ブラジルの住宅火災:ガス、配線、密集した住まい

サンパウロのパライゾポリス地区で、焼け落ちた住宅の間に立つ消防士
2017年3月、サンパウロのファヴェーラ(スラム)、パライゾポリスで火災が起き、約30戸が焼けました。10日足らずのうちに2度目の火災でした。 写真:Rovena Rosa/Agência Brasil(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)
全国統計なし更新 2026年10月20日

トレンドの要約

  • ブラジルには住宅火災の公式な全国統計がありません。2017〜2019年に消防が出動した火災は73万件を超え、2,700人以上が亡くなりました。年に約900人です。
  • 子どもは数こそ少ないものの、毎年一定の割合を占めています。2016〜2024年に煙・火災・炎で亡くなった0〜14歳の子どもは661人でした。死亡率は10万人あたり0.184から0.152へわずかに下がりました。
  • 州がデータを公表している地域では、火災の中心は住宅です。ベロオリゾンテでは建物火災の62%、死傷者が出た火災のほぼ90%が住宅で起きていました。
  • 最悪の事故は、密集した非正規の住まいで起きています。ファヴェーラのバラック、占拠された高層ビル、保護施設などです。調理用ガス(LPG)の漏れは、アラカジュ(2023年)とマセイオ(2024年)で死者を出す建物倒壊を引き起こしました。
約900人年間の火災死者(2017〜2019年、消防データ)
661人煙・火災による子どもの死亡(2016〜2024年)
1日262件統一保健システム(SUS)のやけど診療(2022年)
1,184件セアラ州で消防が出動した住宅火災(2022年)

数字で見る現状

住宅火災の全国の数字は、ひとつにまとまっていません。ベロオリゾンテの火災を調べた2025年の研究は、先行研究を引いて、ブラジルの消防が2017〜2019年に73万件を超える火災に出動し、2,700人以上が亡くなったと述べています。年に約900人です(Santos and Corrêa, 2025)。議会で引用された連邦公共安全局(Senasp)のデータでは、2020年の火災は262,087件で、うち83,006件が建物を含む都市部の火災でした(下院通信(Agência Câmara))。病院のデータからは、もっと狭い範囲が見えます。2007〜2016年に入院中に亡くなったやけど患者は20,907人で、そのうち3,510人は煙・火災・炎にさらされていました(ICD-10のX00〜X09)。この人たちの死亡リスクは、ほかのやけど患者の2倍を超えていました(Meschial et al., 2020)。統一保健システム(SUS)では、2022年にやけどの診療が95,900件、1日262件あり、やけどによる入院は11,900件でした(SIA/SIHのデータ)。保健機関によると、やけどの約70%は家の中で起きています(FHEMIG)。

0〜14歳の子どもでは、2016〜2024年に煙・火災・炎による死亡が661人記録されました。そのほぼ半数は1〜4歳です。死亡率は子ども10万人あたり2016年に0.184、2022年に0.144、2024年に0.152で、傾向の検定はされていません(Rodriguez et al., 2026)。州の消防のデータを見ると、建物火災の中心は住宅です。セアラ州の消防は、住宅火災に2021年は1,020件、2022年は1,184件出動しました(O Povo/セアラ州消防(CBMCE))。2023年1〜9月は968件で、前年同期より7%増えています(O Povo)。ベロオリゾンテでは2021〜2022年、建物火災1,371件のうち852件(62%)が住宅でした。死傷者が出た火災133件のうち119件も住宅です(Santos and Corrêa, 2025)。より広いミナスジェライス州の建物火災3,391件の標本では、64%が住宅で、45%は寝室から出火していました(アジェンシア・ミナス(Agência Minas))。民間のスプリンクラー・ブラジル協会(Instituto Sprinkler Brasil)は建物火災の報道を集計していますが、住宅は対象外なので、その数字に住宅火災は含まれません。

