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停電は長期化している。危ないのは発電機のほうだ

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この記事のポイント ・約9分で読めます

  • 米国の1世帯あたりの停電時間は、2024年に平均11時間。過去10年の約2倍です。
  • そのうち80%は大規模災害によるもの。日常的な故障による停電は年に約2時間でした。
  • 可搬型発電機による一酸化炭素中毒で、米国では年に約100人が亡くなっています。
  • 屋外で、家から20フィート(約6m)離す。CPSCは、ガレージの扉を開けても致死的なCOの蓄積を防ぐだけの換気にはならないとしています。

停電といえば、かつてはろうそくを灯して早めに寝るものでした。ほとんどの停電には、今でもそれで十分です。米国の平均的な世帯が通常の原因で停電していた時間は年に約2時間で、停電の大半は今もそうした通常の原因によるものです。

変わったのは「まれだが極端なケース」のほうです。めったに起きない、長時間の、地域全体の停電が、より長く、より頻繁になってきました。これは2時間の停電とは根本的に別物です。冷凍庫の中身をだめにし、暖房を止め、年に約100人の命を奪います。しかもその死者のほとんどは、身を守るために買った機械によるものです。

夕暮れの通り。手前の集合住宅の窓にだけ明かりがつき、その先はすべて空を背景に暗く沈んでいる。
最後の明かりの先で、灯りは途切れています。

変わった数字

米国の1世帯あたりの平均停電時間

2024年と過去10年の比較。米国エネルギー情報局(EIA)のデータ。

5.5
11
2014〜2023年の平均2024年
過去10年のほぼ2倍で、この10年間で最長です。

出典:U.S. Energy Information Administration, “Hurricanes in 2024 led to the most hours without power in the United States in 10 years.”

この数字の内訳こそが、対策につながるポイントです。11時間のうち、通常の故障(車が電柱に衝突、木が電線に倒れる、変電所のトラブルなど)によるものは約2時間。残りの9時間は大規模災害によるものでした。2024年に米国の人々が停電の中で過ごした時間の80%は、ごく少数の大災害から来ていたのです。

停電時間の内訳

2024年、停電時間全体に占める割合

大規模災害日常的な故障
80%:大規模災害
大半は3つのハリケーンによるものです。ベリル(テキサス州で260万世帯)、ヘリーン(10州で590万世帯)、ミルトン(フロリダ州で340万世帯)。サウスカロライナ州では、1年間の平均停電時間が53時間近くに達しました。

出典:U.S. Energy Information Administration、2024年の電力供給信頼度の年次データ

一般的な「防災の備え」のアドバイスがずれがちなのは、このためです。2時間の停電への備えは懐中電灯1本で済みます。サウスカロライナ州で53時間の停電を生んだような事態への備えは、まったく別の話で、大事なものはほとんどの人が最初に買うものとは違います。

発電機は年に約100人の命を奪う

開いたガレージの外、ドライブウェイに置かれた可搬型発電機。排気が壁をつたって、明かりのついた勝手口のほうへ上っていく。
外で動かし始めたからといって、排気が外にとどまるとは限りません。

買い物のアドバイスの前に、まずこれを伝えます。可搬型発電機は、当サイトで取り上げるもののなかで最も危険なものです。そしてその危険は、火災や感電ではありません。一酸化炭素です。

米国消費者製品安全委員会の見解

可搬型発電機の一酸化炭素に関するガイダンス(2026年1月30日)

約100人可搬型発電機による一酸化炭素中毒での米国の年間死者数
約6m動いている発電機と住宅との最低距離(20フィート)
CPSCは、ドアや窓を開けても、ガレージや閉ざされた空間での致死的なCOの蓄積を防ぐだけの換気にはならないとはっきり述べています。中毒は、症状に気づく前に意識を失うほど速く進むことがあります。

出典:U.S. Consumer Product Safety Commission, “Winter Storms Aren’t Over: CPSC Warns of Deadly Carbon Monoxide Risks and Fires During Power Outages,” 30 January 2026

後半をもう一度読んでください。人の命を奪っているのは、まさにこの思い込みだからです。こうした事故の報告に繰り返し出てくるのが「ガレージの扉は開けておいた」という一文です。扉を開けても換気にはなりません。屋根付きのポーチ、カーポート、窓のある地下室、軒下も同じです。屋外で6m(20フィート)離し、排気口を建物と反対に向ける。そして屋内の各階に、作動するCO警報器を設置します。

