レスリングのカリフラワー耳

レスリングのカリフラワー耳と、元選手の69%がいまも抱える耳

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  • 2026年に報告された元レスリング選手1,338人の調査では、69%がカリフラワー耳でした。そのうち59%が痛みを、12%が聞こえの問題を訴えています。
  • 耳の軟骨を覆う膜の下にたまった血液を抜かずにおくと、軟骨が傷あとになって固まります。早ければけがから7〜10日で始まります。
  • トップレベルの男子選手では珍しくありません。フィンランドのレスリング・柔道選手の84%、世界の男子シニア柔道選手の70%に変形がありました。
  • 1989年の調査ではヘッドギアで血腫の報告がほぼ半分になりましたが、練習で常に着けていた大学選手は約3分の1だけでした。

2026年、形成外科医のチームが元レスリング選手1,338人を対象にした調査を発表しました。回答者はほぼ全員が男性で、平均年齢は45歳です。69%が「カリフラワー耳がある」と答えました。そのうち59%が痛みを、30%が睡眠の問題を、12%が聞こえの問題を訴え、15%は人前で気後れしたり恥ずかしく感じたりすると答えています。手術を考えたことがある人は11%だけで、半数以上は手術という選択肢をよく知らないか、少ししか知りませんでした。

マットの上では、この耳はけがであると同時に勲章でもあります。フィンランドの研究者が国内・国際レベルのレスリング選手と柔道選手を調べたところ、カリフラワー耳のある人で後悔している人はおらず、41%は「望ましい」と考えていました。医師の見方は違います。誰も抜かなかった血液のたまりから育った傷あとと新しい軟骨のかたまりであり、接触スポーツの中でも特に防ぎやすいけがの一つだというのです。

この記事では、けがをした耳の中で何が起きるのか、どんな選手が変形を抱えるのかを確認します。続いて、ヘッドギアと治療の効果はどこまで測られているのか、自信たっぷりの助言に比べて根拠がなぜ薄いのかを見ていきます。答えはレスリングをやめることではありません。気をつけて組むことです。試合だけでなく練習でもイヤーガードを着け、耳が腫れたら医療の訓練を受けた人にすぐ抜いてもらいましょう。

耳の中で実際に起きていること

耳介(外耳)は、血液を運ぶ「軟骨膜」という薄い膜に包まれた軟骨の板で、その上に皮膚がぴったり張り付いています。こすれる、ねじれる、打たれるといった力が加わると、この膜が軟骨からはがれ、すき間に血液や体液がたまります。血液の供給を断たれた軟骨は死んでしまうことがあり、体はそのすき間を線維組織と不規則な新しい軟骨で埋めます。こうしてできるのが、野菜のカリフラワーにたとえられる厚くでこぼこの耳です。

時間が勝負です。臨床解説書StatPearlsによると、液状の血腫は約6時間で半ば固まり始めます。そのため、注射針で吸い出す方法はふつう小さく新しい腫れに限られ、大きいものや時間がたったものは切開して出します。異常な新しい軟骨は、けがから7〜10日で作られ始めることがあります。そうなると、液を抜いても元の形には戻りません。

問題は見た目だけではありません。イヤーガードがほとんど使われないイランのテヘランで、クラブのレスリング選手411人を調べた研究では、カリフラワー耳のある人の11.5%が難聴を訴え、ない人では1.8%でした。続く研究では340人に聴力検査を行い、最も高い周波数を除くすべての周波数で、変形した耳のほうが難聴が多く、耳の穴(外耳道)が狭くなっている例も多く見られました。2024年のトルコの研究では、両耳に変形のある選手28人で、特に4,000ヘルツを超える高い音の聞こえが落ちていました。

カリフラワー耳とともに暮らす

2026年の米国調査でカリフラワー耳のある元レスリング選手が訴えた問題の割合と、テヘランのクラブ選手が訴えた難聴の割合。いずれも自己申告。

痛み(米国の元選手)59%
睡眠の問題(米国の元選手)30%
人間関係に影響したと回答19%
気後れ・恥ずかしさ15%
聞こえの問題(米国の元選手)12%
手術を考えたことがある11%
難聴(テヘラン、カリフラワー耳あり)11.5%
難聴(テヘラン、カリフラワー耳なし)1.8%

出典:Elmer et al., Aesthetic Plastic Surgery(2026)、回答者1,338人のうちカリフラワー耳のある910人。Kordi et al.(2007)、テヘランのレスリング選手411人。

感染も心配の種です。変形した外耳道には耳あかや湿気がこもりやすく、テヘランの聴力研究では、カリフラワー耳の8.4%に耳の感染の経験があり、変形のない耳では4.9%でした。この差は統計的に有意な水準にわずかに届きませんでした。治療しない血腫そのものが感染することもあり、インドのレスリング選手40人の報告では、半数が軟骨膜炎(軟骨を覆う膜の感染)を起こした状態で受診していました。

