カリウムを多く含む食品と、サプリで買える「99mg」

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  • 目安量は男性で1日3,400mg、女性で2,600mgです。2019年までは4,700mgでした。引き下げられたのは、必要量ではなく、実際の摂取量をもとに設定し直したためです。
  • 耐容上限量はなく、サプリは99mg止まり。1日分の約3%です。カリウムはお金で買って補える栄養素ではありません。
  • クリームオブターター(酒石英)大さじ1杯で2,475mg。製菓用の酸味料で、2025年には高カリウム血症による心停止を引き起こしています。
  • バナナ1本は422mg。干しアンズ、レンズ豆、カボチャ、ベイクドポテトは、どれも1食あたりでバナナを上回ります。

カリウムの目安量は、成人男性で1日3,400mgです。一方、店頭のカリウムサプリで見つかる最大量は99mg。目安量の約3%にすぎません。

この差は見落としではありませんし、カリウムが重要でないからでもありません。これこそがこのミネラルの最も興味深い点です。脳卒中を減らしたという大規模なランダム化試験がある唯一の栄養素が、錠剤ではまともな量を買えない栄養素でもあるのです。

この記事では、カリウムの働き、実際に多く含む食品、2019年に公式の数値が引き下げられた理由、代替塩の試験でわかったこと、そして医師に相談せずに手を出すべきでない人について解説します。

3つの数値と、1つ目の本当の意味

カリウムは細胞内の主要な陽イオンです。体は細胞膜をはさんだ濃度差を、神経の伝達、筋肉の収縮、体液のバランスに利用しています。摂取量が少ないと、血圧が高くなりやすく、脳卒中も増えることが知られています。ここまでは議論の余地がありません。

カリウムの3つの数値

米国の成人の食事摂取基準(1日あたりのmg)と、サプリに含まれる量の実質的な上限。

目安量・男性(2019年)3,400
目安量・女性(2019年)2,600
以前の目安量(2005年)4,700
耐容上限量設定なし
一般的なサプリのカリウム量99

出典:NIH(米国国立衛生研究所)栄養補助食品局のカリウムのファクトシート(2019年の米国医学研究所〈Institute of Medicine〉のレビューに基づく)。

1つ目の数値はもう一度よく見る価値があります。多くの人が思っているものとは違うからです。2019年、委員会は「推定平均必要量」、つまり体が実際にどれだけ必要としているかを示す数値を導くにはデータが足りないと判断しました。そこで代わりに目安量を設定し、その値を健康な人で観察された摂取量の中央値のうち最も高いものにしたのです。

つまりこれは、人々が実際に食べている量を示したもので、健康への影響から導いた目標値ではありません。しかも数値は下がりました。2005年の値は4,700mgでした。この2つの時点のあいだで、カリウムそのものについては何も変わっていません。変わったのは数値の決め方です。

耐容上限量もありません。委員会は、カリウムサプリの大量摂取で心臓の異常や死亡が起きた例があることに触れつつ、上限を定めるには症例報告が不十分だと判断しました。また、腎機能が正常な成人では、多量に摂取しても高カリウム血症が起きるという根拠は見つからなかったとしています。この最後の「腎機能が正常な」という条件を覚えておいてください。この記事の後半はすべて、この条件から外れる人たちの話です。

スプーン1杯で比べる3つの食品

このシリーズでは、USDA(米国農務省)の100gあたりの数値を使い、すりきり大さじ1杯(15g)あたりの量で食品を比べています。カリウムでは、シリーズ史上最も極端な結果が出ました。しかも1位は、普通の意味での「食品」ではありません。

すりきり大さじ1杯(15g)あたりのカリウム

USDA FoodData Central(SR Legacy)。100gあたりの値を単純計算で換算。数値を確認できるようFDCの識別番号を併記。

クリームオブターター:16,500mg/100g(FDC 175041)2,475
乾燥チャービル:4,740mg/100g(FDC 171318)711
インスタントコーヒーの粉:3,540mg/100g(FDC 171893)531
ドライトマト:3,430mg/100g(FDC 168567)515
乾燥パセリ:2,680mg/100g(FDC 170930)402

出典:USDA FoodData Central。クリームオブターターは酒石酸水素カリウムで、製菓用の酸味料です。普通の意味での食品ではありません。

クリームオブターター大さじ1杯には、2,475mgのカリウムが含まれます。男性の目安量の73%、女性の目安量の95%が、製菓材料売り場で売られている白い粉スプーン1杯に入っているのです。大さじ1杯も使う人はいません。レシピで使うのは小さじ1杯、約3gですが、それでも495mgあり、バナナ1本より多くなります。

