サーフィンのケガ:自分のボードと、サメの本当のリスク
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- サーフィンの急性のケガで最も多いのは、自分のボード、特にフィンによる切り傷です。
- 大きな波、岩やリーフの海底、経験の浅さは、ケガのリスクを2〜3倍に高めます。
- サメによる死亡はまれです。より大きなリスクは溺水で、多くは離岸流の中や監視のない場所で起きています。
- 予防の試験はありませんが、監視のあるビーチ、リーシュコード、ソフトボード、耳栓は根拠に沿った対策です。
2025年9月6日、シドニー北部のビーチ、ロングリーフの沖合約100メートルの監視のないエリアで、サーファーがサメに襲われて亡くなりました。サメによる死亡はいつもそうですが、このニュースは世界中で報じられました。この年、国際サメ被害ファイルが記録した挑発によらない咬傷は世界で65件、死亡は9人で、そのうち5人がオーストラリアでした。ほぼ同じ12か月間に、オーストラリアでは沿岸での溺死が154人記録されています。
サーファーにとってサメは、最も恐れられていながら、最も起こりにくいリスクの1つです。最も多いケガの原因はサーファー自身のボードで、日常的に最も深刻なリスクは水、岩、そして波の大きさです。どれも経験を積んだサーファーが身につけていくパターンに沿っていて、初心者はそれをもっと早く学ぶことができます。
この記事はシリーズの形式に沿って、サーファーが実際にどこをケガするのか、リスクがどこに集中するのか、何がリスクを減らすと測定されているのか、そしてなぜ「海に入らない」が答えではないのかを見ていきます。
実際に多いケガ
サーフィンのケガの発生率は、研究によって大きくばらつきます。サーファーの人数や活動量を数えるのが難しいからです。2021年のレビューでは、サーフィン1,000時間あたり1.1〜13件と幅がありました。趣味と競技のサーファー1,348人を対象にしたオンライン調査では、重い急性のケガは1,000時間あたり1.79件で、肩、足首、頭が多くなっていました。ポルトガルのサーファー1,016人の調査では、1,000時間あたり1.23件でした。
ケガの起こり方は驚くほど一貫しています。22か国のサーファー471人を対象とした調査では、最も多いケガは切り傷で37.4%、ケガの52.4%は自分のボードによるもので、その半分はフィンが原因でした。オーストラリアのビクトリア州では、重いケガの45.2%がボードや他のサーファーとの衝突、36.3%がワイプアウト(転倒)によるものでした。頭部と顔のケガは調査全体では26.2%でしたが、救急外来を受診したケガでは42%を占めていました。19件の研究をまとめたシステマティックレビューでは、自分のボードに当たったことによるケガは、調査では38.6%、病院で治療されたケースでは73.4%で、病院のケースの43.1%は顔、頭、首のケガでした。
サーファーのケガの原因
調査研究と病院のデータに見る、サーフィンの急性のケガの原因と種類
出典:McArthur et al., Sports 8(2):25, 2020年、Dau, Dingerkus and Lorenzによる22か国のサーフィン傷害調査(2005年)
サーフィンは体を少しずつすり減らしもします。ニュージーランドのサーファー1,473人の研究では、慢性的・徐々に発症するケガが1,000時間あたり1.72件あり、多いのは肩、腰、首で、40%は長時間のパドリングが原因でした。これは意外ではありません。サーフィンの時間の約半分はパドリングで、波に乗っているのは4〜5%にすぎないからです。米国の救急外来では、2002〜2013年に推定13万1,494件のサーフィンのケガが治療されました。裂傷が40.7%を占め、患者の95.7%は治療後そのまま帰宅しています。
慢性のケガと救急外来のデータ
ニュージーランドのサーファーの徐々に発症するケガと、米国の救急外来のデータ
出典:Remnant, Unitec研究論文(2017年)、Méndez-Villanueva and Bishop, Sports Medicine 35(1), 2005年、Klick, Jones and Adler, American Journal of Emergency Medicine(2016年)
リスクが集中する場面
最も影響が大きいのは、波の大きさと、その下に何があるかです。競技サーフィンの大会32件を調べた研究では、頭を越える大きさ以上の波ではケガのリスクが2.4倍になり、砂地ではなく岩やリーフの上でのサーフィンでは2.6倍になりました。趣味のサーファーで最も深刻な結果は溺水と頭頸部のケガで、海底に打ちつけて起こることが多くなっています。経験も効きます。ポルトガルの調査では、サーフィン歴5年未満のサーファーは、それより経験のあるサーファーの1.65倍のケガのリスクがありました。