発電機を使っていい場所、いけない場所

CPSCのガイダンスを図にしたもの

住宅 ガレージ 使用禁止 約6m以上 発電機 排気口は 家と反対向きに CO 警報器を各階に ガレージは不可。ポーチ、カーポート、地下室、軒下も不可。扉を開けていても同じです。
6mは、だいたい車1台半ほどの長さです。屋外のスペースがそれより狭いなら、その家では発電機は安全な選択肢ではありません。後で紹介するバッテリーという方法が向いています。

出典:U.S. Consumer Product Safety Commission、可搬型発電機に関するガイダンス(2026年)

実際に止まるものと、その順番

停電への備えというと、人は暗さに備えようとします。でも暗さはいちばん小さな問題で、手元のスマホですでに解決できています。本当に困る故障は、ほぼ決まった順番でやってきます。

長時間停電のタイムライン

何が、いつごろ止まるか

経過時間止まるもの起きること
直後照明、Wi-Fi、コンセントで動くものすべて不便になる。懐中電灯と充電済みのスマホでほぼ解決。
2〜4時間スマホのバッテリー連絡手段と情報が、いちばん必要なときに失われる。
4時間冷蔵庫(開けた場合)開けなければ冷蔵庫は約4時間、満杯の冷凍庫は約48時間もつ。
4〜12時間暖房・冷房寒波や熱波のときは本当に危険。特に高齢者。
12〜24時間バックアップ電源で動く近くの携帯基地局スマホが充電されていても電波が弱くなる。
24時間以上井戸水や高層階の水道ポンプには電気が必要。水道本管の水圧はたいてい保たれるが、井戸はそうはいかない。
48時間以上冷凍庫の中身、冷蔵保存が必要な薬停電が出費と健康の問題に変わる時点。
最初に本当に困るのはスマホのバッテリーで、劇的なことが起きるずっと前にやってくる点に注目してください。

出典:停電時の冷蔵に関するUSDA(米国農務省)の食品安全ガイダンス、EIAの停電時間データ(2024年)、CDC(米国疾病予防管理センター)の停電時のガイダンス

実際に起きる停電に合わせて備える

いちばん役に立つ問いは「何を買えばいいか」ではなく「どの停電に備えるのか」です。必要なものはほぼまったく違い、間違った停電に備えて買い物をすると、高価な機械は物置に眠ったまま、停電の夜にスマホのバッテリーが切れる、ということになります。

3つの段階と、それぞれに本当に必要なもの

住んでいる地域と、停電の頻度に合う段階を選んでください。

数時間まで電池を入れた懐中電灯、スマホ用のモバイルバッテリー、そして冷蔵庫を開けないという知識。停電の大多数はこれでカバーでき、費用もほとんどかかりません。
1〜2日スマホ、照明、Wi-Fi、CPAPなどの医療機器を動かせる大きめのポータブル電源。飲み水。屋内で燃焼を伴わない暖のとり方。
3日以上ハリケーンや着氷性の嵐の段階。発電機が役に立つのはここからです。そして、6m(20フィート)ルールとCO警報器は絶対に欠かせません。

出典:EIAの停電時間の分布(2024年)、CPSCの発電機の安全ガイダンス(2026年)、Ready.govの停電への備え

よくあるアドバイスとは逆になるので、はっきり書いておきます。ほとんどの地域のほとんどの家庭にとって、最初に買うべきは発電機よりポータブル電源です。屋内で安全に使え、音がせず、ガレージに燃料を保管する必要もなく、実際に自分が経験する段階の停電をカバーできます。発電機は本当に長い停電には正しい答えですが、6時間の停電には間違った答えです。

