オーストラリアの詐欺被害:ピークは下回るが再び増加

テクニカルサポート詐欺で使われる偽のパソコンの警告画面
資料写真:遠隔操作詐欺で使われるような偽の「テクニカルサポート」の警告画面。画像:Half pipe load(Wikimedia Commons、CC0)
ピークは下回るが再び増加2026年10月4日更新

トレンドの要約

  • オーストラリアで報告された詐欺被害は2022年のピークを大きく下回っていますが、減少は止まりました。届け出る人は減ったのに、2025年の被害額は再び増えています。
  • 2025年にオーストラリアの人々が報告した詐欺被害は21.8億豪ドルで、2024年より7.8%増えましたが、2022年のピーク31億豪ドルを29.7%下回っています。
  • 被害額が群を抜いて大きいのは投資詐欺で、2025年は8.377億豪ドルでした。規制当局によると、AIでつくった偽の推薦がその大きな部分を占めています。
  • 全国調査はさらに広い実態を示しています。2024-25年度に約320万人、およそ7人に1人が何らかの個人向け詐欺の被害を受け、その多くはカードの不正利用でした。
21.8億豪ドル報告された詐欺被害、オーストラリア、2025年(+7.8%)
481,523件Scamwatchと連携機関への詐欺の報告、2025年
320万人個人向け詐欺の被害を受けた15歳以上、2024-25年度
19,400件以上ASICが削除したオンライン詐欺、2025-26年度(+182%)

数字が示すこと

全国の主な集計は、国家詐欺対策センター(NASC)の年次報告「Targeting Scams」で、Scamwatch、ReportCyber、IDCARE、オーストラリア金融犯罪取引所、ASICへの報告をまとめたものです。2026年3月30日に公表された2025年の報告(英語)では、詐欺の報告は481,523件、そのうち被害を伴うものが274,577件で、被害額は21.8億豪ドルでした。2024年の20.3億豪ドル(英語)より7.8%多く、その2024年は2023年の27.4億豪ドル(英語)を25.9%下回っていました。1件あたりの被害は小さくなり、中央値は2024年の500豪ドルから2025年は400豪ドルに下がりました。センターはこれを、より多くの人がより少ない額でだまされていると読んでいます。高齢者は人口の約17%ですが、Scamwatchに報告された被害の26.5%を占めています。

これは報告された被害で、届け出されない詐欺も多くあります。その穴を埋めるのが、オーストラリア統計局(ABS)の世帯調査です。2024-25年度の個人向け詐欺調査(英語)は、15歳以上の15%が個人向け詐欺の被害を受けたと推計しています。カードの不正利用が10%、詐欺が2.7%、オンラインでのなりすましが2.3%、個人情報の盗用が1.0%です。カードの不正利用の被害者は10年で2倍になり、2014-15年度の110万人から230万人に増えました。カードの不正利用の被害額は約22億豪ドルでしたが、被害者の72%は全額補償され、個人の実質的な損失は約3.5億豪ドルでした。サイバー犯罪では、ASDの「サイバー脅威報告2024-25」(英語)が、ReportCyberへの報告を84,700件以上、約6分に1件と数えています。個人が申告した平均の被害額は33,000豪ドルで8%増え、最も多かったのは個人情報を悪用した詐欺でした。

背景にあるもの

最も大きな被害を出しているのは投資詐欺です。2025年の報告された被害のうち8.377億豪ドルを占め、2024年の9.45億豪ドル、2023年の13億豪ドルからは減りました。続くのは、支払先のすり替え(1.668億豪ドル)、ロマンス詐欺(1.399億豪ドル)、フィッシング(9,760万豪ドル)、遠隔操作詐欺(6,990万豪ドル)です。証券投資委員会(ASIC)によると、詐欺師は今や生成AIを使い、偽のウェブサイト、ニュース記事、口コミ、政治家や金融評論家のディープフェイク動画をまとめてつくり、ネットで少し調べると詐欺が本物に見えるようにしています。ASICは2025年にフィッシングと投資詐欺のサイトを11,964件削除(英語)し、前年より90%増えました。2025-26年度に削除したオンライン詐欺は19,400件を超えます。

政策の対応はまだ整備の途中です。「詐欺防止枠組み」(英語)は2025年2月13日に議会を通過し、銀行、通信会社、SNSに、詐欺の防止、検知、妨害、報告、対応の義務を課し、最高5,000万豪ドルの罰金を科します。しかし会計検査院長は2026年6月(英語)、財務省はこの枠組みを2027年末までに運用する計画で、効果を測る適切な方法はまだ整えていないと報告しました。

最近の事例

  • 2026年8月:2025-26年度に偽の投資プラットフォーム7,051件、偽の暗号資産プラットフォーム3,106件を含む19,400件以上のオンライン詐欺を削除したASICが、詐欺師がAIを使って偽の投資の周りに「巨大な欺きの網」を張っていると警告しました(ASIC、英語)。
  • 2026年7月8日:国家詐欺対策センターが、先住民(ファースト・ネーションズ)を狙う偽のオンラインカジノや賭博サイト「スキャンブリング」に対応する新しいタスクフォースを設けました(ACCC、英語)。
  • 2026年6月5日:2026年1〜3月にScamwatchが受けた詐欺の報告は45,816件で、そのうち6,775件が被害を伴い、合計7,670万豪ドルでした。センターは5,834件の詐欺サイトを止め、そのうち1,960件は偽の賭博サイトでした(ACCC、英語)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に5件ずつ、新しい順に載せています。多くはオーストラリア連邦政府、州・準州の機関、規制機関、事故調査機関、国の統計機関の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。タイトルは原文(英語)のままです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

オーストラリアの詐欺被害に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の23件、1年に最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2008

さかのぼった年には5件に満たないところがあります。オーストラリア政府の古い発表の多くは元のアドレスで公開されておらず、見つけて確認できたものだけを載せているためです。

写真リスト

詐欺拠点とみられる建物を監視する捜査員
資料写真:東南アジアの詐欺拠点とみられる施設を監視する捜査員。オーストラリアの人々を狙う詐欺の多くはこうした拠点から行われています。写真:米連邦捜査局(FBI)(Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
財布に入ったオーストラリアの紙幣
資料写真:財布に入ったオーストラリアの紙幣。写真:Martin Kingsley(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。オーストラリアの統計は州・準州ごとに別々に公表されることが多く、会計年度は7月から翌年6月までのため、それぞれの数値がどの地域・期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。