ビタミンKを多く含む食品と、生まれた日の一度の注射
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- 成人の目安量は男性で1日120マイクログラム、女性で90マイクログラム。米国では食事からの平均摂取量がすでにこれを上回り、耐容上限量は設定されていません。
- 大さじ1杯で比べると、乾燥バジル・セージ・タイムが257マイクログラムで並びます。NIHの一覧で首位の納豆は、ビタミンK2が測定対象外のため米国農務省の表ではほとんど目立ちません。
- 例外は新生児です。生後すぐに投与しないと遅発性出血のリスクは81倍と推定され、スウェーデンでは注射の記録がない乳児で頭蓋内出血のオッズが約3倍でした。
- 1990年代に報告された注射と小児がんの関連は、スウェーデンと米国の大規模研究で確認されませんでした。
食品を「すりきり大さじ1杯」で並べると、ビタミンKはこのシリーズで最も奇妙な表になります。乾燥バジル、乾燥セージ、乾燥タイムが100グラムあたり1,710マイクログラムとまったく同じ値で首位に並び、1杯あたり257マイクログラム。成人男性の1日の目安量の2倍以上です。一方、米国立衛生研究所(NIH)の一覧で首位の納豆は、ほとんど目立ちません。米国農務省(USDA)のデータベースでは100グラムあたり23マイクログラム。納豆に多いのは、このデータベースが数えていない形のビタミンKだからです。
このずれは、ビタミンKという栄養素をよく表しています。成人に必要な量はわずかで、たいていは食事で足り、食品やサプリメントによる害が報告されていないため耐容上限量も設定されていません。健康な成人が欠乏することはまずありません。欠乏が多く、しかも危険なのは新生児で、その根拠は栄養学のなかでも最も確かな部類に入ります。
この記事では、ビタミンKの働き、多く含む食品、新生児に生後すぐ投与される理由、骨と血管についての臨床試験の結果、そしてワルファリンを飲んでいる人には「多く」ではなく「毎日同じ量を」と言われる理由を順に見ていきます。
ビタミンKの働きと、上限量がない理由
ビタミンKは、血液を固めるいくつかのたんぱく質を完成させる役割を担います。ビタミンKがなくてもたんぱく質自体は作られますが、働きません。同じ化学反応は骨や動脈の壁にあるたんぱく質も活性化するため、ビタミンKは骨折や動脈の石灰化に対しても試されてきました。
ビタミンK1(フィロキノン)は緑の植物が作り、食事から摂る量の大部分を占めます。ビタミンK2はメナキノンと呼ばれる一群で、MK-4は肉・卵・チーズにわずかに含まれ、MK-7などの長い型は発酵の過程などで細菌が作ります。
ビタミンKの基準値
米国の目安量(1日あたりマイクログラム)。推奨量を定めるだけの根拠がなく、耐容上限量も設定されていません。
出典:NIH栄養補助食品局(ODS)、ビタミンKファクトシート(医療従事者向け)。
基準値が推奨量ではなく目安量なのは、平均必要量を推定するにはデータが乏しく、健康な人の典型的な摂取量から決めたためです。米国の平均摂取量はすでにこれを上回っています。米国食品栄養委員会は、毒性の可能性が低く、食品やサプリメントによる有害事象の報告がないとして上限量を設けませんでした。NIHによれば、多様な食事をしている健康な人が、通常の凝固検査が変わるほど摂取量を減らすことはほぼ不可能です。
スプーン1杯で比べる食品
このシリーズでは、USDAのFoodData Centralにある100グラムあたりの値から、すりきり大さじ1杯(15グラム)の量を計算して並べます。ビタミンKについてデータベースが記録しているのはフィロキノン(栄養素番号430)です。
すりきり大さじ1杯(15g)のビタミンK1
USDA FoodData Central、SR Legacy、栄養素430(フィロキノン)。割合は成人男性の目安量120µgに対するもの。検証できるようFDC番号を併記。
出典:USDA FoodData Central。乾燥コリアンダーの葉は乾燥パセリと同じ1,360µg/100g(FDC 170921)。
3種類の植物がマイクログラム単位まで同じ値というのは珍しく、首位は順位ではなく「同着」と見るべきでしょう。そもそも、乾燥セージを大さじ1杯食べる人はいません。
実際の1食分のほうが役に立ちます。NIHの一覧では、冷凍コラードグリーンをゆでたもの半カップが530マイクログラム、生のほうれん草1カップが145、生のケール1カップが113、ゆでたブロッコリー半カップが110です。大豆油大さじ1杯で25。肉・チーズ・卵は1食あたり数マイクログラムのMK-4を含むだけです。