サーフィン特有の病態が2つあります。1つはサーファーズ・ミエロパチーで、初心者に起こる、外傷によらないまれな脊髄の障害です。ハワイの19人の症例報告では、全員が初心者で、17人はサーフィンが初めてでした。突然の腰痛に続いて、1時間以内に脱力やまひが起きています。64例のレビューでは、神経機能が回復したのは42%だけでした。この種の脊髄損傷104例を対象としたより広いレビューでは、58%がサーフィン後に起きており、部分的にでも回復したのは患者の約半数でした。もう1つはサーファーズイヤーで、よく見られ、ゆっくり進みます。冷たい水と風に何年もさらされるうちに、骨の隆起が外耳道を狭めていくものです。ニュージーランドでは、10年以上サーフィンを続けてきた人の90%以上に見られ、米国のある研究では熱心なサーファーの73.5%に見られました。ニュージーランドの調査では、自己申告の有病率は初心者の7.1%から熟練者の55.6%まで上がっていました。
サメのリスクを正しく見る
2025年の世界のサメの咬傷と、オーストラリアだけの沿岸での溺死の比較
挑発によらない咬傷:65件
挑発によらない死亡:9人
サーファー・ボード系スポーツの割合:32%
International Shark Attack File
沿岸での溺死者数:154人
離岸流が関係した割合:37%以上
55歳以上:55%
Surf Life Saving Australia
出典:International Shark Attack File, Florida Museum, 2025年のまとめ、Surf Life Saving Australia, National Coastal Safety Report 2025(Surf Life Saving Queenslandによる要約)
サメと同じくらいの注目に値するのは、溺水のリスクです。米国立気象局(NWS)は、2026年1月から9月中旬までに米国で56人がサーフゾーン(波打ち際の海域)で死亡したと集計しています。オーストラリアの沿岸安全報告書によると、ビーチでの溺死の少なくとも37%に離岸流が関係しており、その年の沿岸での溺死はすべて、遊泳区域の旗の外、監視時間外、または監視のない場所で起きていました。
効果が確認されている対策
サーフィンのケガの予防について、ランダム化比較試験はありません。リーシュコード、ソフトトップのボード、フィンガード、角を丸めたフィン、ヘルメットのいずれも、ケガを減らすかどうかは検証されておらず、それぞれの根拠は上のケガの起こり方のデータだけです。ソフトトップと硬いボードのケガを比較したデータも、まだ発表されていません。1980年代のオーストラリアの研究では、裂傷の4分の1以上がボードのフィン、テール、ノーズによるもので、設計の変更が提案されました。2005年の調査も、安全フィンやノーズガードについて同様の結論を出しています。ヘルメットは今もまれです。米国の小規模な調査では、70%のサーファーが頭のケガを経験していましたが、ヘルメットをかぶっていたのは50人中2人だけでした。2026年のレビューは、ヘルメットの効果に関するエビデンスはまだ不十分だとしています。

サーファーズイヤーについては、観察研究ではあるものの、結果は一貫しています。イングランドのサーファー207人のうち、耳栓やフードを着けていた人は骨の隆起のリスクが低くなっていました。溺水に対する最も強い防御は、監視のあるビーチです。米国ライフセービング協会(USLA)は、加盟するライフガードが監視するビーチで溺死する確率を、来訪約1,800万回に1回と推定しています。英国では2025年、RNLI(英国王立救命艇協会)のライフガードが3,126件の救助を行い、117人の命を救いました。離岸流についての講習を評価した研究では、受講者は4週間後に離岸流を見つけるのがうまくなり、監視のないビーチを避ける傾向も強まっていました。ただし対照群がなく、一部には自信過剰の兆候も見られました。サーファーも安全の仕組みの一部です。オーストラリアの研究では、サーファーが行う救助は年間でボランティアのライフセーバーとほぼ同じ数にのぼり、その4分の3は離岸流の中での救助だと推定されています。
安全はどこから来るか
監視、救助、装備に関する主な研究結果
出典:Attard, Brander and Shaw, Accident Analysis & Prevention(2015年)、Swinney, Hawaii Journal of Medicine & Public Health(2015年)
「やめればいい」が答えではない理由