点と直線による抽象的なイラスト:縦線の片側では同じ数の点が細い柱状にぎっしり詰まり、反対側では広い範囲にまばらに散らばっている
同じ量でも、スプーンの中と皿の上ではこれだけ違います。

これは単なる豆知識ではありません。2025年5月、Medical Journal of Australiaに、クリームオブターターを飲み込んだことによる高カリウム血症性心停止の症例が報告されました。食品データベースで最もカリウム密度が高いものは、民間療法としてスプーンで飲まれることがある物質で、実際に人を心停止に追い込んでいます。

スプーンではなく実際の1食分で並べると、表はごく普通のものに戻ります。そしてそれこそが本当の教訓です。

1食分あたりのカリウム

NIH栄養補助食品局が示す1食分あたりのmg。

干しアンズ(1/2カップ)755
ゆでたレンズ豆(1カップ)731
エイコーンスカッシュ(カボチャの一種)のマッシュ(1カップ)644
ベイクドポテト、皮なし(中1個)610
インゲン豆の缶詰(1カップ)607
バナナ(中1本)422
低脂肪乳1%(1カップ)366
炊いた白米(1カップ)54

出典:NIH栄養補助食品局のカリウムのファクトシート。

バナナはカリウムの代名詞ですが、供給源としては平凡です。422mgで、男性の1日分の約8分の1にとどまります。干しアンズ、レンズ豆、シンプルなベイクドポテトは、どれもバナナを上回ります。カリウムは1つの「スター食品」に集中しているのではなく、加工されていない植物性食品に薄く広く含まれています。だからこそ、摂取量の合計は、食事のうちどれだけがそうした食品でできているかに左右されるのです。

実際の摂取量

米国人の食事からの平均摂取量は、男性で1日3,016mg、女性で2,320mgです。どちらもそれぞれの目安量を下回り、2019年まで使われていた4,700mgにはまったく届いていません。ほぼ誰も達成できていなかったのです。数値が変更されたのは、まさにそのためでした。

点と直線による抽象的なイラスト:太い帯状の点の群れが実線の水平線の手前で止まり、はるか上にはどの点も近づかない破線がもう1本引かれている
誰も届かなかった線と、それに代わった線。

サプリでこの差は埋まりませんし、そもそもそのように作られていません。米国人の12%が何らかのカリウム入りのサプリを使っていますが、それによる上乗せは平均で1日87mgです。メーカーが99mgに抑えているのは、FDA(米国食品医薬品局)が、それを超える量の特定のカリウム塩に小腸病変の警告表示を義務づけているからです。

普通に食事をしている人が、食事だけで明らかなカリウム欠乏になることはまれです。血中カリウムが低くなるのは、たいてい嘔吐、下痢、利尿薬などでカリウムを失うためで、食べる量が足りないためではありません。食事の問題として考えるべきなのは欠乏症ではなく、血圧です。

唯一の大規模試験は、サプリではなく「塩」の試験

SSaSS(Salt Substitute and Stroke Study)は、中国の農村部600の村をランダムに割り付けた試験です。参加者2万995人は全員、脳卒中の既往があるか、60歳以上で血圧のコントロールが不十分な人でした。介入群の村には塩化ナトリウム75%・塩化カリウム25%の代替塩が配られ、対照群の村は普通の塩を使い続けました。平均追跡期間は4.74年です。

塩を置き換えた結果

普通の塩と比べた率比。中国の600村の成人2万995人、平均追跡4.74年。1.00未満は代替塩が有利。

脳卒中(主要評価項目)0.86
主要心血管イベント0.87
全死亡0.88
臨床的な高カリウム血症(安全性の評価項目)1.04

出典:Neal ら、New England Journal of Medicine 385(12):1067–1077(2021年)。脳卒中0.86(0.77〜0.96)、イベント0.87(0.80〜0.94)、死亡0.88(0.82〜0.95)、高カリウム血症1.04(0.80〜1.37)。

台所の材料を1つ変えるだけで、確かなアウトカム(脳卒中や死亡)が実際に減り、安全性のシグナルは横ばいでした。このシリーズでこれまでに紹介した中で最も強い結果です。ただし、代替塩に手を伸ばす前に、3つのことを押さえておく必要があります。

点と直線による抽象的なイラスト:2本の別々の点の柱が立ち上がって上部で1本の連続した帯になり、その横に目盛りが1つだけ置かれている
2つの変化が同時に起き、測定は1つだけ。

1つ目は、そのうちどれだけがカリウムの効果なのか、誰にも言えないことです。2つのことが同時に変わりました。24時間尿中ナトリウムは15.2mmol減り、カリウムは20.6mmol増え、収縮期血圧は3.34mmHg下がりました。2024年のモデル研究はこの効果を両者に振り分けようとしましたが、推定値は−1.67〜−5.33mmHgと幅のあるものでした。この試験は「置き換え」の効果を示す根拠であって、カリウム単独の効果を示すものではありません。

