インドの住宅火災:記録上の死者は減少、原因は変わらず

ムンバイの通りで出動中の赤い消防車
資料写真:ムンバイで出動中の消防車。 写真:AroundTheGlobe(Wikimedia Commons、CC0)
記録上の死者は減少更新 2026年10月18日

トレンドの要約

  • 国家犯罪記録局(NCRB)によると、2024年の火災事故による死者は5,888人で、2015年の17,700人から減りました。2023年から2024年にかけて、事故件数と死者数はいずれも約15%減っています。
  • 火災が最も多く起きる場所は住まいです。2024年に記録された火災事故5,971件のうち3,585件が住宅建物で起きました。
  • 家庭の原因で目立つものが2つあります。2024年の火災死亡のうち23.6%は調理用ガスボンベやコンロの破裂、17.2%は電気のショートに関係していました。
  • 大きな住宅火災は今も起きています。2025年5月にはハイデラバードのグルザール・ハウズで一家の住む家が燃えて17人が亡くなり、2026年にはインドールとデリーの住宅火災でそれぞれ7人以上が亡くなりました。
5,888火災事故の死者(2024年、NCRB)
3,585住宅建物での火災(2024年)
23.6%調理用ガスの破裂による火災死亡の割合(2024年)
−67%火災事故の死者(2015→2024年)

数字で見る現状

インドの主なデータ源は、国家犯罪記録局が毎年まとめる報告書『インドの事故死と自殺(Accidental Deaths & Suicides in India)』(ADSI)です。2024年版をDatafulが要約したところでは、火災事故は5,971件、死者は5,888人、負傷者は330人でした。同じ統計で2015年は事故18,450件、死者17,700人です。住宅建物での火災事故は2024年に3,585件で、2015年は7,493件でした。Factlyの以前の分析では、火災全体に占める住宅の割合は2015年の約40%から2019年には57.6%に上がっていました。住宅以外の火災のほうが速く減ったためです。

原因はゆっくりと変わってきました。調理用ガスボンベやコンロの破裂に関係する火災死亡は、2015年の約19.2%から2024年には23.6%に増えています(Dataful)。NCRBのデータを読み解いたFactcheckerによると、電気のショートが原因の火災は2016年の約15%から2020年には21%近くに増えました。石油会社も、ガス漏れが主な出火原因となったLPG事故を独自に数えています。2016〜17年度は事故929件・死者267人、2017〜18年度は1,151件・292人、2018〜19年度は983件・254人でした(石油・天然ガス省)。その後の下院(Lok Sabha)への答弁では、2019〜20年度が825件、2020〜21年度が1,019件、2021〜22年度が606件とされています(IANS配信、Daijiworld)。

背景にあるもの

LPGで調理する家庭はかつてないほど増えています。ガス接続を広げる事業「プラダン・マントリ・ウッジュワラ・ヨジャナ」は、2022年7月までに9,340万件の接続を提供しました(PIB)。2018年には議会の委員会が、この事業とともにLPG事故も増えていると警告し、2017〜18年度に少なくとも260人が亡くなったとしました(Business Standard)。ボンベはIS 3196規格で製造され、インド規格局(BIS)が試験します。製造から10年後に再検査を受け、その後は5年ごとに再検査が必要です。LPG事故で亡くなった人には、石油会社の保険から1人あたり60万ルピーが支払われます(PIB)。

もう一つの大きな要因は配線です。ショートが原因の火災の割合は10年前より大きくなり、最近の事例では自宅で充電する電気自動車のような新しい出火源も加わっています。インドでは消防は州の所管です。中央政府は2019年9月に消防・緊急サービスのモデル法案を各州に示し、2023年7月には州の消防を拡充・近代化する500億ルピーの事業を始めました(PIB)。2026年1月31日までに全28州の計画が承認され、179億8,200万ルピーが交付されています(PIB)。

最近の事例

  • 2026年10月13日:マハラシュトラ州パルガル県ヴァサイ・ヴィラールの複数階建ての集合住宅で深夜に火災が起き、女性2人が亡くなりました。25〜30人ほどが避難しました。捜査当局は防火許可の状況と、配電盤のショートの可能性を調べています(ETV Bharat)。
  • 2026年5月3日:東デリーのシャーダラ地区ヴィヴェーク・ヴィハールで、夜明け前に4階建ての住宅に火が広がり、9人が亡くなりました。原因は確認されていません。首相は、亡くなった人の遺族にそれぞれ20万ルピーを支給すると発表しました(The Week、PIB)。
  • 2026年3月18日:インドールで3階建ての住宅が燃え、同じ家族の7人が亡くなりました。初期の報道では、屋外で充電中の電気自動車から火が出て、その後、家の中にあったLPGボンベ4本が爆発したとされています(オール・インディア・ラジオ・ニュース)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に最大5件、新しい順に載せています。多くはインド政府の各省が報道情報局(PIB)を通じて出した発表や、国家犯罪記録局(NCRB)、インド準備銀行(RBI)、国立地震センター(NCS)などの全国機関、州政府の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り、報道やデータ分析の記事も含めています。タイトルは原文(英語)のままです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

インドの住宅火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の13件、1年最大5件、新しい順

2022

2020

2019

2018

2015

2014

2012

5件に満たない年が多く、まだ1件もない年もあります。インド政府の古い発表は元のアドレスで見つけにくく、実際に開いて確認できたものだけを載せているためです。リストは今後も追加していきます。ページに日付がない場合は、発表のアドレスや発行元の一覧にある日付を使っています。

写真リスト

西ベンガル州マトラ川でLPGボンベを船に積み込む作業員
資料写真:西ベンガル州ゴドカリのマトラ川で、船に積み込まれるLPGボンベ。2024年の火災死亡の23.6%は調理用ガスの破裂に関係していました。 写真:Biswarup Ganguly(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)
コルカタの科学館で行われる消火器の実演
資料写真:コルカタの国立科学博物館評議会での消火器の実演。 写真:Biswarup Ganguly(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。インドの統計の多くは州ごとに集計され、1〜2年遅れて公表されるため(NCRBの2024年の事故統計は2026年に公表)、それぞれの数値が何年のものかを書いています。大きな数は国際的な表記で示し、インドの資料がラーク(10万)やクロール(1000万)を使う場合は括弧で添えています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書かない限り本文の出来事の写真ではありません。このページは傾向をまとめたもので、個別の安全・医療・法律・金融の助言ではありません。