実際に買うならこの順番で

安くて役に立つものから順に。ほとんどの家庭は2番目までで十分です。

CO警報器最優先。燃焼を伴う機器や発電機を使うなら必須です。各階に1台。センサーには寿命があるので、交換期限を確認してください。
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モバイルバッテリー最初に止まるのはスマホです。大容量のモバイルバッテリーなら何回も充電でき、外食1回分より安く買えます。
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ヘッドライトまたはランタン何か作業をするなら、手に持つ懐中電灯より両手が空くほうが便利です。いざというときに切れていないよう、電池は別に保管しましょう。
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ポータブル電源1〜2日の段階向け。屋内で安全、静か、燃料不要。実際に動かしたい機器に合わせて、容量(Wh)で選びましょう。
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可搬型発電機へのリンクは載せていません。役に立たないからではありません。何日も続く停電には適した道具です。ただ、設置場所やCO警報器についての知識なしに商品リンクから買った発電機こそが、あの年間100人の死につながる買い物だからです。必要なら、設置や燃料の保管について説明してくれる地元の店で買い、まずCPSCのガイダンスを読んでください。

廊下の棚に、ランタン、ラジオ、たたんだ毛布、水の容器、クーラーボックス、缶詰が並んでいる。
停電の夜ではなく、何もない穏やかな午後に買っておくもの。

よくある質問

Q. 食品は実際どのくらいもちますか?

開けていない冷蔵庫は約4時間、安全な温度を保ちます。満杯の冷凍庫なら約48時間、半分なら約24時間です。食品をいちばん多く守れるルールは、とにかく扉を開けないこと。のぞくたびに冷気が逃げます。安い冷蔵庫用温度計があれば、危険な温度を超えたものがあるかどうかを後から確認できます。においで推測するよりずっと確実です。

Q. 発電機で家の配線に電気を流してもいいですか?

電気工事士が設置した切替開閉器(トランスファースイッチ)がなければ、やめてください。それ以外の方法で発電機を家の回路につなぐと、外の電線に電気が逆流し、電力会社の作業員が感電するおそれがあります。これは「専門家に頼む」が本当に正しい答えになる、数少ないケースの一つです。

Q. 医療機器はどうすればいいですか?

在宅酸素濃縮器、CPAP、薬を保管する冷蔵庫など、電気で動く機器に頼っている家族がいるなら、停電が起きてからではなく、今のうちに電力会社に伝えておきましょう。多くの電力会社は医療上の優先登録制度を設けており、復旧の順番や計画停電の事前連絡に影響します。無料で、電話1本で済みます。

Q. 熱波のときの停電は、冬の停電より危険ですか?

多くの場合そうです。しかも、注目されることがはるかに少ないのです。寒さには重ね着で対応できますが、室温が上がってしまった後の暑さには同じような対処法がありません。そして最も危険なのは、動くのが難しい人たちです。暑い地域に住んでいるなら、大事な停電対策は、最寄りの冷房の効いた公共施設がどこにあり、どうやってそこへ行くかを知っておくことです。

まとめ

  • 米国の1世帯あたりの停電時間は、2024年に平均11時間。過去10年の約2倍です。
  • そのうち80%は大規模災害によるもの。日常的な故障による停電は年に約2時間でした。
  • 可搬型発電機による一酸化炭素中毒で、米国では年に約100人が亡くなっています。
  • 屋外で、家から20フィート(約6m)離す。CPSCは、ガレージの扉を開けても致死的なCOの蓄積を防ぐだけの換気にはならないとしています。
  • 最初に止まるのはスマホのバッテリー。数時間以内です。
  • ほとんどの家庭では、発電機よりポータブル電源が向いています。屋内で安全、静か、燃料不要で、実際に起きる停電の規模に合わせて選べます。
  • 多くの買い物より価値のある、無料でできること:医療機器を電力会社に登録すること、そして冷蔵庫を開けないこと。

一酸化炭素中毒は医療上の緊急事態です。警報器が鳴ったとき、または建物の中の複数の人が同時に頭痛、めまい、吐き気を訴えたときは、全員を屋外の新鮮な空気の中に出し、建物の外から救急(日本では119番)に連絡してください。

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参考文献

  • U.S. Energy Information Administration. “Hurricanes in 2024 led to the most hours without power in the United States in 10 years.” Today in Energy.
  • U.S. Consumer Product Safety Commission. “Winter Storms Aren’t Over: CPSC Warns of Deadly Carbon Monoxide Risks and Fires During Power Outages.” 30 January 2026.
  • U.S. Consumer Product Safety Commission. Portable generator carbon monoxide hazard reporting.
  • U.S. Department of Agriculture, Food Safety and Inspection Service. Refrigerated food safety during power outages.

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