ラグビーの肩の脱臼:手術せずに治療した若い成人の79%が約6年以内に再脱臼

ラグビーの肩の脱臼、繰り返しやすいけが

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  • イングランドのプロラグビーでは、肩の脱臼・不安定症は1件あたり平均81日の離脱につながり、肩のけがの中で最も重いものでした。
  • ラグビーの肩のけがの多くはタックルで起こります。アイルランドの高校ラグビーでは、タックルした側の負傷率がボールを持った側の約3倍でした。
  • 手術をしなかった場合、15〜20歳で初めて脱臼した人の87%が5年以内に再び不安定性を起こしていました。
  • フランスの小規模な試験では、三角巾と理学療法で治療した人の79%が約6年以内に再脱臼したのに対し、早期の関節鏡手術では22%でした。

2026年9月21日、オールブラックスは、主将のアーディ・サヴェア選手が南アフリカでの4連戦のテストシリーズ中に肩を脱臼し、手術が必要になったと発表しました。ロイター通信によると、この手術からの回復には通常4〜6か月かかり、ブレディスローカップと年内の残りの試合には出られない見込みです。世界有数の選手のシーズンが、たった1つの関節で終わったことになります。

手術の主な目的は、すでに起きた脱臼ではなく、次の脱臼を防ぐことです。初めて脱臼した若い成人を対象にしたフランスのランダム化試験では、三角巾と理学療法で治療した人の79%が約6年以内に再び脱臼したのに対し、早期に関節鏡(内視鏡)で修復した人では22%でした。肩の不安定症はラグビーで最も多いけがではありませんが、最も高くつくけがの1つです。

この記事では、タックルが肩関節に何をするのか、このけがで何日失われるのか、初めての脱臼と2度目の脱臼の危険が高いのは誰か、手術とリハビリが試験やラグビー選手の追跡研究でどんな結果を出したのか、その根拠のどこが弱いのか、そしてなぜ競技をやめるのではなく、肩を鍛え、初めての脱臼をきちんと治すことが答えなのかを見ていきます。

タックルが肩に何をするか

肩は安定性と引き換えに大きな可動域を得ています。上腕骨の大きな骨頭が浅い受け皿(関節窩)に乗り、その縁を関節唇という軟骨の土手が深くし、関節包と腱板が支えています。腕が後ろ外側へてこのように押されると、骨頭が前方へ外れることがあります。その際、関節窩の前側から関節唇がはがれる「バンカート損傷」がよく起こり、骨頭の後ろがへこむ「ヒル・サックス損傷」や、関節窩の縁の骨折を伴うこともあります。

ラグビーはその「てこ」を生み出します。肩の外科医レナード・ファンク氏らが2012年にエリート選手24人の映像を分析し、3つの受傷パターンを示しました。腕を頭上に伸ばしたまま地面に押しつけられる「トライスコアラー」、横に広げた腕をボールキャリアに後ろへ持っていかれる「タックラー」、体の横につけた腕への「直接の衝撃」です。前の2つは骨頭を受け皿からてこで外す動きで、多くは脱臼につながっていました。

2019年には、トップリーグと国際試合で撮影された39件の脱臼の分析で、この3パターンが67%を占めました。研究チームは4つ目として、ブレイクダウンでボールを奪おうと覆いかぶさった「ジャッカル(ポーチ)」の姿勢を加え、これが18%でした。残る15%はどれにも当てはまりませんでした。研究全体ではタックルが圧倒的で、イングランド・プレミアシップの16シーズンでは肩のけがの66%がタックルで起きていました。

ラグビーで肩はどう傷つくか

肩のけが、または映像で確認された脱臼のうち、各場面・各パターンによるものの割合。

アイルランドの高校:タックルでの肩のけが81%
イングランド・プレミアシップ:タックルでの肩のけが66%
プロの脱臼:トライスコアラー・タックラー・直接の衝撃67%
プロの脱臼:ブレイクダウンでのジャッカル姿勢18%
プロの脱臼:既知のパターンに当てはまらない15%

出典:Leahy et al., Orthopaedic Journal of Sports Medicine(2021)、West et al., British Journal of Sports Medicine(2020)、Montgomery et al., American Journal of Sports Medicine(2019、脱臼39件)。

