オーストラリアの感染症の動向:インフルエンザと百日ぜきが過去最多

インフルエンザワクチンの小びん
資料写真:インフルエンザワクチンの小びん、2021年。写真:Prefeitura de Campinas(Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
記録更新、リスクは上昇2026年10月4日更新

トレンドの要約

  • オーストラリアでかつてよく抑えられていたいくつかの感染症が、コロナ禍の後に大きく戻ってきました。そのうち2つは2024年と2025年に全国記録を更新しています。
  • 2025年はインフルエンザが記録上最悪の年で、10月までに検査で確定した患者が41万人以上となり、2024年の約36.5万人という過去最多を上回りました。
  • 百日ぜきは2024年に57,257人と、1991年の全国記録開始以来最多となり、2025年もさらに25,256人でした。
  • 梅毒の届け出は10年でほぼ倍増し2025年は8,993件、首席医務官は「全国的な事態」を宣言しました。はしかは今も排除状態ですが、海外から持ち込まれる患者が増えています。
41万人以上検査で確定したインフルエンザ患者、オーストラリア、2025年(過去最多、10月まで)
57,257人百日ぜきの患者、オーストラリア、2024年(1991年以降最多)
8,993件梅毒の届け出、オーストラリア、2025年(2015年は4,773件)
181人はしかの患者、オーストラリア、2025年

数字が示すこと

届け出が必要な感染症は州・準州が数え、全国届出疾病監視システム(NNDSS)に集められます。2026年1月1日からは、新しく独立したオーストラリア疾病対策センター(CDC)(英語)が運営しています。インフルエンザについて、王立オーストラリア総合診療医協会(RACGP)(英語)は、2025年10月までに検査で確定した患者が41万人以上、人口10万人あたり約1,544人で、2024年の記録を10.8%上回ったと報告しました。流行は5月から夏まで続きました。2026年のピークは遅く、9月28日までの1年間の届け出は175,960件(英語)、そのうち81,796件がニューサウスウェールズ州でした。数値は暫定値で、インフルエンザにかかっても検査を受けない人も多くいます。

百日ぜきは、ここ数十年で最大の流行の中にあります。オーストラリアCDC(英語)は、2024年に57,257人、2024〜2025年の合計で82,513人と数えています。半数以上は5〜14歳の子どもで、ニューサウスウェールズ州が約26,000人でした。はしかは公式には今も排除状態ですが、CDCは2025年に181人(英語)と報告しており、2026年は5月24日までに102人(2025年の同時期は78人)でした。ABCニュース(英語)によると、梅毒の届け出は2015年の4,773件から2025年には8,993件に増えました。

背景にあるもの

インフルエンザのおもな要因は、新しいウイルスと接種率の低下です。H3N2型の新しい変異株「サブクレードK」は、2025年8月にオーストラリアとニュージーランドで初めて見つかり、流行を夏まで長引かせました(英語)。2025年にインフルエンザワクチンを受けた生後6か月〜5歳の子どもは25.7%、65歳以上は60.5%で、どちらも近年より低くなっています。CDCは百日ぜきが増えた理由として、3〜4年ごとの自然な流行周期、予防接種や感染で得た免疫の低下、パンデミック中に感染する機会が減ったこと、検査の増加を挙げています。はしかの患者のほとんどは海外で感染したか、海外で感染した人とつながっています。多くは予防接種を受けていないか、接種歴がわからない20〜49歳の成人です。

動物や蚊から来る脅威もあります。日本脳炎は雨の多い夏にマレー川沿いで繰り返し現れ、ニューサウスウェールズ州は高リスク地域を訪れる人への無料接種を拡大しました(英語)。世界中の鳥に広がったH5型の鳥インフルエンザは、2026年6月にオーストラリアに到達しました。CDCは人へのリスクは低く、国内ではこの型の人への感染は報告されていないとしています。

最近の事例

  • 2026年9月24日:南オーストラリア州保健局が、アデレードで10代3人のはしか患者を報告し、2026年の州内の患者は8人になりました(SA Health、英語)。
  • 2026年6月20日:西オーストラリア州エスペランス近くで見つかったトウゾクカモメから、CSIROの検査でH5型の高病原性鳥インフルエンザが確認されました。オーストラリアでこの型が見つかったのは初めてです(農業大臣、英語)。
  • 2026年3月31日:オーストラリアCDCが、はしかの患者のほとんどは海外で感染したか海外の患者とつながっており、特に学校休みの前後に多いとして、旅行者に2回接種を確認するよう呼びかけました(オーストラリアCDC、英語)。

報道発表・公式報告(2023〜2026年)

直近4年分の主な発表を、1年に最大5件、新しい順に載せています。多くはオーストラリア連邦政府、州・準州の機関、規制機関、事故調査機関、国の統計機関の発表で、出来事を最もはっきり記録しているものに限り報道も含めています。タイトルは原文(英語)のままです。2007〜2022年の発表は、2023年の後にある折りたたみリストにあります。

2026

2025

2024

2023

オーストラリアの感染症に関する主な発表20年分を見る(2007〜2026年)2007〜2022年の77件、1年に最大5件、新しい順

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

さかのぼった年には5件に満たないところがあります。オーストラリア政府の古い発表の多くは元のアドレスで公開されておらず、見つけて確認できたものだけを載せているためです。

写真リスト

人の肌から血を吸うイエカ
資料写真:日本脳炎やマレーバレー脳炎を広げるイエカ。写真:米疾病対策センター(CDC)(Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
はしかの予防接種率と患者数を比べたグラフ
グラフ:世界のはしかの予防接種率と患者数(Our World in Dataより)。作成:MDWiki(Our World in Dataより)(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)

このページのつくり方 数値は上にリンクした公式の統計発表によります。暫定値は後で改訂されるため、そう明記しています。オーストラリアの統計は州・準州ごとに別々に公表されることが多く、会計年度は7月から翌年6月までのため、それぞれの数値がどの地域・期間のものかを書いています。写真はパブリックドメインまたはクリエイティブ・コモンズの画像で、各キャプションに出典を記しています。「資料写真」は説明のためのもので、キャプションに書いていない限り、記事中の出来事を写したものではありません。このページは動向をまとめたもので、個人の安全・医療・法律・金融に関する助言ではありません。