危険が集中する場所と人

カリフラワー耳は、頭を押しつけ合って組み合う競技なら、どこにでも見られます。その多さを左右するのは、性別、ヘッドギアの習慣、そして腫れを誰かが治療するかどうかの3つです。

点描の抽象画:低い地平線の上に、左の大きなものから右へ小さくなっていく密な点の球が一列に並び、いちばん小さな球のそばに小さな琥珀色の四角が置かれている。
いちばん軽い者が、いちばん重いものを背負う。

最も高い数字はトップレベルの男子選手のものです。フィンランドの男子レスリング・柔道選手55人では84%にカリフラワー耳があり、女子8人には一人もいませんでした。韓国ではトップレベルの男子レスリング選手58人のうち44人に耳の変形がありました。ドイツのチームは国際柔道連盟のウェブサイトに載るシニア柔道選手1,632人のプロフィール写真を調べ、男子の70%、女子の32%に変形を見つけました。年齢が上がるほど、その割合は着実に高くなっていました。

体重階級との関係は意外なものでした。男子柔道選手では、最も軽い階級で変形が最も多く76.7%、100キロ超の最重量級で最も少なく50%でした。テヘランではクラブ選手の44%にカリフラワー耳があり、1989年には米国の大学レスリング選手537人の39%が永久的な変形を報告しています。ブラジリアン柔術と総合格闘技については同じような調査を見つけられませんでしたが、2009年の報告は、ヘッドギアをふだん着けないプロの格闘家は危険が高いと指摘しています。

カリフラワー耳があるのは誰か

6つの研究で耳に変形があった選手の割合。対象と方法(質問票、診察時の写真、公開プロフィール写真)はそれぞれ異なります。

フィンランドのトップ男子レスリング・柔道選手(55人)84%
韓国のトップ男子レスリング選手(58人)76%
男子シニア柔道選手、世界ランキング写真(1,014人)70%
米国の元レスリング選手、2026年調査(1,338人)69%
テヘランのクラブ選手(411人)44%
米国の大学レスリング選手、1989年(537人)39%
女子シニア柔道選手、世界ランキング写真(618人)32%
フィンランドのトップ女子レスリング・柔道選手(8人)0%

出典:Manninen et al., Scand J Med Sci Sports(2019)、Kim et al., Korean J Sports Med(2015)、Nitsch et al., Scientific Reports 13:17351(2023)、Elmer et al.(2026)、Kordi et al.(2007)、Schuller et al., Arch Otolaryngol Head Neck Surg(1989)。

もう一つの要因は、腫れへの対処のしかたです。フィンランドの調査では96%が血腫の治療を受けていて、ほぼすべてが注射針での吸引でしたが、76%は医療職ではない人に処置してもらっており、うまくいったと答えたのは1人だけでした。韓国では56%が冷やすだけで済ませ、吸引と圧迫を受けたのは10%でした。テヘランでは、カリフラワー耳のある人のうち最初の腫れに何らかの治療を受けたのは23%だけでした。

腫れはどう扱われているか

レスリング・柔道選手を対象にした3つの調査で、耳の血腫への対応ごとの割合。

注射針で吸引(フィンランド)96%
医療職以外の人が処置(フィンランド)76%
冷やすだけ(韓国)56%
変形を「望ましい」と考える(フィンランド)41%
何らかの治療を受けた(テヘラン)23%
吸引と圧迫(韓国)10%

出典:Manninen et al.(2019)、選手63人。Kim et al.(2015)、レスリング選手58人。Kordi et al.(2007)、カリフラワー耳のある選手。

イランの研究者は、この変形が現地では名誉のしるしとされ、そのためにほとんどの選手が耳のけがを治療しないと書いています。この習慣はマットの外にも広がっています。2026年6月には南アフリカの形成外科医が、SNSで見た若い男性が自宅でこの見た目を作ろうとしていると警告し、手術でも耳が元の形に戻ることはまれだと述べました。

効果が確かめられている対策

点描の抽象画:地平線の上に点の球が2つ並び、左の球は盾のような細い弧の点に囲まれ、右の球はむき出しのまま。むき出しの球の足もとに小さな琥珀色の四角がある。
半分の盾も、半分は守る。

真っ先に思い浮かぶ防御はヘッドギアです。米国の高校のルールでは、レスリング用に作られた硬くクッションのあるイヤーガードの着用が義務づけられています。国際ルールのフリースタイルとグレコローマンでは義務ではなく、USAレスリングのルールブックもこれらのスタイルでは「推奨するが必須ではない」としています。根拠はほぼ1件の調査に頼っています。1989年、米国の大学レスリング選手は、ヘッドギア着用中のけがの26%、非着用時の52%で血腫ができたと答えました。

