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ロマンス詐欺の被害者は、だまされなかった人より学歴が高かった。最新の手口はお金を要求しない

この記事のポイント ・約16分で読めます

  • 被害者は、詐欺に遭ったことのない人よりも学歴が高めでした。学歴が1段階上がるごとに、被害に遭うオッズは約1.8倍。ネットセキュリティにどれだけ詳しいと自己評価していたかは、まったく関係ありませんでした。
  • 被害者は高齢者ではなく中年層でした。63%が35〜54歳で、55歳以上は16%にすぎません。女性は60%でした。
  • お金の話が出る前に、手なずけ(グルーミング)は終わっています。予防のための助言のほとんどは、何か月も続いてきたシナリオの最終段階にしか向けられていません。
  • 現在の手口は、お金をまったく要求しません。勧めてくるのは投資です。ロマンス詐欺への警告と投資詐欺への警告は、それぞれ別の犯罪を想定して書かれているため、そのすき間をうまくすり抜けてしまいます。

ロマンス詐欺の被害者と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、パソコンに疎い孤独な年金生活者でしょう。ところが、研究者が被害者と非被害者を実際に比べてみると、このイメージはことごとく外れていました。被害者は高齢者ではなく中年層で、女性がやや多いものの圧倒的というほどではありません。そして、「だまされやすさ」の議論に決着をつけるべき発見として、被害者は詐欺に遭ったことのない人よりも学歴が高かったのです。ネットセキュリティに詳しいという自信の有無は、まったく何の予測にもなりませんでした。

もう一つ知っておきたいのは、いま最も大きな被害を出しているタイプの詐欺はお金を一切要求しないということです。求めてくるのは「投資」です。たったこれだけの違いで、誰もが聞かされてきた2つの助言のちょうど間をすり抜けます。それぞれの助言が、別の犯罪を想定して書かれているからです。

この記事では、だまされる側ではなく「シナリオ」のほうに注目します。シナリオがたどる段階、誰がひっかかるのかについて研究データが示すこと、公式統計がある分類を過小に、別の分類を過大に見せている理由、そして被害を実際に減らすものは何か。答えは、偽プロフィールを見抜く目を鍛えることではなく、お金の動きに関するルールと、銀行に関する法改正でした。

夕暮れの誰もいない列車の車内。両側の窓が明るく光り、座席の背もたれが奥の明るい扉に向かって並んでいる。
向かいの席に、3か月間。

シナリオには段階があり、お金の話は最後に出てくる

Monica Whittyは、オンラインデートのロマンス詐欺を経験した20人(お金を失った人と失わなかった人の両方)にインタビューし、その証言から段階モデルを組み立てました。このモデルは2013年以来、この分野の基準になっています。構造上の重要なポイントは、金銭の要求が出る前に手なずけが完了していることです。多くの場合、何週間も何か月も毎日やりとりした後です。お金の話が出るころには、守るべきものは「関係」そのものになっており、要求はその関係を試すテストになっています。

各段階と、そこで通用しなくなる定番の助言

段階起きることいつもの警告が外れる理由
1. 動機相手を探している状態。これは弱点ではなく、マッチングサイトにいる人なら誰でもそうです。この段階に向けた助言は、結局「恋人を探すな」と言っているのと同じです。
2. 理想的なプロフィール相手に合わせて作られたプロフィール。盗んだ身元か架空の人物で、驚くほど相性が良さそうに見せかけます。「プロフィールが偽物か確かめましょう」。対照研究で261人に実際にそれをやってもらったところ、難しいことがわかりました。
3. 手なずけ(グルーミング)何週間〜何か月も、毎日濃密なやりとりが続きます。友人や家族から引き離されます。お金の話は出ません。通報することも、止めるべき取引もありません。警告はすべてお金に関するもので、お金はまだ登場していません。
4. 様子見小さな頼みごと。プレゼントや少額のお金など、断ると冷たく感じられる状況で頼まれます。金額が小さいので、断るとお金の問題ではなく、関係そのものへの意思表示に見えてしまいます。
5. 本番(だまし取り)大きな要求。たいていは病気、法的トラブル、海外で事業が立ち往生したなどの緊急事態として持ち出されます。定番の助言が想定しているのはこの段階だけで、しかもこれは最後にやってきます。
6. 再被害被害者の一部は再び狙われます。「失ったお金を取り戻せる」と持ちかけてくる人に接触されることもあります。Whittyは「ニアウィン(あと少しだった)現象」、つまり手が届きかけたという感覚が、被害者が抜け出せず、また戻ってしまう理由の一つだと指摘しています。
真ん中の列を上から読んでいくと、お金が出てくるのがいかに遅いかがわかります。予防の助言は、ほぼすべて第5段階に集中しています。その時点では、関係はすでに何か月も続いています。これは助言が無意味だという話ではありません。助言が効きうるタイミングの話です。