2つ目は対象集団です。参加者は高血圧のある高齢の中国の村民で、多くは脳卒中の既往があり、非常に塩分の多い食事を自宅で調理していました。21試験・3万1,949人を対象にした2022年のメタアナリシスでは、−4.61mmHgという一貫した降圧効果が見られました。また、15か国の34試験を対象にした2026年のネットワーク・メタアナリシスも同じ方向を支持しています。それでも、確かなアウトカムに関する根拠は、今も大部分が1か所に頼っています。

3つ目は、ガイドラインの見解が定まっていないことです。2024年のレビューでは、高血圧のガイドライン32件と腎臓病のガイドライン14件を調べ、カリウム入り代替塩に関する推奨は不完全で一貫していないと結論づけました。WHO(世界保健機関)は2025年に、普通の塩をカリウム入り代替塩に置き換えることを推奨するガイドラインを出しています。しかし、各国の機関の多くはまだそれに続いていません。

危険になるのはどんな人か

代替塩の報道ではあまり触れられない部分があります。安心できる高カリウム血症の数字を出したこの試験は、害を受ける可能性が最も高い人を除外していました。カリウム保持性利尿薬を使っている人、カリウムサプリを飲んでいる人、重い腎臓病がわかっている人です。腎機能の血液検査は日常的には行われていませんでした。参加者は測定ではなく、質問でふるい分けられていたのです。

リスクのある人のリストは長く、しかもごくありふれたものです。慢性腎臓病。世界で最もよく処方されている薬の一つであるACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)。スピロノラクトンやアミロライドなどのカリウム保持性利尿薬。1型糖尿病、心不全、副腎不全、肝臓病。ファクトシートには、こうした人では食事からのカリウム摂取が目安量を下回っていても高カリウム血症が起こりうる、とはっきり書かれています。

食べ物や飲み物による高カリウム血症

経口摂取による高カリウム血症の症例報告をまとめたレビュー。

症例報告35件
経口摂取による高カリウム血症44件
うち17人は腎機能障害なし
血清カリウムの平均8.2mEq/L
原因
果物・野菜:17件
代替塩:12件
腎機能が正常な人では、代替塩とサプリが主な原因

出典:Te Dorsthorst ら、European Journal of Clinical Nutrition 73(1):38–45(2019年)。

代替塩は規格がそろっていません。含まれるカリウムは小さじ1杯あたり約440mgから2,800mgまでと、同じ棚に並ぶ製品のあいだで6倍以上の差があり、パッケージの表面からは見分けられません。使うのであれば、大事なのは裏面に書かれた数字です。

こうしたことは、SSaSSの結果が間違っているという意味ではありません。結果に「条件がつく」ということです。わかったのは、腎臓が正常にカリウムを処理できる人では、塩の4分の1を塩化カリウムに置き換えると脳卒中のリスクが下がる、ということです。上のリストに当てはまる人にとっては、同じ置き換えが救急外来に運ばれる原因になります。

よくある質問

Q. カリウム入りの代替塩に切り替えるべき?

腎臓が健康で、上に挙げた薬をどれも飲んでいないなら、ランダム化試験の根拠は、このシリーズで扱ったほぼどんなものよりもしっかりしています。腎臓病がある人、ACE阻害薬、ARB、カリウム保持性利尿薬を飲んでいる人は、まず医師に相談してください。試験で除外されていたのは、まさにそうした人たちです。

Q. なぜ99mgの錠剤しか買えないの?

FDAが、1錠99mgを超える特定のカリウム塩に小腸病変の警告表示を義務づけており、メーカーがその線を超えないようにしているからです。そのため、サプリで上乗せできるのは1日の摂取量の約3%です。ここでは食事が「手軽な選択肢」なのではなく、唯一の選択肢なのです。

Q. バナナを食べれば十分?

中くらいのバナナ1本は422mgで、男性の目安量のおよそ8分の1です。干しアンズ、レンズ豆、カボチャ、シンプルなベイクドポテトは、どれも1食あたりでバナナより多く含みます。カリウムの問題を1つで解決してくれる食品はありません。

Q. カリウムの検査を受けるべき?

血清カリウムは本格的な臨床検査であって、健康管理の指標ではありません。腎臓病、特定の薬、症状など、理由があるときに医師がオーダーするものです。食事の状態についてはあまり多くを教えてくれません。何かを最適化する目的で受けるものではありません。

Q. 推奨量は本当に下がったの?

はい。2019年に目安量は4,700mgから、男性3,400mg・女性2,600mgに引き下げられました。委員会が根拠から必要量を導けず、代わりに健康な人で観察された摂取量の中央値のうち最も高いものを数値にしたためです。

