日本の住宅火災:高齢の犠牲者と増える電池火災

松山市の消防ポンプ車
資料写真:愛媛県松山市の消防ポンプ車。写真:Kaneyan maru(Wikimedia Commons、CC0)
電池火災が増加2026年10月5日更新

トレンドの要約

  • 日本の住宅火災による死者は2025年にやや減りましたが、10年前より多い水準のままです。犠牲者の4人に3人は65歳以上で、リチウムイオン電池が原因の火災は2022年から2倍以上に増えています。
  • 消防庁(総務省消防庁)の概数では、2025年の住宅火災による死者は970人(放火自殺者等を除く)で、2024年の1,030人から減りましたが、2015年の914人よりは増えています。
  • この970人のうち730人(75.3%)が65歳以上でした。2015年の割合は66.8%でした。
  • 消防機関は2025年にリチウムイオン電池が原因の火災を1,297件記録しました。2022年は601件で、最も多い出火元はモバイルバッテリーでした。
970人住宅火災の死者(放火自殺者等を除く)、日本、2025年、概数
75.3%そのうち65歳以上の割合、2025年、概数
85.5%住宅用火災警報器を設置している世帯、2026年6月(消防庁調査)
1,297件リチウムイオン電池が原因の火災、日本、2025年(2022年は601件)

数字が示すこと

日本の全国の火災統計は消防庁がまとめ、暦年ごとに毎年春に概数、秋に確定値を公表しています。2025年の概数によると、住宅火災(一戸建て住宅、共同住宅、併用住宅)は11,929件で、2024年より0.8%増えました。住宅は建物火災の53.4%を占める一方、建物火災による死者の86.9%を占めています。放火自殺者等を除く住宅火災の死者は970人で、2024年の確定値1,030人より5.8%減りました。このうち403人は「逃げ遅れ」で亡くなっています。概数はふつう、秋に確定値が出たときに改訂されます。

長い目で見ると、状況はあまり良くありません。消防庁の2024年の確定値では、住宅火災の死者は2015年の914人から2024年の1,030人に増え、65歳以上の割合は66.8%から75.6%に上がりました。原因が分かった死者の出た住宅火災では、2024年はたばこが最も多く(147人、14.3%)、次がストーブ(111人、10.8%)でした。死者の約45%は原因が特定できていません。2025年の建物火災全体では、こんろが最も多い出火原因で2,779件(12.4%)でした。

背景にあるもの

最大の要因は高齢化です。住宅火災で亡くなる人の4人に3人は65歳以上で、記録上最も多い状況は「逃げ遅れ」です。このため消防庁は高齢者の住宅防火に関する検討部会を設けました。住宅用火災警報器は2011年6月からすべての住宅で設置が義務づけられており、消防庁の2026年6月の調査では、1つ以上設置している世帯は85.5%で、2008年6月の35.6%から増えました。ただし、市町村の火災予防条例の基準をすべて満たしていたのは66.8%にとどまり、点検した警報器の4.3%は電池切れか故障で、約35.1%は消防庁が交換を勧める10年を超えていました。

新しい要因はリチウムイオン電池です。消防庁の2025年の調査では、電池や電池を使った製品が原因の火災は1,297件で、2022年の601件から増えました。このうちモバイルバッテリーが482件で、2024年の290件より約7割多く、衝撃や高温での使用が特定された原因の上位でした。2026年6月には、消防庁、消費者庁、経済産業省など5つの政府機関がリチウムイオン電池の安全に関する共同ポータルを開設し、製品評価技術基盤機構(NITE)も毎年夏に注意を呼びかけています。

最近の事例

  • 2026年10月3日:三重県津市の住宅火災で4歳から13歳の子どもとみられる4人が亡くなった翌日、市消防本部は玄関付近が最も激しく燃えていたと説明しました(共同通信、nippon.com)。
  • 2026年10月2日:川崎市多摩区の店舗兼住宅で午前4時半ごろに通報のあった火災で、消防隊員を含む2人が死亡し、ほかの消防隊員2人がけがをしました(共同通信、nippon.com)。
  • 2026年7月30日:警察は、佐賀県伊万里市で7月27日に起きた住宅火災で亡くなった8歳と12歳の子どもを含む家族4人のうち、3人の死因はやけど、1人は一酸化炭素中毒だったと司法解剖の結果を明らかにしました(共同通信、nippon.com)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くは日本の府省庁・機関、規制当局、事故調査機関、公的統計の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。リンク先の多くは日本語の原文ですが、タイトルは英語版ページのために英訳したもののまま載せています。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

日本の住宅火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の80件、1年最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

写真リスト

東京の消防署で展示された住宅用火災警報器
資料写真:東京の渋谷消防署で展示された住宅用火災警報器。日本では2011年から住宅用火災警報器の設置が義務になっています。写真:Syced(Wikimedia Commons、CC0)
東京消防庁本部
資料写真:東京消防庁本部、2021年。写真:Nesnad(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。日本の統計は年度(4月〜翌年3月)で集計されることが多いため、それぞれの数値がどの期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。