出典:Whitty, M.T., “The Scammers Persuasive Techniques Model”, British Journal of Criminology 53(4), 2013(被害者20人へのインタビューに基づく)。段階の一覧は Whitty, M.T., “Who can spot an online romance scam?”, Journal of Financial Crime, 2019 の要約による。

実際に被害に遭っているのは誰か

Whittyは英国の成人1万1,780人を調査し、ロマンス詐欺の被害者200人と、大量勧誘型の詐欺に一度も遭ったことのない1万723人を比較しました。この種の比較としては最大規模で、世間でよく言われる思い込みのほとんどが、この結果の前では分が悪くなります。

ロマンス詐欺被害者の年齢

英国の成人1万1,780人の調査から、被害者200人。

若年層(18〜34歳)21%
中年層(35〜54歳)63%
高齢層(55歳以上)16%
高齢者は最も被害が少ないグループでした。Whittyはその意味をはっきり述べています。高齢者だけを対象にした予防策は、この詐欺に関しては的外れだということです。被害者の60%が女性、40%が男性で、偏りは確かにありますが、よく語られるほど一方的ではありません。

出典:Whitty, M.T., “Do You Love Me? Psychological Characteristics of Romance Scam Victims”, Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 2017.

学歴は、固定観念とは逆の方向に働いていました。測定したほかのすべての特性と合わせてロジスティック回帰分析を行うと、学歴が1段階上がるごとに、ロマンス詐欺の被害者であるオッズは約1.8倍になっていました(b = 0.590、p < 0.001)。Whittyは、これが「詐欺にひっかかるのは頭の良くない人だ」という通説に反することを率直に指摘しています。彼女が示す説明は居心地の悪いものですが、じっくり考える価値があります。学歴の高い人ほど「自分なら見抜ける」と自信を持っているのかもしれない、というものです。

通説をくつがえす2つの結果

1.8倍学歴が1段階上がるごとの被害オッズ
p = 0.66ネットセキュリティの知識の自己評価。関連はまったくなし
このサンプルでは、学歴も、セキュリティ知識への自信も、身を守る役には立っていませんでした。被害を予測したのは、知能とは無関係な特性です。切迫感(せっかちさ)と刺激を求める傾向(いずれも p < 0.001)、そしてのめり込みやすい気質。最後の点は、「いったん物語が始まると抜け出せなかった」という、聞き取りで被害者が語る内容とも一致します。

出典:Whitty, 2017、二項ロジスティック回帰、モデルに含まれた N = 10,923。

このモデルの中には、そのまま繰り返すより疑ってかかるべき結果も一つあります。被害者は「親切さ」のスコアが低かったというものです。Whitty自身も説明が難しいとして、2つの相反する解釈を示しています。人づきあいの少ない人は、プロフィールを一緒に確かめてくれる友人が少ないという解釈と、この詐欺は被害者を周囲から孤立させるので、指標が原因ではなく「結果」を拾っているという解釈です。論文には載っていますが、見出しにすべき結果ではありません。

2つの警告の間をすり抜ける手口

2021年ごろから、この詐欺の主流は「緊急事態と銀行振込」で終わる形ではなくなりました。終わり方は「投資」です。呼び名はさまざまで、オーストラリアでは「ロマンス・ベイティング」、セキュリティ業界では「クリプトロム」、そして屠殺前に家畜を太らせることを指す中国語を訳した「豚の屠殺(ピッグ・ブッチャリング)」とも呼ばれます(日本では投資型ロマンス詐欺)。10年以上にわたり詐欺被害を研究してきたCassandra Crossは、これは新しい犯罪ではなく2つの古い犯罪を意図的に組み合わせたものであり、その組み合わせが効果的な理由は具体的で、少し背筋が寒くなるものだと論じています。2種類の予防の助言を、同時に無力化してしまうのです。