同じ調査は弱点も示しました。537人のうち、試合で常に着けていたのは92.4%でしたが、練習時間の大半を占める練習中では35.2%にとどまり、着けない理由で最も多かったのは不快さでした。著者らは、ヘッドギアの防御は部分的にすぎず、着けない習慣が広く見られると結論しています。

1989年の調査に見るヘッドギア

米国のディビジョンIの大学レスリング選手537人による自己申告。

血腫、ヘッドギアなしでのけが52%
血腫、ヘッドギア着用中のけが26%
永久的な変形、ヘッドギアなしでのけが26.6%
永久的な変形、ヘッドギア着用中のけが10.6%
試合で常に着用92.4%
練習で常に着用35.2%

出典:Schuller et al., Archives of Otolaryngology – Head & Neck Surgery(1989)、doi:10.1001/archotol.1989.01860300068019。観察研究。

血腫ができてしまったら、目標は血液を抜き、再びたまらないようにすることです。ヨルダンの患者45人の報告では、注射針での吸引と圧迫包帯のあとに再発したのは37.5%、切開して出し包帯をした場合は22.2%、切開後に耳を2つの歯科用ロール綿ではさんで縫い付けた場合は9.1%でした。米国の患者48人を調べた2024年の報告では、ボルスター(当て物)で圧迫した場合の再発は23.3%、しなかった場合は58.3%で、再発までの期間の中央値は2日でした。

2026年にThe Laryngoscopeに載った15年分のカルテ調査は、患者43人でボルスター圧迫と、耳を貫いて縫い合わせる「キルティング縫合」を比べました。ボルスター群の30%が再発し、キルティング縫合をした13人の耳では再発はありませんでした。レスリング選手では、切開とマットレス縫合で治療したインドの40人の報告で再発はなく、米国では練習を続けながら治療できる方法が選手19人の血腫24件に使われました。

腫れはどのくらい再発したか

3つの後ろ向き研究での、処置方法別の抜いたあとの再発率。人数は少なく、方法はランダムに割り付けられていません。

注射針で吸引+圧迫包帯(16人)37.5%
切開・排出+包帯(18人)22.2%
切開+歯科用ロール綿で縫い付け(11人)9.1%
抜いたあとボルスターなし(外傷センター)58.3%
抜いたあとボルスターあり(外傷センター)23.3%
ボルスター圧迫(30人)30%
キルティング縫合(13人)0%

出典:Sbaihat & Khatatbeh, Journal of the Royal Medical Services(2011)、Phillips et al., Craniomaxillofacial Trauma & Reconstruction 17(4)(2024)、Cheng et al., The Laryngoscope(2026)。

ただし、これらの数字は慎重に読む必要があります。コクランのレビューが急性の耳介血腫のあらゆる治療について、ランダム化試験や症例対照研究、コホート研究を探したところ、全文を検討した48本のうち条件を満たすものは一つもなく、2011年までの更新でも見つかりませんでした。ここに挙げた再発率はすべて小規模な報告で、自分の手技を紹介する外科医によるものも少なくありません。ヘッドギアの根拠は1989年の自己申告の調査です。テヘランの聴力検査は防音室ではなくレスリングクラブで行われ、骨導検査もしていません。柔道の写真研究では、髪で耳が隠れていたために女子の約3分の1が除外されていました。

レスリングをやめることが答えではない理由

点描の抽象画:穏やかな地平線の上で、なめらかな点の球が短い直線の上に乗り、細い線が守るように球の上に弧を描いている。地平線の端の遠くに小さな琥珀色の四角がある。
小さな習慣が、形を守る。

レスリングは力とバランス、そして落ち着きを育てます。その代名詞ともいえる耳のけがは、接触スポーツの中で、よく起きるうえに大部分を防げる数少ないけがの一つです。レスリングのけがと「1998年のルール」についての記事で見たように、競技は危機のあとにルールを変えることができます。耳を守るのに必要なのは習慣だけです。試合だけでなく練習でもイヤーガードを着け、ぴったり合わせ、激しい練習のあとは耳を確かめましょう。

耳が腫れたら、注射器を持ったチームメートではなく、できればその日のうちに医師に診てもらってください。StatPearlsによると、液を抜いたあとボルスターや縫合で5〜7日ほど圧迫し、その後10〜14日ほど接触を伴う練習を控えるのが目安です。以前にも再びたまったことがあるなら、キルティング縫合や縫い付けるボルスターについて相談しましょう。赤み、熱っぽさ、発熱は軟骨の感染のサインのことがあり、すぐに受診が必要です。

