータ(2021年)
この数字の形に注目してください。調理による火災は件数がとても多い一方、死者は比較的少なくなっています。たいてい誰かがいる部屋で始まり、早く気づかれるからです。午前3時に壁の中で始まる火災とは、正反対の特徴です。
ここから本当の教訓が見えてきます。頻度の高いリスクと命に関わるリスクは同じではなく、それぞれ別の対策が必要だということです。前者には注意が、後者には警報器が対応します。
火災の死者の約5人に3人は「警報器なし・作動せず」
火災警報器の状態別に見た住宅火災による死者
NFPA(全米防火協会)による米国の住宅火災の分析、2012〜2016年。
出典:National Fire Protection Association, “Smoke Alarms in US Home Fires”(2012〜2016年のデータ)
報告された住宅火災1,000件あたりの死者数
作動する火災警報器がある場合とない場合の比較。
出典:National Fire Protection Associationの火災警報器に関する研究;NFPAの報道資料(2024年9月)
そして、ここからが統計を「今週末にやること」に変える部分です。警報器があるのに作動しなかった場合、その理由はほぼ必ず電池でした。電池切れが故障の約4分の1、そして電池が抜かれていた、または外されていたケースが43%以上を占めていました。
火災警報器の電池を抜くのは、不注意からではありません。料理中に鳴るから抜くのです。これで話はきれいにつながります。住宅火災の最大の原因は、火災を知らせてくれるはずの機器を人が止めてしまう最大の原因でもあるのです。
鍋から火が出たときの対処法
これは必要になる前に読んでおく価値があります。とっさにしてしまう行動こそが、ケガの原因になるからです。油の火に水をかけると、激しい水蒸気爆発が起き、燃えた油が部屋中に飛び散ります。燃えている鍋を流しや戸口まで運ぶと、通った道に沿って火が広がり、自分の体に火を押しつけることになります。
鍋の火災:対処の手順
米国消防庁(USFA)のガイダンス。
出典:U.S. Fire Administration、調理火災の安全に関するガイダンス
今週末にやっておきたい警報器の点検
5つのチェック、約15分
ほとんどの家が、少なくとも1つは引っかかります。
出典:NFPAの火災警報器に関する研究;CPSC/NISTによる家庭の火災警報器の調査(2024年9月公表)
台所に置いておきたいもの (広告リンク)
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最初に買うものとして、台所用の消火器はあえて勧めていません。消火器は持っておく価値がありますが、鍋の火にはふたかブランケットのほうが向いています。至近距離で油の入った鍋に消火器を噴射すると、燃えた液体が飛び散ることがあります。買うなら、コンロの横ではなく出口のそばに置きましょう。そうすれば、取りに行くときに火に向かって歩くことがありません。
よくある質問
Q. イオン化式と光電式、どちらがいいですか?
検知が得意な火災が違います。イオン化式は炎が勢いよく上がる火災に早く反応し、光電式はくすぶる火災に早く反応します。ソファに落ちたたばこや壁の裏の配線のような、寝ている間に命を奪いやすい火災です。光電式は調理の湯気による誤報もずっと少なく、これは重要な点です。誤報こそが電池を抜かれる理由だからです。両方のセンサーを備えた機種なら、どちらにも対応できます。
Q. 逃げるのにどのくらいの時間がありますか?
思っているより短く、ひと世代前よりずっと短くなっています。現代の家具は合成素材が多く、昔の家の木や綿よりはるかに速く燃えます。そのため避難できる時間は数分から、実物大の試験によっては3分未満にまで縮まっています。その場で何とかするつもりでいるのではなく、避難経路を実際に練習しておくべき理由はここにあります。
Q. 夜は寝室のドアを閉めたほうがいいですか?
はい。室内のドアを閉めておくと、煙と熱の広がりがかなり遅くなり、ドアの向こう側にいる人の時間を稼げます。お金はかからず、デメリットがまったくない数少ない火災対策のひとつです。ただし、部屋の中に起こしてくれる警報器があることが条件です。煙を防ぐドアは、廊下の警報器の音も小さくしてしまうからです。
Q. 衣類乾燥機は気にしたほうがいいですか?
実際にあるリスクですが、調理と比べればずっと小さなカテゴリーです。対策は地味なもので、使うたびに糸くずフィルターを掃除し、排気ダクトを定期的に掃除してもらうことです。リスクの原因は、たまった糸くずと熱であって、設計上の欠陥ではありません。
まとめ
- 住宅火災と、住宅火災によるケガの原因の第1位は調理です。2021年の住宅の調理火災は約17万件でした。
- 最大の要因は「その場を離れていた」で37%。配線でも家電の故障でもありません。
- 住宅火災による死者の57%は、警報器がない家(40%)か、警報器が作動しない家(17%)で亡くなっています。
- 死亡率は、作動する警報器がない場合は火災1,000件あたり12.3人、ある場合は5.7人。リスクを約60%減らせます。
- 警報器が作動しなかったケースの43%以上は、電池が抜かれていたか外されていました。たいていは調理中の誤報が理由です。
- 警報器には寿命があります。製造年月を確認し、10年で交換しましょう。
- 鍋から火が出たら、ふたを滑らせてかぶせ、火を止め、そのまま置いておく。水は絶対にかけず、運ばないこと。
- 夜は寝室のドアを閉める。お金はかからず、時間を稼げます。
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参考文献
- U.S. Fire Administration. Cooking fire safety and residential fire statistics (2021 data).
- National Fire Protection Association. “Smoke Alarms in US Home Fires.” Research report, data years 2012–2016.
- National Fire Protection Association. Smoke alarm data release and Fire Prevention Week materials, September 2024.
- U.S. Consumer Product Safety Commission, Fire Protection Research Foundation and NIST. Household smoke alarm survey, published September 2024.