両方の警告がすり抜けられる

定番の助言と、それがもう効かない理由

会ったことのない相手にお金を送らないロマンス詐欺の定番の警告です。投資型ロマンス詐欺では、被害者は相手にお金を送りません。自分の取引口座だと思っているものを開設し、自分で入金します。取引の見た目は警告された状況と何ひとつ似ておらず、お金は消えるその瞬間まで、形式上は自分のものです。
突然投資話を持ちかけてくる相手を疑う投資詐欺の定番の警告で、勧誘電話や悪質な投資勧誘業者を想定して書かれたものです。ここでの投資話は見知らぬ人からの勧誘ではありません。3か月間毎日話してきた相手が、自分もやっていることとして何気なく口にする提案です。
代わりになるものCrossは、犯人側も啓発キャンペーンを読んでいるので、個別の警告は常に一歩遅れると論じています。彼女の提案は、メッセージの焦点を「筋書き」から「取引そのもの」に移し、詐欺の啓発ではなく一般的な金融リテラシー教育に組み込むことです。どんな投資にも使える見極め方であれば、表向きの作り話が変わっても効き目がなくならない、という考え方です。
この詐欺をただ非難するだけでなく、わざわざ取り上げる理由はここにあります。それぞれ想定した犯罪にはまったく正しい2つの助言があり、その間を狙って設計された手口がある、ということです。

出典:Cross, C., “Romance baiting, cryptorom and ‘pig butchering’: an evolutionary step in romance fraud”, Current Issues in Criminal Justice, 2023.

統計の数字と、それが両方向にずれている理由

夜の暗い建物の正面。窓はすべて消灯しているが、一つだけ暖かく光っている。
午前2時、まだ誰かが起きています。

見出しになる数字は大きなものです。2025年の最初の9か月で、米国連邦取引委員会には5万5,604件のロマンス詐欺の届け出があり、被害額は11億6,000万ドルと、前年同期比で22%増えました。2025年第3四半期に届け出られた被害額の中央値は2,218ドルです。FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)は、2025年に100万件余りの苦情で総額約210億ドルの被害を記録しました。詐欺関連の被害額のほぼ半分を投資詐欺が占め、60歳以上の被害は77億ドルと前年から37%増えています。2025年にロマンス詐欺でお金を失ったと届け出た人の6割近くは、きっかけがマッチングサイトではなくSNSだったと答えています。

ここからは注意点です。こちらのほうが総額より重要です。詐欺はあらゆる犯罪の中でも届け出率が最も低いものの一つで、推計では3分の1未満、オンラインではさらに低いとされます。つまり上の数字はすべて「最低ライン」です。さらに、前のセクションで説明した手口の融合によって、被害額がひっそりと別の分類へ移っています。

ロマンス詐欺の被害額はどこへ消えたか

オーストラリアの届け出被害額(ACCC Scamwatch、Cross〈2023〉による整理)。融合した手口の被害は投資詐欺の分類に吸収されました。

年投資詐欺ロマンス詐欺
20203億2,800万豪ドル1億3,200万豪ドル
20217億2,000万豪ドル超1億4,800万豪ドル
202215億豪ドル2億1,000万豪ドル
額面どおりに読むと、投資詐欺が爆発的に増え、ロマンス詐欺はほとんど変わっていないように見えます。Crossは、これは届け出の分類方法による見かけ上の現象だと指摘します。投資型ロマンス詐欺は、お金を失ったのが投資の場面なので投資詐欺として記録されるのです。ロマンス詐欺の数字が横ばいなのは、犯罪の増加が止まったからではありません。増えた分が別の場所で数えられているからです。そしてこの数え方が、政府が予防予算をどこに振り向けるかを左右しています。

出典:Cross, 2023(ACCC Targeting Scams 報告書を引用)。論文中で2020年と2021年の値が2か所でわずかに異なっており、ここでは統計のセクションの数値を使用しています。

偽プロフィールを見抜くのは本当に難しい

最もよく聞く助言は「プロフィールをよく見なさい」です。Whittyはこれを直接検証しました。261人にプロフィールを見せ、それぞれ本物か詐欺かを判定してもらったのです。主な結果は、難しかったということです。正答率が高かったのは、恋愛に対する理想主義的な信念が弱い人、衝動性が高い人、将来の結果をよく考える人、過去にロマンス詐欺に遭遇したことがある人、そして唯一すぐに実行できる項目として、回答に時間をかけた人でした。