代償は日数で数えられます。ヘディー氏らが2007年に報告したイングランド・プレミアシップの調査では、脱臼・不安定症は肩のけがの中で最も重く、平均81日の離脱で、肩のけがによる離脱日数全体の42%を占めました。2026年のメタ解析(37研究)では、肩のけが1件あたりの平均は57日でした。比較として、2002〜04年のプレミアシップの試合でのけがは平均18日です。頭部のけがとタックルのルールについては、ラグビーのタックルを扱った以前の記事で紹介しています。

けが1件あたりの離脱日数

1件あたりの平均離脱日数。調査方法や定義が異なるため、細かな差より桁の違いとして見てください。

肩の脱臼・不安定症、イングランド・プレミアシップ81
肩のけが全体、10コホートの統合値57
肩のけが全体、アイルランド高校シニアカップ47
肩のけが全体、スーパーラグビー2005〜2010年37
試合でのけが全体、イングランド・プレミアシップ2002〜04年18

出典:Headey et al., American Journal of Sports Medicine(2007、Lynch et al. 2013とWatura et al. 2025の引用による)、Doyle et al., Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery 146:273(2026)、Leahy et al.(2021)、Usman et al., Journal of Science and Medicine in Sport(2015)、Brooks et al., BJSM 39(10):757(2005)。

危険が集中するところ

点描の抽象画:地平線の上でわずかに前へ傾く高い点の柱。その上部に後ろから細い直線が押し当てられ、柱の影の中に小さな柱がまっすぐ立っている。
やって来る重みに、身を預けて。

危険の大半を負うのはタックルする側です。アイルランドの高校シニアカップを2シーズン追った研究では、試合中の肩のけがの81%がタックルで起き、タックラーの負傷率は試合1,000時間あたり7.5件と、ボールキャリアの2.3件の3倍を超えていました。肩のけがは試合での離脱を伴うけがの23%でしたが、離脱日数では35%を占め、主にバックスに起きた脱臼・亜脱臼が最も負担の大きいけがでした。

競技レベルも影響します。フランス・ラグビー連盟の保険会社は5シーズンで、登録選手の肩の脱臼・亜脱臼を1,345件記録しました。男性ではシーズンあたり1万人に約10件です。シニアのプロ選手では1万人あたり83件と、シニアのアマチュアやジュニアの4〜5倍で、子どものラグビースクールではほとんど起きていませんでした。プロはより激しく、より頻繁にタックルし、けがの報告もより漏れなく行われていると考えられます。

競技レベル別の肩の脱臼(フランス)

登録選手1万人・1シーズンあたりの脱臼・亜脱臼の報告件数(2008〜2013年、保険請求ベース)。

シニアのプロ選手83
ジュニア21
シニアのアマチュア17
カデット(年少の育成年代)12
ラグビースクール(子ども)<1

出典:Bohu et al., British Journal of Sports Medicine(2014、1,345件)。保険会社への報告に基づくため、プロのほうが漏れなく報告されている可能性があります。

その次に来るのが2度目の脱臼です。初めて脱臼し、三角巾と理学療法で治療した15〜35歳の252人を追った研究では、2年以内に56%、5年以内に67%が再び不安定性を起こしました。年齢の影響が大きく、初回が15〜20歳だった人では5年以内に87%が再発したのに対し、31〜35歳では31%でした。女性より男性のほうがはるかに多く再発していました。

手術をしない場合の初回脱臼後の再発

保存療法後にさらに不安定性(脱臼または亜脱臼)を起こした人の割合。ラグビーの行は選手の自己申告や保険記録に基づくコホート。

初回脱臼が15〜20歳、5年以内86.6%
21〜25歳、5年以内73.8%
26〜30歳、5年以内48.8%
31〜35歳、5年以内30.7%
フランスのラグビー選手、初回後(治療法を問わず)68.8%
日本の高校ラグビー選手、同じシーズン内の再受傷54.3%

出典:Robinson et al., Journal of Bone and Joint Surgery (Am)(2006、年齢別の数値はGurney-Dunlop et al. 2017の引用による)、Gérometta et al., Arthroscopy 学会抄録(2017)、Kawasaki et al., Journal of Shoulder and Elbow Surgery(2014)。

ラグビー選手は、若く、男性で、繰り返しぶつかり合う競技に戻るという、最も条件の悪い層に当てはまります。2012〜13年に連盟の保険会社へ初回の脱臼・亜脱臼を届け出たフランスの選手では69%が再発し、半数が最終的に安定化手術を受けました。日本の強豪高校7チームの378人では、15%がすでに脱臼の経験があり、脱臼したことのある肩の54%がそのシーズン中に再び傷めていました。