サーフィンのメリットについて最も強い最近の根拠は、ランダム化比較試験から得られています。2023年、米国の研究者は大うつ病の現役軍人96人を、6週間のサーフセラピーとハイキングセラピーにランダムに割り付けました。プログラム終了直後には、有意な差はありませんでした。3か月後、大うつ病の基準に当てはまらなくなった人は、サーフィン群で74%、ハイキング群で47%でした。その後のサーフセラピー研究のシステマティックレビューでは、研究の内容がばらばらすぎて統合できなかったため、この試験は「有望」であって「確定」ではありません。
うつ病に対するサーフセラピー
大うつ病の基準に当てはまらなくなった軍人の割合(96人を対象としたランダム化比較試験)
出典:Walter et al., BMC Psychiatry 23:109, 2023年

水辺で過ごす時間に関するより幅広い研究も、同じ方向を示しています。イングランドで約2万人を対象にした調査では、海岸を含む自然の中で週に2時間以上過ごすことが、良好な健康状態や幸福感と関連しており、その効果は3〜5時間で頭打ちになっていました。オーストラリアの競技サーファーは、身体面・精神面の健康尺度のどちらでも一般集団の基準値を上回っていました。これらは関連にすぎず、サーフィンをする人はもともと健康なだけかもしれません。それでも、サーファー自身が語っていることとは一致しています。
ケガのデータは、どこに気をつけるべきかも示しています。急性のケガの多くは自分のボードによるものなので、試験による裏付けがなくても、リーシュコード、練習中のソフトトップのボード、角の丸いフィンは理にかなっています。初心者は砂地の小さな波から始め、いつもと違う腰の痛みを感じたらすぐにやめ、必要になる前に離岸流の見分け方を身につけておきましょう。重いケガが集中するのは大きな波と浅いリーフで、溺水が最も少ないのは監視のあるビーチです。冷たい海で経験を積んだサーファーは、耳栓やフードで耳を守れます。ニュースになるのはサメです。でも、実際に管理できるリスクはボード、水、そしてリーフです。
よくある質問
Q. サーフィンで最も多いケガは?
切り傷です。たいていは自分のボード、特にフィンによるものです。病院で治療されたケガでは、頭と顔が最も多い部位です。
Q. サーフィン中にサメに襲われる可能性は?
非常に低いです。2025年、挑発によらないサメによる死亡は世界で9人でしたが、オーストラリアだけで沿岸での溺死は1年で154人にのぼりました。
Q. サーファーズ・ミエロパチーとは?
初心者に起こるまれな脊髄の障害で、初めてのサーフィンで起こることが多く、突然の腰痛から始まります。すぐに救急医療が必要です。
Q. サーファーズイヤーを防ぐには?
観察研究では、耳栓やフードの着用が、冷たい海で長年サーフィンをすることで外耳道を狭める骨の隆起のリスク低下と関連しています。
Q. サーフィンはメンタルヘルスに良い?
うつ病の軍人を対象としたランダム化比較試験では、サーフセラピーのほうがハイキングセラピーより3か月後の結果が良好でした。より幅広い研究の結果は有望ですが、まちまちです。
まとめ
- サーフィンの急性のケガで最も多いのは、自分のボード、特にフィンによる切り傷です。
- 大きな波、岩やリーフの海底、経験の浅さは、ケガのリスクを2〜3倍に高めます。
- サメによる死亡はまれです。より大きなリスクは溺水で、多くは離岸流の中や監視のない場所で起きています。
- 予防の試験はありませんが、監視のあるビーチ、リーシュコード、ソフトボード、耳栓は根拠に沿った対策です。
- ランダム化比較試験では、うつ病に対するサーフセラピーの効果が持続しました。
この記事は発表された研究をまとめたもので、医学的な助言ではありません。できるだけ監視のあるビーチで泳ぎ、サーフィンをしてください。頭のケガ、溺れかけたとき、脱力やしびれを伴う突然の腰痛があるときは、救急(日本では119番)に連絡してください。
さらに詳しく知りたい方へ:サーフィンのケガのシステマティックレビューはMcArthur et al., Sports 8(2):25, 2020年、サーフセラピーの試験はWalter et al., BMC Psychiatry 23:109, 2023年。水泳の講習の効果については、当サイトの水泳のケガと溺水の記事で取り上げています。
- Surf Survival、Andrew Nathanson、Clayton Everlineほか(2019年)。この記事で引用したケガの研究のいくつかを手がけた救急医による、サーファーのための健康ハンドブックです。
- Dr Rip’s Essential Beach Book、Rob Brander(2023年)。海岸の研究者が、離岸流、波、ビーチの安全をわかりやすく解説した本です。溺水の数字の実践編といえます。
- Blue Spaces、Catherine Kelly(2021年)。地理学者が、水辺で過ごすとなぜ気分が良くなるように見えるのか、そして研究で何がわかり、何がわからないのかを解説しています。
参考文献
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