最後の点こそ、個人の警戒心がここで提供できるもののすべてです。あまりに小さいからこそ、真剣に受け止める価値があります。ゆっくり判断することは役に立ちました。賢さも、自信も、詐欺についての一般的な知識も役に立ちませんでした。この発見は重要と判断され、Whittyは自身のモデルに「見抜く」段階を追加しています。

この根拠が見た目より弱いところ

ここまでの内容にはすべて限界があります。一方向にだけ話を進める記事では、この記事が批判していることを自分でやることになってしまいます。

注意して読む

これらの結果を割り引いて受け止めるべき4つの理由

被害者像は相関関係で、しかも自己申告1万1,780人の調査は1つの国のオンラインパネルで、ロマンス詐欺のグループは200人です。示しているのは関連であって因果ではなく、ある特性が詐欺の前からあったのか、詐欺によって生じたのかは区別できません。「親切さ」の結果は、そのあいまいさの最もわかりやすい例です。
公式の総額は、どちらの方向にも当てにならない届け出の少なさは数字を押し下げます。自己申告の被害額は多めにも少なめにも報告されえます。さらに分類の移動によって、被害の一群がまるごと別の項目に移ります。単一の詐欺分類での前年比の増減率は、かなり疑ってかかるべきです。
段階モデルは20人のインタビューから生まれたシナリオの説明として最もよく知られ、その後の研究でも支持されていますが、自ら名乗り出た人の小規模な質的サンプルから作られたものです。詐欺に気づかなかった人や届け出なかった人は、そもそも含まれていません。
啓発キャンペーンの効果は誰も示していないCrossの評価では、現在の取り組みは意図どおりに機能していません。彼女の代案である一般的な金融リテラシーや健全な人間関係についての教育も、検証済みの介入ではなく提案です。本人もそう明言しています。紹介できる効果検証済みのプログラムはないため、この記事でも紹介していません。
この記事で確かな主張は、構造に関するものです。お金の話は最後に出てくる、2つの警告がすり抜けられる、見抜くのは難しい。誰がひっかかるかについての主張は根拠が弱く、被害者像を作り上げるためではなく、主に固定観念を取り除くために役立ちます。

出典:Whitty, 2017・2019、Whitty, 2013、Cross, 2023。

被害を実際に減らすもの

2つあります。どちらも「だまされにくくなる」ことではありません。

1つ目は、人ではなく取引に結びつけたルールです。この詐欺は、2013年の緊急事態の作り話から2025年の取引画面まで、どの形でも同じところに行き着きます。ネットで知り合った関係を理由に、お金が自分の管理下から急いで出ていくことです。この形に反応するルールなら、筋書きが変わっても生き残ります。例えば「会ったことのない相手が関わる送金はしない。例外なし。急がない。一定額を超える送金の前には、決めておいた1人に必ず話す」。個別の警告にはできないことです。

2つ目は制度面のもので、この分野で唯一の本当に新しい保護策です。2024年10月7日以降、英国の決済事業者は、「承認済みプッシュ型決済(APP)詐欺」、つまり被害者自身が承認した送金の被害者に対し、Faster PaymentsまたはCHAPSによる英ポンド建ての支払いについて返金することが義務づけられました。ロマンス詐欺も明示的に対象です。上限は8万5,000ポンドで、規制当局によると請求の99%超をカバーします。事業者は最大100ポンドの自己負担額を差し引けますが、脆弱な立場の消費者には適用できません。請求は13か月以内に行う必要があります。重大な過失がある場合は返金を拒否できますが、規制当局はそのハードルは高く、脆弱な立場の消費者にはそもそも適用されないとしています。

はっきりさせておきたい限界が2つあります。これは英国の制度で、ほとんどの国には同等のものがありません。また、この制度の形は、投資型ロマンス詐欺より従来型のロマンス詐欺に合っています。正規の取引所で自分名義で暗号資産を買い、それを送った被害者は、詐欺師の口座にFaster Paymentsで送金したわけではありません。そうしたケースに制度が及ぶかどうかは、設計時に想定された問題ではありません。自分に当てはまるなら、どちらかの答えを決めつけず、銀行に書面で問い合わせてください。