測定でわかった有効な対策

点描の抽象画:地平線上の浅い点の受け皿に乗る点の球。受け皿の手前の縁に短い直線が支えのように添えられ、そばに小さな琥珀色の四角がある。
低い縁を、少しだけ高く。

最も強い根拠は、初回脱臼のあとに早期手術と三角巾・リハビリを比べた試験です。フランスの試験では18〜25歳の40人を、2週間以内に関節鏡でバンカート修復をするグループと保存療法のグループに分け、固定期間と理学療法は同じにしました。2年時点で不安定性の再発は手術群の10%、保存療法群の65%でした。約6年では28%対90%、脱臼そのものは22%対79%でした。

機能にも差が出ました。同じ試験で、以前と同じかそれ以上のレベルで競技に戻れたのは手術群の82%、保存療法群の21%で、保存療法群の半数近くは結局、安定化手術を受けました。より古く小規模な試験も同じ方向を示しています。30歳未満の40人の試験では、2年時点の再脱臼が早期修復で16%、固定で47%。若いアスリートを対象にした別の試験では、不安定性の再発が11%対75%でした。

初回脱臼後のランダム化試験

手術群と保存療法群の再発率。若い成人を対象とした小規模な試験で、ラグビー選手に限ったものはありません。

フランス、約6年での脱臼:三角巾とリハビリ(19人)79%
フランス、約6年での脱臼:関節鏡での修復(18人)22%
カークリー試験、2年での再脱臼:固定47%
カークリー試験、2年での再脱臼:関節鏡での修復15.9%
ボットーニ試験、約3年での不安定性:保存療法(12人)75%
ボットーニ試験、約3年での不安定性:関節鏡での修復(9人)11.1%

出典:Pougès et al., American Journal of Sports Medicine 53(10):2289(2025)、Kirkley et al., Clinical Journal of Sport Medicine 抄録(1997)、Bottoni et al., American Journal of Sports Medicine(2002)。

ラグビー選手では、どの手術を選ぶかがよく問題になります。ラタルジェ法は肩甲骨の前にある骨片を関節窩の縁へ移す手術で、縁がすでに欠けている場合に役立ちます。ラグビー選手の37肩を調べたある研究では、73%に関節窩の骨の損傷がありました。競技レベルの選手62人を比べたフランスの研究では、再発は観血的バンカート修復で19%、観血的ラタルジェ法で3%、ラグビー復帰までは約8か月対6か月でした。

ただし、見た目ほど決着してはいません。このフランスの比較は1990年代のバンカート群と2010年代のラタルジェ群を比べたもので、画像検査の精度、使う器具、リハビリの内容も異なり、著者自身がその点を限界として挙げています。2015年のレビューは、エリートラグビー選手の手術研究を5件しか見つけられず、すべて後ろ向きで、方法の質は低い評価でした。2026年のメタ解析でも術式同士のランダム化比較は1件もなく、ラグビーでの保存療法の根拠は1研究だけでした。

試験の結果にも注意点があります。フランスの試験では手術群の脱臼はすべて2年目以降に起きており、差は時間とともに縮まります。若い患者5,142人を含む21研究を統合すると、再脱臼は手術で16%、手術なしで25%と、最良の試験が示すより小さな差でした。予防も証明されていません。イングランドの地域クラブ41チームの試験では、脳振とうを減らしたウォームアップの群で肩のけがが1,000時間あたり1.7件対1.0件と多く、ただし脱臼は少なくなっていました。

プレーをやめるのではなく、慎重に続けるべき理由

点描の抽象画:広い地平線の上で、正面からではなく緩やかな角度で出会う2つの点の球。その間を消失点へ向かう長い直線が走り、直線の上に小さな琥珀色の四角が載っている。
角度をつけて出会い、そのまま進む。

肩の安定化手術を受けた選手の多くはラグビーに戻っています。2026年のメタ解析は775件の手術を統合し、復帰までの平均を約6か月としました。コンタクト・コリジョン競技の選手の関節鏡バンカート修復を調べたレビューでは、競技復帰率は90%、同じレベルへの復帰は81%でした。初めての脱臼は、引退ではなく、診察と画像検査、そして手術について十分に話し合うきっかけにすべきものです。