すでに固まってしまった耳でも、外科医は傷あと組織と余分な軟骨を取り除き、形を整えることができます。2026年6月の記事の外科医は、その結果を「元に戻す」のではなく「改善する」ものだと表現し、何度か手術が必要になることもあると述べました。2026年の調査の元選手で手術を考えたことがあるのは11%でした。耳をそのままにするかどうかは本人が決めることです。ただ、その判断は軟骨が固まる前にするものです。

行動の手順

役に立つ時期の順に並べている。各項目に根拠の強さを示した:データあり 公的機関の推奨 未検証

起きる前に

  • 試合だけでなく練習でもイヤーガードを着け、ぴったり合わせる。1989年の調査ではヘッドギア着用時の血腫の報告はほぼ半分だったが、練習で常に着けていたのは35.2%だった。 データあり 参考文献を参照

起きたら

  • 激しい練習のあとは、耳に腫れややわらかいふくらみがないか確かめる。 公的機関の推奨 参考文献を参照

その後

  • 耳が腫れたら、できればその日のうちに医師に診てもらう。たまった血液は約6時間で固まり始め、7〜10日で新しい軟骨ができ始めることがある。 データあり 参考文献を参照
  • 液を抜いたあと、ボルスターや縫合で5〜7日ほど圧迫し、その後10〜14日ほど接触を伴う練習を控えるのが目安。 データあり 参考文献を参照
  • 以前にも再びたまったことがあるなら、キルティング縫合や縫い付けるボルスターについて相談する。13人の報告ではキルティング縫合で再発はなかった。 未検証 参考文献を参照

してはいけないこと

  • チームメートに注射器で抜いてもらわない。フィンランドの調査では76%が医療職以外の人に処置してもらい、うまくいったのは1人だけだった。 データあり 参考文献を参照
  • 腫れた耳の赤み、熱っぽさ、発熱を放っておかない。軟骨の感染のことがあり、すぐに受診が必要。 公的機関の推奨 参考文献を参照

医学的な助言ではありません。腫れた耳は最初の数時間がいちばん治しやすい時期です。早めに受診し、接触練習にいつ戻れるか医師に相談してください。

よくある質問

カリフラワー耳は自然に治りますか?

治りません。たまった血液が傷あとと新しい軟骨に変わると、形は元に戻りません。手術で改善はできますが、元の耳に戻ることはまれです。

自分で耳の血を抜いてもいいですか?

勧められません。フィンランドの調査では、多くの選手が医療職以外の人に抜いてもらい、うまくいったと答えたのは1人だけでした。医師なら清潔な環境で抜き、再びたまらないよう圧迫もできます。

イヤーガードでカリフラワー耳は防げますか?

役には立ちますが、効果は部分的です。1989年の調査では、ヘッドギア着用時の血腫の報告はほぼ半分でしたが、練習で常に着けていた選手は少数でした。

カリフラワー耳は聞こえに影響しますか?

イランとトルコのレスリング選手の研究では、変形した耳で難聴が多く見られました。外耳道が狭くなることが一因と考えられますが、研究は小規模で、因果関係までは証明できません。

まとめ

  • 2026年に報告された元レスリング選手1,338人の調査では、69%がカリフラワー耳でした。そのうち59%が痛みを、12%が聞こえの問題を訴えています。
  • 耳の軟骨を覆う膜の下にたまった血液を抜かずにおくと、軟骨が傷あとになって固まります。早ければけがから7〜10日で始まります。
  • トップレベルの男子選手では珍しくありません。フィンランドのレスリング・柔道選手の84%、世界の男子シニア柔道選手の70%に変形がありました。
  • 1989年の調査ではヘッドギアで血腫の報告がほぼ半分になりましたが、練習で常に着けていた大学選手は約3分の1だけでした。
  • 抜いたあとに縫い付けて圧迫する方法は、小規模な報告で再発が最も少なくなっています。どの治療についてもランダム化試験はありません。

この記事は公表された研究の要約であり、医学的な助言ではありません。練習のあとに耳が腫れたら、できればその日のうちに医師の診察を受け、接触を伴う練習にいつ戻れるかは医師や理学療法士に相談してください。

さらに読む:選手自身の受け止め方は Manninen et al., Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports(2019)。柔道選手の写真研究は Nitsch et al., Scientific Reports(2023)。試験が存在しないことは Jones & Mahendran, Cochrane Database of Systematic Reviews(2004)。

参考文献

  1. Elmer NA, Mehdizadeh M, Foster L, et al. A badge of honor? Assessing self-reported experience with cauliflower ear and interest in reconstructive surgery in 1,338 former wrestlers. Aesthetic Plastic Surgery (2026), PMID 41491314.
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