夕暮れの静かな水面。対岸には暗い木々の影があり、小さな暖かい明かりが一つ、その長い反射が水面を渡ってこちらへ伸びている。
明るいから、近くに見えるだけ。

よくある質問

Q. 知人がこの詐欺にはまっています。何が本当に役立ちますか?

初期の段階では、証拠を突きつけることは役立ちません。被害者は警察から告げられても詐欺だと認めないことがよくあります。また、周囲の友人や家族から孤立させることは副作用ではなく、シナリオの意図的な一部です。そのため、非難すると「周りの人はこう言うだろう」と犯人がすでに吹き込んでいた内容を裏づけてしまいがちです。残された手は、信じてもらえるかどうかを条件にせずに連絡を取り続けることと、お金の動きにブレーキをかけることです。送金の前に必ず話す相手を、あらかじめ決めておきます。すでにお金を送ってしまい、英国在住であれば、上記の返金制度は13か月という期限があるため、後回しにせずすぐに動く必要があります。

Q. 画像の逆検索はやる価値がありますか?

手間がかからず、たまに効果があるので、やる価値はあります。ただ、防御策だと思い込まないでください。プロフィールの判定を検証した対照試験では、判定は全般に難しいという結果でした。しかも写真は盗用ではなく生成されたものが増えており、逆検索が頼りにする一致がそもそも存在しなくなっています。「ゆっくり判断する」と同じ分類に入るもので、小さく、無料で、お金に関するルールの代わりにはなりません。

Q. なぜお金は最後に必ず暗号資産になるのですか?

詐欺に必要な条件をそろえているからです。取り消しができる相手方の銀行を介さずに国境を越えて移動でき、残高が増えていく偽の取引画面を被害者に見せられます。そして被害者を「自らの意思で送金した人」にしてしまうため、自分の銀行や、返金のための制度に対する被害者の立場が弱くなります。

Q. 結局、高齢者は主な被害者ではないのですか?

このデータセットでは、この詐欺に関しては違います。ロマンス詐欺の被害者の63%が35〜54歳で、55歳以上は16%だけでした。これはロマンス詐欺に限った話で、詐欺全般についての話ではありません。FBIは2025年に、インターネット犯罪全体で60歳以上の被害を77億ドルと記録しています。詐欺の種類によって狙われる人は異なり、それをひとまとめにすることが、予防の予算を見当違いの場所に向かわせる原因になります。

Q. お金を要求されないなら、どこで見分ければいいですか?

言葉ではなく「形」で見分けます。ネットで知り合った相手が、会話を個別のメッセージアプリに移し、いつでも濃密に相手をしてくれるようになり、自分の投資の話を押しつけずに口にし、こちらが関心を示すとそれに応じる(関心をあおるのではなく)。要求がないことは誠実さの証拠ではありません。この手口では、それこそがテクニックなのです。

Q. 詐欺について周知すれば被害は減りますか?

減るという十分な根拠はありません。この問題を最も深く調べた研究者も、現在の取り組みは意図どおりに機能していないと述べています。この記事を警告サインの一覧ではなく詐欺の構造を中心に組み立てたのも、それが理由の一つです。警告サインは、キャンペーンを読んだ犯人たちによって数年ごとに書き換えられてしまいます。

まとめ

  • 被害者は、詐欺に遭ったことのない人よりも学歴が高めでした。学歴が1段階上がるごとに、被害に遭うオッズは約1.8倍。ネットセキュリティにどれだけ詳しいと自己評価していたかは、まったく関係ありませんでした。
  • 被害者は高齢者ではなく中年層でした。63%が35〜54歳で、55歳以上は16%にすぎません。女性は60%でした。
  • お金の話が出る前に、手なずけは終わっています。予防のための助言のほとんどは、何か月も続いてきたシナリオの最終段階にしか向けられていません。
  • 現在の手口は、お金をまったく要求しません。勧めてくるのは投資です。ロマンス詐欺と投資詐欺への警告は、それぞれ別の犯罪を想定しているため、その間をうまくすり抜けます。
  • 公式統計は実態を測るものではなく「最低ライン」です。詐欺の届け出率は3分の1未満と推計され、投資型ロマンス詐欺の被害は投資詐欺として数えられています。ロマンス詐欺の数字が横ばいに見えるのはそのためです。
  • 偽プロフィールは、見抜こうと意識していても難しいものです。唯一役立ったのは判断に時間をかけることでした。
  • 筋書きが変わっても通用するのは、人ではなく取引に関するルールです。加えて英国では2024年10月以降、承認済みプッシュ型決済詐欺の被害について、上限8万5,000ポンド、13か月以内の請求で返金を受ける法的な権利があります。

