日本の林野火災:件数は減少、規模は拡大

大船渡の林野火災で消火にあたる自衛隊のヘリコプター
2025年、岩手県の大船渡市の林野火災で消火にあたる陸上自衛隊のCH-47ヘリコプター。写真:統合幕僚監部(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)
件数減、焼損は拡大2026年10月5日更新

トレンドの要約

  • 日本の林野火災の件数は数十年前よりずっと少なくなりましたが、起きた火災は大きくなっており、2025年の焼損面積は前年の約5倍でした。
  • 2025年の概数では、全国の林野火災は1,043件で2024年より25.5%増え、焼損面積は約5,413ヘクタールで、2024年の1,073ヘクタールを大きく上回りました(消防庁)。
  • 2025年2月の岩手県の大船渡市の林野火災は約3,370ヘクタールを焼き、1964年以降で国内最大の林野火災となりました。1人が亡くなり、226棟が被害を受けました。
  • 2026年1月1日から、全国で林野火災注意報・警報の新しい制度が始まりました。その数週間後の2026年4月、岩手県大槌町の2件の火災で1,708ヘクタールが焼けました。
1,043件林野火災、日本、2025年(概数)、2024年は831件
5,413ha林野火災の焼損面積、日本、2025年(概数)、2024年の約5倍
3,370ha大船渡市の林野火災の焼損面積、2025年2〜4月、1964年以降最大
1,708ha大槌町の林野火災の焼損面積、2026年4〜5月

数字が示すこと

日本では森林や原野の火災を「林野火災」として数えます。消防庁が暦年で集計し、林野庁もその数字を公表しています。林野庁によれば、林野火災の件数は統計のある1947年以降、長期的には減少傾向にあります。2020〜2024年の5年間は年平均約1,167件、焼損面積は平均752ヘクタールでした。2015〜2023年の年間件数は1,027〜1,391件で、2024年は831件とこの10年で最も少なくなりました(消防庁、2024年の確定値)。

2025年はこの流れが崩れました。2026年5月に公表された消防庁の2025年の概数では、林野火災は1,043件、焼損面積は541,288アール(約5,413ヘクタール)で、前年より404%増えました。林野火災で7人が亡くなり、91人がけがをしました。原因が分かったものでは、たき火が345件(33.1%)で最も多く、次が火入れの179件(17.2%)でした。焼損面積の大半は少数のごく大きな火災によるものです。林野庁の焼損面積10ヘクタール以上の林野火災の一覧では、大船渡が3,370ha、岡山市が486ha、愛媛県今治市が約482haです。岡山と今治の火災はどちらも2025年3月23日に発生し、今治周辺では3,800世帯以上に避難指示が出ました。林野火災の約7割は1〜5月に起きています。

背景にあるもの

主な要因は、乾燥して風の強い冬の終わりと、人の不注意です。消防庁と林野庁の大船渡の林野火災の検証では、林床が極めて乾燥しており、2025年2月の現地の月降水量は観測史上最少でした。最大瞬間風速は18.1m/sに達し、火は樹冠を伝って燃え広がり、前方に火の粉を飛ばしました。最も可能性の高い原因は薪ストーブの煙突からの火の粉とされましたが、出火源は特定できませんでした。翌冬も乾燥が戻りました。2026年1月、気象庁・消防庁・林野庁は太平洋側の東日本と西日本で30年に1回程度の少雨について注意を呼びかけ、消防庁は1〜4月に大規模な火災を相次いで記録しました。

対策は新しいものです。検証を受けて消防庁は火災予防条例(例)を改正し、2026年1月1日から市町村が「林野火災注意報」を出せるようにしました。これは屋外での火の使用を控えるよう求めるもので、罰則はありません。また「林野火災警報」も出せるようになり、こちらは屋外での火の使用を制限し、罰則があります。注意報の発令の目安は、3日間の降水量が1mm以下で、さらに30日間の降水量が30mm以下か乾燥注意報が出ていることです。警報はこれに強風注意報が加わります。消防庁は注意報・警報の全国の発令状況を公表し、気象庁は2025年12月に林野火災予防のための気象情報のページを開設しました。大槌町の火災は、この制度の限界も示しました。前日に4.5mmの雨が降っていたため注意報は出ていませんでしたが、出火した日の午後には湿度が8.6%まで下がり、最大瞬間風速は17.2m/sに達しました。

最近の事例

  • 2026年4月22日:岩手県大槌町の小鎚地区と吉里吉里地区で2件の火災が発生し、5月29日に鎮火が宣言されるまでに1,708ヘクタールを焼きました。消防庁の調査でも原因は特定できませんでした(消防庁)。
  • 2026年3月21日:群馬県上野村の林野火災が約192ヘクタールの範囲に点在して広がり、物置1棟が焼けました。群馬県と長野県の消防防災ヘリが消火を支援しました(消防庁)。
  • 2026年1月8日:山梨県上野原市の扇山付近の火災が隣の大月市に広がり、約396ヘクタールを焼きました。両市の200世帯以上に避難指示が出され、鎮火が宣言されたのは2月12日でした(消防庁)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くは日本の府省庁・機関、規制当局、事故調査機関、公的統計の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。リンク先の多くは日本語の原文ですが、タイトルは英語版ページのために英訳したもののまま載せています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

日本の林野火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の55件、1年最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くは日本の府省庁・機関、規制当局、事故調査機関、公的統計の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。リンク先の多くは日本語の原文ですが、タイトルは英語版ページのために英訳したもののまま載せています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

写真リスト

大船渡の林野火災の煙を写した衛星画像
2025年3月1日にNASAの衛星Terraがとらえた大船渡の林野火災の煙。写真:NASA Earth Observatory(Lauren Dauphin、米国地質調査所のLandsatデータを使用)(Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
大船渡の林野火災に集まった各県の消防車
大船渡の林野火災に出動した他県の緊急消防援助隊、2025年3月3日。写真:総務省消防庁(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。日本の統計は年度(4月〜翌年3月)で集計されることが多いため、それぞれの数値がどの期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。