食品成分表に映らない食品

スプーンの表の限界を示すのが納豆です。NIHの一覧では、納豆3オンス(約85グラム)のビタミンKは850マイクログラム。1日の基準値の7倍以上で、ほぼすべてが豆を発酵させる細菌が作るMK-7です。100グラムあたり約1,000マイクログラム、大さじ1杯なら約150マイクログラムになります。フィロキノンを記録するUSDAの表では23です。
どちらの数字も間違いではありません。食品成分表はフィロキノンを中心に作られており、発酵食品に含まれる長い型のメナキノンが測定されることはずっと少ないため、納豆をよく食べる人のK2摂取量は推計では過小になります。それが健康上重要かどうかは別の問題です。K2だけの目標量はなく、後述の試験も、どちらかの型が骨や血管をよりよく守ることを示してはいません。
新生児だけが例外である理由
新生児のビタミンK不足は、食事とは関係のない理由で起こります。胎盤を通るビタミンKはわずかで、生まれたときの蓄えが少なく、母乳にもあまり含まれません。その結果起こりうるのがビタミンK欠乏性出血症で、発症時期によって分類されます。生後1日以内の早発型、生後1週間以内の古典型、そして生後2週から6か月の遅発型で、遅発型では脳内の出血がよく起こります。
予防投与をしない場合、早発型と古典型は出生の0.25〜1.7%と推定されています。遅発型はより稀ですが、深刻な結果になりやすく、ある系統的レビューでは中央値で出生10万人あたり35人でした。米疾病対策センター(CDC)の2013年の報告は、注射を受けなかった乳児が遅発型を発症するリスクは81倍という推定を引用しています。
生後の投与の有無とビタミンK欠乏性出血症
出生10万人あたりの発生率と、注射を受けていない乳児のオッズまたはリスク。
| 指標 | 推定値 | 出典 |
|---|---|---|
| 遅発型、予防投与なし | 10万人あたり35(中央値、高所得国では8.8) | Sankar, 2016 |
| 遅発型、予防投与なし | 10万人あたり10.5〜80 | Loyal and Shapiro, 2020 |
| 遅発型、オーストラリア(注射を推奨) | 10万人あたり0.61 | Zurynski, 2020 |
| 遅発型、注射なしと注射ありの比較 | リスク81倍(推定) | CDC MMWR, 2013 |
| 生後6か月までの出血、注射の記録なし | 調整オッズ比1.52(1.27〜1.81) | Simatou, 2026 |
| 頭蓋内出血、注射の記録なし | 調整オッズ比2.91(2.13〜3.96) | Simatou, 2026 |
出典:Sankar et al., J Perinatol (2016);Loyal and Shapiro, Hosp Pediatr 10(3) (2020);Zurynski et al., Arch Dis Child 105(5) (2020);CDC, MMWR 62(45) (2013);Simatou et al., JAMA Pediatr (2026)。
米国の小児科学会は1961年から、生後すぐの1回の注射を推奨しており、現在の用量は0.5〜1ミリグラムです。経口投与も効果はありますが、生後数週間にわたって繰り返す必要があり、そこでつまずきます。オーストラリアの調査では、経口でビタミンKを受けて出血した赤ちゃん7人のうち6人が、推奨された3回の投与を終えていませんでした。
注射にも騒動がありました。1990年代初め、英国の研究チームが、注射でビタミンKを受けた子どもは小児がん、特に白血病のリスクが約2倍だと報告したのです。その後、はるかに大規模な研究が続きました。スウェーデンの子ども138万人を対象にした研究では増加はみられず、米国のコホート研究でも関連は見つかりませんでした。その後の研究で有意な関連を示したものはありませんが、ごく小さなリスクを完全には否定できないと述べた著者もいます。
接種の拒否と、その後に起きたこと

注射を断る親は少数ですが、増えています。文献レビューでは、拒否率は米国の病院で最大3.2%、自宅出産で14.5%、出産センターで31%でした。親が挙げた理由は注射への不安、自然でありたいという考え、代替手段への信頼で、ビタミンKを断った親は予防接種も断る傾向がありました。
ビタミンK注射を受けていない新生児
投与の記録がない出生の割合。2つの全国研究から。
