オーストラリアの海難事故:ボートの死者は減っていない

海上を走るマリン・レスキューNSWの救助艇
資料写真:マリン・レスキューNSWの船。写真:FotoSleuth(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)
少ないが減っていない2026年10月4日更新

トレンドの要約

  • オーストラリアの商業船での死者はまれで、年に数人の水準が続いています。はるかに多くの人が亡くなっているのはレジャーボートで、その数は減っていません。
  • オーストラリアの2025-26年度の溺死は313人で、前年の過去最多357人より12%少ないものの、10年平均を10%上回っています。ボートや水上の乗り物を使っていて溺れる人は、平均で年49人です。
  • 国内の商業船では、AMSAが2025年に運航中の死者4人を記録し、2024年と同じでした。負傷者は228人(うち重傷44人)、船外転落は92人でした。
  • 救命胴衣の未着用、飲酒、沿岸の砂州(バー)の横断、疲れた、あるいは監督のない見張り番が、調査で繰り返し見つかっています。
313人溺死者、オーストラリア、2025-26年度(−12%)
49人ボート・水上の乗り物での年間の溺死者、全国平均
4人国内の商業船での死者、2025年
4,174件AMSAへの海難事故報告、2025年

数字が示すこと

オーストラリアでは、海での死者を2つの別々の仕組みで数えています。レジャーボートの死者は、ロイヤル・ライフ・セービング・オーストラリアとサーフ・ライフ・セービング・オーストラリアが検視記録から溺死として数えます。2026年9月10日に公表された「全国溺死報告2026」(英語)では、2025-26年度の溺死は313人で、2024-25年度の過去最多357人から減りましたが、10年平均を10%上回りました。沿岸部が死者の48%(151人)を占めます。ロイヤル・ライフ・セービングによると、ボートや水上の乗り物を使っていて溺れる人は平均で年49人(英語)で、最も悲惨な事故にはボートが関わっています。2025-26年度に複数の死者が出た溺水事故は14件、死者は30人で、ほぼ10年で最多でした(ロイヤル・ライフ・セービング、英語)。

商業船の事故は、オーストラリア海事安全局(AMSA)が数えます。同局の「海難事故年次報告2025」(英語)は、国内の商業船、規制対象のオーストラリア船、外国船を合わせて4,174件の報告を挙げており、2024年の5,625件から減りました。減少の大半は2025年1月1日の報告ルールの変更によるもので、約1,272件の設備の不具合報告が事故として数えられなくなったため、2年を直接比べることはできません。国内の商業船では、2025年に死亡事故4件、死者4人でした。2024年も4人(英語)、2023年は3人(英語)で、2023年の死亡率は乗組員10万人あたり1.5人と、5年平均の3.0人を下回りました。2019〜2023年にこれらの船で亡くなった13人のうち7人は漁船でした。

背景にあるもの

同じいくつかの原因が繰り返されています。AMSAの2024年の数字では、アルミ製の小型漁船が転覆して乗組員2人が溺れ、2人とも救命胴衣を着けていませんでした。2025年には、沿岸の砂州を越えようとしたチャーター船が転覆し、救命胴衣を着けていなかった乗組員が亡くなりました。ロイヤル・ライフ・セービングによると、ボートで溺れた成人の少なくとも15%は、法定の飲酒基準を超えていました。疲労も共通する要因です。AMSAは2025年に見張りと乗組員の基準に関する通知(英語)を改めて出し、2026年9月には、資格のない乗組員が舵を握ったまま眠り込み、漁船が岩に乗り上げた事例を紹介しました(Marine Business News、英語)。

大型船について、運輸安全局(ATSB)の最近の調査が指摘するのは、天候よりも船橋のシステムと訓練です。調査船ヌイナはハード島沖で、航海用の測深機を切ったまま座礁しました。バス海峡を行き来するマシュー・フリンダーズIII号は、乗組員が予備の操舵装置の訓練を受けていなかった中で操舵を失いました。公式の数字はリスクを小さく見せている可能性もあります。2022年の商業漁業の研究は、実際の死亡率は公式記録より高い(英語)と論じています。

最近の事例

  • 2026年9月10日:「全国溺死報告2026」が、2025-26年度の溺死を313人とし、前年より12%少ないものの10年平均を10%上回るとしました(ロイヤル・ライフ・セービング、英語)。
  • 2026年7月7日:貨客船マシュー・フリンダーズIII号がバス海峡で操舵を失い大きく傾いた件で、ATSBが運航会社に安全管理システムの改善を勧告しました(ATSB、英語)。
  • 2026年3月12日:ATSBが、乗客80人と乗組員44人を乗せたオーストラリア船籍のクルーズ船コーラル・アドベンチャラー号が2025年12月27日にパプアニューギニアで座礁した件の予備報告を公表しました。その2か月前には、80歳の乗客がリザード島に置き去りにされて亡くなっていました(ATSB、ABC News、英語)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くはオーストラリア連邦政府、州・準州の機関、規制機関、事故調査機関、国の統計機関の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。タイトルは原文(英語)のままです。見つけた資料で発表年しかわからないものは、年だけを記しています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

オーストラリアの海難事故に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の50件、1年に最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2007

さかのぼった年には5件に満たないところがあります。オーストラリア政府の古い発表の多くは元のアドレスで公開されておらず、見つけて確認できたものだけを載せているためです。

写真リスト

ビーチでレスキューボードを持つサーフライフセーバー
資料写真:レスキューボードを持って監視にあたるサーフライフセーバー、2012年。写真:Simon_sees(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)
港を走るシドニーのフェリー
資料写真:シドニーのフェリー、2014年。写真:DearEdward(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。オーストラリアの統計は州・準州ごとに別々に公表されることが多く、会計年度は7月から翌年6月までのため、それぞれの数値がどの地域・期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。