けがをする前にできるのは、技術と筋力です。腕を体の後ろに残したままのタックルや、伸ばした腕で着地する動きは、指導で直したいパターンで、腱板や肩甲骨まわりの筋肉は鍛えることができます。イングランドでは地域の若年ラグビー向けに肩に特化したウォームアップが試験的に導入されましたが、選手がこなしたメニューは58%にとどまり、一般的なプログラムの97%を大きく下回りました。けがを減らすかどうかはまだ検証されていません。

けがの後の危険は、不安定な肩のまま早く戻りすぎることです。脱臼を繰り返すほど関節の傷みは増え、手術を待つ肩を調べた研究では、初期の関節症が脱臼の回数や頻度と強く関係していました。ラグビーの肩についての根拠は小規模な試験と選ばれた集団の追跡研究の集まりですが、向いている方向は同じです。若いコンタクト選手は、初めての脱臼を真剣に扱ったほうがよい結果になります。サヴェア選手の主治医が目指しているのも、次の1試合ではなく、この先何年もプレーを続けることでしょう。

よくある質問

脱臼した肩は自然に治りますか?

三角巾と理学療法で落ち着くことはありますが、コンタクトスポーツに戻る若い男性では、たいてい再び脱臼します。ある追跡研究では、15〜20歳の87%が手術なしで5年以内に再び不安定性を起こしていました。

若いラグビー選手は初めての脱臼で手術を受けるべきですか?

若い成人の試験では、早期の関節鏡手術で再脱臼が大きく減りましたが、規模は小さく、ラグビー選手に限ったものではありません。年齢、画像で見える骨の損傷、シーズンの時期によって判断が変わるため、肩の専門医と相談して決めることです。

バンカート修復とラタルジェ法はどう違うのですか?

バンカート修復は、はがれた関節唇を関節窩に縫い戻す手術で、ふつうは関節鏡で行います。ラタルジェ法は骨片を関節窩の前に移す手術で、縁が欠けている場合によく選ばれます。ラグビー選手の追跡研究では再発の点でラタルジェ法が有利でしたが、両者を比べた試験はありません。

肩の手術からラグビー復帰まで、どのくらいかかりますか?

ラグビーやコリジョン競技の選手の研究では、術式によって平均約5〜8か月です。ロイター通信は、この手術からの回復には通常4〜6か月かかると伝えています。

運動で肩の脱臼を防げますか?

肩のプログラムでラグビーの脱臼が防げると示した試験はまだありません。筋力トレーニングとタックル技術の練習は理にかなっており、一般的なウォームアップは他のけがを減らします。

まとめ

  • イングランドのプロラグビーでは、肩の脱臼・不安定症は1件あたり平均81日の離脱につながり、肩のけがの中で最も重いものでした。
  • ラグビーの肩のけがの多くはタックルで起こります。アイルランドの高校ラグビーでは、タックルした側の負傷率がボールを持った側の約3倍でした。
  • 手術をしなかった場合、15〜20歳で初めて脱臼した人の87%が5年以内に再び不安定性を起こしていました。
  • フランスの小規模な試験では、三角巾と理学療法で治療した人の79%が約6年以内に再脱臼したのに対し、早期の関節鏡手術では22%でした。
  • 術式を比べた根拠は後ろ向き研究ばかりで、肩に特化した予防法はまだ検証されていません。初めての脱臼をきちんと治し、プレーに戻りましょう。

この記事は公表された研究の要約であり、医学的な助言ではありません。肩を脱臼したことがある方や、タックルの際に肩が緩い・ずれる感じがある方は、医師またはスポーツ理学療法士に相談し、コンタクトプレーに戻る前に肩の専門医への紹介を受けてください。

さらに読む:ラグビーの肩のけがの最新の統合データは Doyle et al., Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery(2026)。3つの受傷パターンは Crichton, Jones and Funk, British Journal of Sports Medicine(2012)。6年間の追跡試験は Pougès et al., American Journal of Sports Medicine(2025)。

おすすめの3冊
  • Built to Move、Kelly Starrett and Juliet Starrett(2023)。体を丈夫に保ち、競技を続けるための可動性と筋力の毎日の習慣。ラグビー専門ではなく一般向けの内容です。
  • Outlive、Peter Attia(2023)。医師が、生涯を通じた筋力と安定性のトレーニングの大切さを説く本。幅広い内容で、ラグビーの本ではありません。
  • The Art of Uncertainty、David Spiegelhalter(2024)。ケンブリッジの統計学者が、不確かさの中での判断について解説します。小規模な試験と限られた追跡研究しかないときの考え方に役立ちます。

参考文献

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