背景にあるもの

繰り返し現れる危険は3つあります。1つめは調理用ガスです。セアラ州の消防は、ガスの事故に年に約2,000件出動しています(2019年は2,092件、2023年は2,043件)(セアラ州消防(CBMCE))。ガス漏れで、2023年12月31日にアラカジュで家屋が倒壊して5人が亡くなり(セルジッペ州民間防衛局)、2024年11月にはマセイオで3人が亡くなりました(アラゴアス州消防(CBMAL))。2つめは電気の故障と、過負荷の非正規な配線です。2012年のサンパウロ市議会の調査委員会は、ファヴェーラ火災の主な原因として気候と電気の問題を挙げました(サンパウロ市議会)。3つめは粗末な住まいの密集です。木造のバラックは燃え広がるのが速く、逃げ道もわずかです。サンパウロの消防は、火災が及んだファヴェーラを2008年に130か所、2010年に79か所記録しました(サンパウロ市議会)。2015年には136件のファヴェーラ火災があり、2016年は7月下旬までに100件に達しました(Monitor Mercantil/アジェンシア・ブラジル)。

法律による住宅の保護には、偏りがあります。2017年の「キス法」(Lei 13.425)は、2013年のサンタマリアのナイトクラブ火災を受けて制定されました。対象は人が集まる場所で、住宅についての規定は集合住宅の定期点検だけです(大統領府(Planalto))。一戸建て、ファヴェーラ、占拠された建物は、正式な防火規定の枠からほぼ外れています。その穴があらわになったのが、2018年5月1日、サンパウロで占拠されていたウィルトン・パエス・デ・アルメイダ・ビルが燃えて倒壊した事故です。146世帯、約372人が住んでいて(Congresso em Foco)、7人が亡くなりました(Jovem Pan)。2024年4月にも、社会住宅として使われていたポルトアレグレの簡易宿泊所で11人が亡くなり、同じ問題が浮かびました(リオグランデ・ド・スル州検察(MPRS))。予防は、冬の暖房器具やコンロへの注意喚起、6月6日の「全国やけど防止デー」など、州の消防の啓発活動に頼っています。

最近の事例

  • 2026年9月16日:全国調査で、2016〜2024年に煙・火災・炎で亡くなった0〜14歳の子どもは661人で、死亡率は1〜4歳で最も高いことがわかりました(Revista Aracê)。
  • 2026年6月24日:リオグランデ・ド・スル州の消防が「安全な冬」キャンペーンを開始しました。熱源による事故が2024年の1,196件から2025年は1,298件へ、8.5%増えたためです(リオグランデ・ド・スル州政府)。
  • 2026年5月11日:サンパウロ西部ジャグアレのコミュニティで爆発に続いて火災が起き、1人が亡くなり、46戸が使用禁止になりました。市議会議員が伝えました(サンパウロ市議会)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に最大5件、新しい順に載せています。多くは保健省、国立宇宙研究所(INPE)、連邦道路警察(PRF)、航空事故調査防止センター(CENIPA)、中央銀行などの連邦機関、公共通信社アジェンシア・ブラジル、上院・下院の通信、州政府の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道記事も含めています。タイトルはポルトガル語の原文を英訳したものです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

ブラジルの住宅火災に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の43件、1年最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

5件に満たない年が多く、まだ1件もない年もあります。連邦政府の古い発表や2007〜2013年のアジェンシア・ブラジルの記事は元のアドレスで見つけにくく、実際に開いて確認できたものだけを載せているためです。リストには今後も追加していきます。ページに日付がない場合は、発表のアドレスや発行元の一覧にある日付を使っています。

写真リスト

台所の床に置かれた青い調理用ガスボンベ(ボチジャン)
資料写真:家庭用の調理用ガス(LPG)ボンベ。ガス漏れは死者の出る住宅火災や爆発の主な原因の一つです。 写真:Robsonchito(Wikimedia Commons、CC0)
ブラジリアの連邦直轄区軍消防隊の消防車
資料写真:ブラジリアの連邦直轄区軍消防隊(CBMDF)の消防車。ブラジルの消防は州が運営しています。 写真:Andre Gustavo Stumpf Filho(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。速報値・暫定値は後で改訂されるため、その旨を明記しています。ブラジル全国の死亡データは保健省の死亡情報システム(SIM/DATASUS)によるもので、確定までにふつう2年ほどかかります。また火災のように全国の統一集計がない分野もあるため、それぞれの数値が何年のどの資料のものかを書いています。金額はレアル(R$)で示しています。見出しや引用はポルトガル語からの翻訳です。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書かない限り本文の出来事の写真ではありません。このページは傾向をまとめたもので、個別の安全・医療・法律・金融の助言ではありません。