出典:Scott et al., JAMA(2025年12月8日、500万人超の出生、NIH Research Mattersより);Simatou et al., JAMA Pediatrics(2026、2,020,302人の出生)。
その影響は症例報告に表れています。2013年、米テネシー州の医師たちは集団発生を報告しました。ある病院では8か月の間に7人の乳児で欠乏が確認され、全員が出生時にビタミンKを受けておらず、4人に頭蓋内出血がありました。
それが何を意味するかを最も大きな規模で調べたのがスウェーデンです。2003〜2021年の全国コホート2,020,302人の出生を調べたところ、注射の記録がない乳児は生後6か月までに出血と診断される調整オッズが1.52倍、脳内出血では2.91倍でした。これは観察研究の数字で、拒否が確認されたのではなく記録がないことを曝露としており、そうした家庭は他の点でも異なります。それでも、予防投与以前の時代に知られていたこととその方向は一致しています。
骨と血管:臨床試験でわかったこと
観察研究では、ビタミンKを多く摂る成人ほど骨折が少なくなります。8万人以上を含む5つのコホートのメタ分析では、摂取量が最も多い群でリスクが22%低くなっていました。ビタミンKそのものが原因かを確かめるのは臨床試験ですが、その結果はもっと複雑です。
骨と血管を対象としたビタミンKサプリメントの試験
1.00より小さい値はビタミンKに有利。
ECKO試験、女性440人、K1を1日5mg — 2年間の腰椎骨密度:−1.28% 対 −1.22%
4年間の臨床骨折(副次評価項目):9人 対 20人、HR 0.45(0.20〜0.98)
最新のメタ分析、閉経後または骨粗しょう症 — 何らかの骨折:OR 0.72(0.55〜0.95)
バイアスのリスクが低い試験のみ:0.76(0.58〜1.01)
14試験、1,533人 — 冠動脈カルシウムスコアの進行:平均差 −17.37(−34.18〜−0.56)
ビタミンKの状態を示す指標は一貫して改善
2020年の対照試験レビューでは、石灰化・動脈硬化・動脈の硬さに一貫した効果はなかった
出典:Cheung et al., PLoS Medicine 5(10):e196 (2008);Mott et al., Osteoporosis International (2019);Li et al., Frontiers in Nutrition 10:1115069 (2023);Vlasschaert et al., Nutrients 12(10):2909 (2020)。
2006年のメタ分析は大腿骨と椎体の骨折が大きく減ると報告しましたが、それを主に支えていたのは、日本で骨粗しょう症治療薬として承認されている45ミリグラムのMK-4製剤、メナテトレノンの試験でした。2018年、このレビューの著者自身が、信頼性に疑問が呈された試験を含んでいたと読者に注意を促しました。2019年の更新版でも臨床骨折は減っていましたが、バイアスのリスクが低い試験だけに絞ると有意性は失われ、椎体骨折には差がありませんでした。
欧米で最大のECKO試験では、骨が薄くなったカナダの女性440人に、ビタミンK1を1日5ミリグラム(女性の目安量の50倍以上)または偽薬を投与しました。骨密度は両群で同じだけ低下しましたが、骨折したのはビタミンK群9人、偽薬群20人でした。件数が少ないため、著者らはより大規模な試験が行われるまで高用量K1は推奨すべきでないと結論づけています。
血管も同じ構図です。サプリメントは血中の指標を確実に改善し、試験は腎臓病の人を対象とすることが多いのですが、石灰化が遅くなるかははっきりしません。ある統合解析の効果は、かろうじて有意に届いた程度でした。
ビタミンKを適正に保つには

ほとんどの成人は、特に意識しなくても食事でビタミンKが足ります。NIHが注意を促しているのは、脂肪をうまく吸収できない人(嚢胞性線維症、セリアック病、潰瘍性大腸炎、短腸症候群)で、長期の抗菌薬、胆汁酸吸着薬、オルリスタットも吸収を下げることがあります。
重要な例外はワルファリンを飲んでいる人で、この助言はよく誤解されています。ワルファリンはビタミンKの再利用を妨げる薬なので、摂取量が急に変わると効き方が強くも弱くもなります。NIHの指針は、緑の野菜を避けることではなく摂取量を一定に保つこと、そしてサプリメントや大きな食事の変更は用量を管理している医療者に伝えることです。
新生児については、根拠は生後すぐの1回の注射を支持しています。親が経口投与を選ぶ場合、予定されたすべての回数を投与してはじめて効果が得られます。
よくある質問
ビタミンKを多く含む食品は?