まとめ

  • 目安量は男性で1日3,400mg、女性で2,600mgです。2019年までは4,700mgでした。引き下げられたのは、必要量ではなく、実際の摂取量をもとに設定し直したためです。
  • 耐容上限量はなく、サプリは99mg止まり。1日分の約3%です。カリウムはお金で買って補える栄養素ではありません。
  • クリームオブターター大さじ1杯で2,475mg。製菓用の酸味料で、2025年には高カリウム血症による心停止を引き起こしています。
  • バナナ1本は422mg。干しアンズ、レンズ豆、カボチャ、ベイクドポテトは、どれも1食あたりでバナナを上回ります。
  • 塩の4分の1を塩化カリウムに置き換えたところ、中国の村民2万995人で脳卒中が14%減りました。高カリウム血症の増加はありませんでした。
  • ただしこの試験は、カリウム保持性利尿薬を使う人や腎臓病がわかっている人を除外し、血液検査によるスクリーニングも行っていません。そうした人にとっては、同じ置き換えが危険になります。
  • 代替塩のカリウムは小さじ1杯あたり約440〜2,800mgと幅があります。パッケージの裏面を確認してください。

この記事は公表された研究のまとめであり、医学的な助言ではありません。カリウムは、間違えるとすぐに危険になりうる数少ない栄養素の一つです。慢性腎臓病、心不全、1型糖尿病、副腎不全、肝臓病がある人、またはACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、スピロノラクトンやアミロライドなどのカリウム保持性利尿薬を飲んでいる人は、カリウムサプリやカリウム入り代替塩を始める前に、必ず医師か管理栄養士に相談してください。

さらに読みたい方へ:試験そのものについては Neal ら、New England Journal of Medicine 385(12):1067–1077(2021年)。誰に当てはまらないかを決める除外基準も載っています。ナトリウムの効果とカリウムの効果を切り分けようとした試みについては Huang ら、Journal of Human Hypertension 38(4):298–306(2024年)。経口のカリウムが実際に人に何をもたらしたかについては Te Dorsthorst ら、European Journal of Clinical Nutrition 73(1):38–45(2019年)。

おすすめの3冊
  • Hooked、Michael Moss(2021年)。食品業界が、人がつい手を伸ばしてしまうものをどう設計しているかを描いた本です。ナトリウムがどこにでもあり、カリウムがそうでない背景がわかります。取材に基づき、題材には批判的な立場です。
  • The Age of Diagnosis、Suzanne O’Sullivan(2025年)。基準線が引かれ、人がその両側に振り分けられたときに何が起きるのか。この記事の冒頭で取り上げた問題です。臨床医による主張で、異論もあります。
  • Noise、Daniel Kahneman、Olivier Sibony、Cass Sunstein(2021年)。同じ根拠を読みながら異なる助言を出した46件のガイドラインを考えるうえで役に立ちます。

参考文献

NIH Office of Dietary Supplements, potassium fact sheet for health professionals(2019年の目安量〔男性3,400mg、女性2,600mg〕、2005年の旧数値4,700mg、推定平均必要量を導くにはデータが不十分とした委員会の判断、耐容上限量がないこと、1食分あたりの表、米国の平均摂取量3,016mgと2,320mg、サプリ利用率12%とその上乗せ平均87mg、99mgの実質的上限とFDAの小腸病変の警告、薬との相互作用、高カリウム血症のリスクがある人のリスト、代替塩の小さじ1杯あたり440〜2,800mgという幅)。 — USDA FoodData Central, SR Legacy, nutrient 306 (potassium) (大さじ1杯の表の100gあたりの値。FDCの識別番号は図中に記載)。 — Neal B, Wu Y, Feng X, et al. Effect of salt substitution on cardiovascular events and death. New England Journal of Medicine 385(12):1067–1077 (2021). — Huang L, Li Q, Wu J, et al. Journal of Human Hypertension 38(4):298–306 (2024). — Yin X, Rodgers A, Perkovic A, et al. Effects of salt substitutes on clinical outcomes. Heart 108(20):1608–1615 (2022). — Lai H, Nesrallah G, Guyatt GH, et al. BMC Medicine 24(1) (2026). — Xu X, Zeng L, Jha V, et al. Potassium-enriched salt substitutes: a review of recommendations in clinical management guidelines. Hypertension 81(3):400–414 (2024). — Te Dorsthorst RPM, Hendrikse J, Vervoorn MT, et al. European Journal of Clinical Nutrition 73(1):38–45 (2019). — Ng D, Govindasamy L, Hughes A, Lee HM. Hyperkalaemic cardiac arrest due to cream of tartar ingestion. Medical Journal of Australia 222(11):542–544 (2025).

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