この記事は法律や金融に関する助言ではありません。紹介した返金制度は英国に特有で、対象となる支払い方法も限られています。詐欺の統計は米国・英国・オーストラリアのものです。お金を失った場合は、すぐに銀行と、お住まいの国の詐欺の相談窓口に届け出てください(日本では警察相談専用電話「#9110」や消費生活センターなど)。回収に関わる期限は短く、気づいた日ではなく支払った日から数え始めます。

参考図書:The Psychology of Fraud, Persuasion and Scam Techniques — Martina Dove(Routledge、2020年)。詐欺が届け出られにくい理由、被害がどう受け止められるか、そして珍しいことに、予防の助言がなぜうまくいかないことが多いのかを扱っています。学術書で価格も学術書並みなので、図書館で探すのが賢明です。Amazonで見る

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参考文献

  • Whitty, M.T., “The Scammers Persuasive Techniques Model: Development of a Stage Model to Explain the Online Dating Romance Scam”, British Journal of Criminology 53(4), 2013. (Interviews with 20 participants, financial and non-financial victims; grooming precedes any financial request; the near-win phenomenon and revictimisation.)
  • Whitty, M.T., “Do You Love Me? Psychological Characteristics of Romance Scam Victims”, Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 2017. (11,780 UK adults in the final sample; 200 romance scam victims compared with 10,723 never scammed. Victims: 60% women, 40% men; 21% aged 18–34, 63% aged 35–54, 16% aged 55 and over. Logistic regression, N = 10,923: education b = 0.590, Exp(b) = 1.804, p < 0.001; urgency and sensation seeking p < 0.001; addictive disposition Exp(b) = 1.185, p < 0.001; trustworthiness and kindness negative; self-rated cybersecurity knowledge p = 0.656, not significant.)
  • Whitty, M.T., “Who can spot an online romance scam?”, Journal of Financial Crime, 2019. (261 participants judging profiles as genuine or fraudulent; the task proved difficult; accuracy predicted by low romantic beliefs, high impulsivity, high consideration of future consequences, prior experience of spotting a scam, and longer response times. A detection stage was added to the 2013 model.)
  • Cross, C., “Romance baiting, cryptorom and ‘pig butchering’: an evolutionary step in romance fraud”, Current Issues in Criminal Justice, 2023. (The convergence of romance and investment fraud; five reasons it is effective; fraud reporting estimated at under one third of cases and lower online; ACCC reported losses to investment fraud AUD $328m in 2020, over $720m in 2021 and $1.5bn in 2022, against romance fraud of $132m, $148m and $210m; romance baiting recorded under investment fraud; both standard prevention messages circumvented.)
  • Modic, D. and Lea, S., “Scam Compliance and the Psychology of Persuasion”, 2013. (A susceptibility-to-persuasion scale with four reliable factors — influence of authority, social influence, self-control and the need for consistency — of which social influence, need for consistency and self-control predicted lifetime scam compliance.)
  • US Federal Trade Commission, Consumer Sentinel Network data for the first nine months of 2025, as reported in press coverage of the FTC figures: 55,604 romance scam reports and $1.16 billion in reported losses, up 22% on the same period in 2024; median reported loss $2,218 in the third quarter of 2025.
  • US Federal Trade Commission, press release of 27 April 2026: $2.1 billion reported lost in 2025 to scams that began on social media, an eightfold increase since 2020; nearly 30% of people who reported losing money to any scam said it started on social media; nearly 60% of people reporting romance scam losses said it began there.
  • Federal Bureau of Investigation, Internet Crime Complaint Center, 2025 Internet Crime Report, published 6 April 2026. (1,008,597 complaints and close to $21 billion in losses; 181,565 cryptocurrency complaints totalling more than $11 billion; investment fraud nearly 49% of scam-related losses; approximately $7.7 billion reported lost by people aged 60 and over, a 37% increase on 2024.)
  • UK Payment Systems Regulator, authorised push payment fraud reimbursement requirement, in force for payments made on or after 7 October 2024. (Faster Payments and CHAPS; all APP fraud types including romance scams; maximum £85,000, said to cover over 99% of claims; optional excess of up to £100, not applicable to vulnerable consumers; claims within 13 months; refusal for gross negligence, described as a high bar and not applicable to vulnerable consumers.)
  • Gujarathi, P., Verma, S. and Nair, V.V., “Pig Butchering Scams as Cyber-Enabled Financial Crime: A Scoping Review”, Deviant Behavior, 2026. (Twelve studies, 2020–2025; scripted social engineering, fabricated investment dashboards and cryptocurrency laundering as recurring features.)

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