1食分では納豆、ゆでたコラードグリーンやカブの葉、ほうれん草、ケール、ブロッコリー。大さじ1杯あたりでは、USDAのデータで乾燥バジル・セージ・タイムが最も多くなります。
ビタミンKに上限量はありますか?
ありません。食品やサプリメントによる有害事象は報告されていません。ワルファリンを飲んでいる人にとっては、量よりも一定であることが大切です。
新生児にビタミンKを注射するのはなぜ?
生まれたときの蓄えがとても少なく、母乳にもあまり含まれないためです。1回の注射で、脳に及ぶことが多い遅発型を含め、欠乏性出血症を防げます。
ビタミンK注射で白血病になりますか?
1990年代初めに報告された関連は、スウェーデンと米国のより大規模な研究で確認されませんでした。
まとめ
- 成人の目安量は男性で1日120マイクログラム、女性で90マイクログラム。米国では食事からの平均摂取量がすでにこれを上回り、耐容上限量は設定されていません。
- 大さじ1杯で比べると、乾燥バジル・セージ・タイムが257マイクログラムで並びます。NIHの一覧で首位の納豆は、ビタミンK2が測定対象外のため米国農務省の表ではほとんど目立ちません。
- 例外は新生児です。生後すぐに投与しないと遅発性出血のリスクは81倍と推定され、スウェーデンでは注射の記録がない乳児で頭蓋内出血のオッズが約3倍でした。
- 1990年代に報告された注射と小児がんの関連は、スウェーデンと米国の大規模研究で確認されませんでした。
- 骨については、欧米で最大の試験で高用量ビタミンKは骨密度を変えませんでした。骨折の減少は副次的な結果で、質の高い試験に絞ると効果は弱まります。
この記事は公表された研究の要約であり、医学的な助言ではありません。ワルファリンなどの抗凝固薬を服用している方、脂肪の吸収に影響する病気のある方、新生児のビタミンKについて判断しようとしている方は、医師、助産師、管理栄養士に相談してください。
さらに読む:新生児のビタミンK拒否に関する根拠は Loyal and Shapiro, Hospital Pediatrics 10(3)(2020)。骨密度が変わらないのに骨折が減るという結果がどう両立しうるかは ECKO試験の Cheung et al., PLoS Medicine 5(10):e196(2008)。骨折に関する最新の根拠は Mott et al., Osteoporosis International(2019)。
- Vaccine Hesitancy、Maya J. Goldenberg(2021)。科学哲学者が、医療の助言を信じない親がいる理由を論じた本。新生児の注射を断る背景を考えるのに役立ちます。データと同じくらい「信頼」について論じています。
- The Doctor Who Fooled the World、Brian Deer(2020)。不正なワクチン研究とそれがもたらした害を追った調査報道。1本の欠陥論文が何十年も判断を左右しうることがわかります。テーマはビタミンではなくワクチンです。
- Spoon-Fed、Tim Spector(2020)。遺伝学者が、よくある栄養の常識とその根拠を検証した本。食品成分表と臨床試験がなぜ食い違うのかを考えるのに向いています。網羅的というより簡潔な一冊です。
参考文献
- NIH Office of Dietary Supplements, vitamin K fact sheet for health professionals: Adequate Intakes, absence of an upper limit, forms, food-serving values, average intakes, groups at risk, newborn prophylaxis and the AAP dose, and the warfarin interaction.
- USDA FoodData Central, SR Legacy, nutrient 430; FDC identifiers are printed in the figure.
- Centers for Disease Control and Prevention. Late vitamin K deficiency bleeding in infants whose parents declined vitamin K prophylaxis, Tennessee, 2013. MMWR 62(45) (2013).
- Loyal J, Shapiro ED. Hospital Pediatrics 10(3) (2020).
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- Simatou E, Tsamantioti E, Hallström A, et al. JAMA Pediatrics (2026), doi:10.1001/jamapediatrics.2026.2606.
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